不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


「イメージイラスト」と注記しても、不当表示ではないのか


本日、マンション広告3枚。

【予告広告】大手町駅直通11分、駅徒歩12分。総戸数169戸、10階建。販売戸数/未定、2LDK(64.85m2)〜4LDK(89.12m2)。販売価格/未定。平成25年3月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年後)。

中古車センター跡地に建つ大規模マンション。


新聞半紙大のチラシのオモテ面の、外観CGと利便施設を掲載した「イメージイラスト」を見て、唖然!
こんな感じ。
チラシに掲載されているイメージイラスト
本物件を取り囲むカタチで、イオン、ドイト、アリオ、ショッピングセンターといった、大型の利便施設が掲載されているのだ。
ゴマ粒サイズの小さな文字に目を凝らすと、次の釈明文章に行き当たる。

上記イメージイラストは計画周辺の建物・公園等をイメージ化したもので、実際の地形・建物の大きさ・距離・位置関係等を表現したものではありません

本物件を取り囲むように掲載されている大型の利便施設は、すぐ近くにあるわけではないのだ。
位置関係を示すと、こんな感じ。
本物件と利便施設との位置関係
いずれの大型施設も、まったく近接していないのだ。
最も近いイオンでさえ、270 m。歩いて3分以上かかる。
しかも途中で幹線道路を渡らなければならないから、これに信号待ちの時間が加わる。


業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」第23条(その他の不当表示)1項(43)号(写真・絵図)は、CGによる「事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」を禁じている。
たとえ、「イメージイラスト」と注記していたとしても、優良誤認誘発チラシのそしりは免れないだろう。


首都圏不動産公正取引協議会のホームページの「相談&違反事例集」では、かつて「合成写真から広告主の都合の悪い条件を消去することはウソの写真を使うことに他ならず、著しい不当な表示に該当することになります」と明確に言い切っていたのだが――。
いまでは、このQAは、「相談&違反事例集」から消えてしまっている。
同QAを見たことのない人のために、長文だが原文のまま、以下に再掲しておこう。
※QAで言及している条項番号は、旧規約の番号であり、現行規約の番号とは一致していない。

QUESTION
新築分譲マンションの広告に、近くの公園から建物を望む写真をCG(コンピュータグラフィックス)で合成し、その際、このマンションと公園の間にある他の建物を消去した合成写真を使用することは可能でしょうか。
なお、「この写真はCGによる合成写真ですので、実際のものとは異なります。」と注記するつもりです。


ANSWER
ご質問のような合成写真の掲載は、「この写真はCGによる合成写真ですので、実際のものとは異なります。」と注記したとしても、取引対象物件からの眺望等が実際のものよりも著しく優れたものであると誤認される不当な表示に該当します。
一般に、新築分譲マンションはいわゆる青田売りが多いために、建物自体の写真を撮影することができないために、CGによる完成予想図と周りの風景写真を合成すること自体はその旨を明示する場合には許される場合があります。
しかし、お尋ねのように、合成写真から広告主の都合の悪い条件を消去することはウソの写真を使うことに他ならず、著しい不当な表示に該当することになります。
なお、表示規約第15条35号では、「宅地又は建物の見取図、完成図若しくは完成予想図は、その旨を明らかにして用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないこと。」と規定しています。
また、第18条第1項においては、第37号にて「不動産の方位その他立地条件について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」、第38号で「前2号に規定するもののほか、不動産の周辺環境について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」を禁止しています

1日1回、応援のクリックをお願いします。

↓ ↓ ↓

blogram投票ボタン

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.