不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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「即日完売」と「登録申込即日完売」の違い

工場跡地に建つ大規模マンション。

【第2期 予告広告】新宿駅直通21分、駅徒歩4分。総戸数245戸、14階建。販売戸数/未定、2LDK+S(68.73m2)〜4LDK(88.69m2)。販売価格/未定。平成24年10月下旬竣工(本チラシ掲載日の6カ月後)。

  • ※2011年10月1日(土)・12月3日(土)、2012年1月7日(土)・3月23日(金)の物件と同じ。



新聞半紙大のチラシのオモテ面に売れ行き好調を演出するキャッチコピー。

第1期<155戸>登録申込即日完売
その理由は、駅近の穏やかな住環境でした。

  • 賑やかな駅前の間近でありながら落ち着いた住宅街であること。
  • ご契約者様のアンケートでは、このかけがえのない舞台を多くの方々から高く評価をいただきました。

チラシ裏面には、さらに詳細な説明が記載されている。

「〇〇(=物件名)」には、選ばれる理由があります。
好評のうちに第1期<155戸>登録申込即日完売した「〇〇」。
お申込いただいた皆様には、本件の立地やポジションについて特に高い評価をいただきました。
都心へのアクセスの良さ。駅チカでありながら開放的で落ち着いた環境であること・・・。
末永く快適に暮らせる、かけがえのないレジデンスとして実証されたと言えるでしょう。

  • POINT 1 賑やかな駅前の間近というポジション。都営新宿線「××」駅より徒歩4分。
  • POINT 2 東京駅は、大手町や。都心を使いこなす利便性。「東京」駅より9km圏。
  • POINT 3 駅チカでありながら、存分に解放感を享受。6,400m2超の四方角地。
  • POINT 4 明るさと暖かさを感じる暮らし。全戸南東・南西向きの配棟計画。
  • POINT 5 上質な暮らしを叶える。充実の設備・仕様。

具体的なアンケート内容も示さずに、良いことだけを並べたてたてて、「登録申込即日完売」の理由が「駅近の穏やかな住環境」であると言い切る販促ワザ。


「即日完売」ではなく、「登録申込即日完売」という微妙な表現に、素人を煙に巻く販促行為が潜んでいる
「登録申込即日完売」とは、登録申込みの受付を開始して、すぐに販売対象のすべての住戸に申し込みがあった状況を意味している。
登録申込みの後、あるいは抽選の後、たとえキャンセル住戸が発生しても、「登録申込即日完売」であることには変わらないから、胸を張って「第1期<155戸>登録申込即日完売」を謳うことができる。
ところが、「即日完売」となると、登録申込みの後、あるいは抽選の後、キャンセル住戸が発生した場合、「第1期<155戸>即日完売」と謳うには、大手のデベロッパーとしては後ろめたさが残るから避けたいところだ。
以上が、「即日完売」ではなく、あえて「登録申込即日完売」という表現を用いた理由だと、筆者は考えている。


「即日完売」か、「登録申込即日完売」かはさておき、第1期の155戸は飛ぶように売れたのだろうか?
リクルート社のフリーマガジン「SUUMO新築マンション(首都圏版)」のバックナンバーをひも解いてみた。


この物件の「予告広告」が初めて出されたのが2011年のSUUMO 9月27日号。その時には「11月下旬」に発売される予定となっていたのだが――。
2週間後のSUUMO 10月11日号では、「12月上旬」と、発売時期が延伸される。
その1カ月後の11月15日号では、「2012年2月下旬」と、さらに2カ月以上延伸され――
その後、2月21日号で「3月上旬」、3月6日号で「3月中旬」、3月13日号で「3月下旬」と、小刻みに延伸を続けて、当初の発売予定時期から約4カ月延伸されて、4月3日号でようやく発売に漕ぎつけていたのだ。


以上の発売時期の延伸状況を可視化したのが次のグラフ。
第1期発売予定日の延伸状況
「第1期<155戸>即日完売」が事実だとしても、決して飛ぶように売れていたという訳ではないようだ。


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(本日、マンション広告13枚)

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