不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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東京都のマンション防災強化制度(電源の二重化)は機能しているか


マンションの性能を知るための主な制度に、「住宅性能表示制度」や東京都であれば「東京都マンション環境性能表示」がある。
ただ、それらの制度は、3.11以前にできたこともあり、マンションの防災性能を知るうえで、必ずしも十分な情報が網羅されているとはいえない。


あまり知られていないが、3.11前後に制定された防災関係の制度としては、「東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度(平成24年1月23日)」や「大阪市防災力強化マンション認定制度(平成21年5月19日制定、平成24年4月1日改正)」がある。

東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度

  • 環境に与える影響や都民の経済的な負担などを考慮しつつ、停電時でもエレベーターや給水ポンプの運転に必要な最小限の電源を確保することで、都民がそれぞれの住宅内に留まり、生活の継続を可能とする性能を備えた住宅の普及促進を図るもの(電源系統の二重化を普及促進することが目的)。



防災力強化マンション認定制度(大阪市)

  • 防災性の向上と災害に強い良質なマンションの整備を誘導するため、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合することに加え、被災時の生活維持に求められる設備・施設等の整備、住民による日常的な防災活動等の実施など、ハード・ソフト両面で防災力が強化されたマンションを「防災力強化マンション」として創出された大阪市の認定制度。

大阪市のほうは、平成21年5月19日に制定されていたこともあり、40件(平成26年4月1日現在)登録されているのに対して、東京都のほうは、「グランドメゾン狛江(総戸数524戸)」と「ミッドプレイス八王子(総戸数214戸)」の2件(平成26年6月6日現在)しかない。
年度別の認定実績を可視化(グラフ化)すると興味深いことに気づく。
防災に係るマンション認定実績(東京都・大阪市比較)
大阪市が東日本大震災があった平成23年度をピークに件数、戸数とも減少していることだ。


大阪市のほうが認定件数が多いのは、認定を受けた新築マンションは物件により住宅ローンの金利が引き下げられるという、東京都にはないメリットがあるのが一つの要因だと考えられるのだが――認定件数が伸びていないのは、大震災から年月が経過したがゆえか。


東京都の認定件数が少ないのは、「水の供給及び1基のエレベーターの運転を同時若しくは交互に行う発電能力があり、燃料が安定継続して供給可能で、住宅外からの電力供給が途絶した場合でも、運転可能な常用発電機が設置されていること」を含めて、5つの高いハードルをクリアしなければならないからだ。
新築であれ、中古であれ、スケールメリットの得られない小規模なマンションでは、LCP住宅の基準を満たすのはかなり難しいだろう。
そこまでして登録しようとする奇特な業者は少ないから、その少なさは当初から予想されたことだ。


震災は忘れたころにやってくる(寺田寅彦)。
東京都と大阪市は同制度の実効性を高めるために、PDCAをシッカリ回しているのだろうか。

(本日、マンション広告なし)

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2019年6月1日、このブログ開設から15周年を迎えました (^_^)/
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