不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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変動型の住宅ローンを選ぶ割合が増えている

「平成20年度 民間住宅ローン利用者の


本日、マンション広告2枚。

【第1期先着順】大手町駅直通16分、駅徒歩10分。総戸数29戸(管理事務室1戸含む)、8階建。販売戸数6戸、1LDK(61.16m2)〜3LDK(71.76m2)。販売価格2,990万円〜4,190万円。平成20年6月竣工済み(本チラシ掲載日の7カ月前)。

  • ※11月1日(土)、12月18日(木)、12月21日(日)、1月10日(土)、1月22日(木)、1月27日(火)の物件と同じ。

7カ月前に竣工済みの小規模マンション。

  • 月々返済額85,963円より
    • 頭金0
    • ボーナス時払い0円(年2回払い)

頭金もボーナス時の負担もなしで、マンションが買えることを喧伝するチラシ。
「物件概要」に目を凝らすと、「銀行ローンのご案内」として、なかなかエゲツナイ条件が記されている。

前年の税込収入が100万円以上の方で、給与所得者の場合は勤続1年以上の方、給与所得以外の場合は勤続、又は営業年数が3年以上の方。
当社所定の保証会社をご利用いただきますので、原則として保証人は不要です。事務手数料31,500円(税込)と保証料を保証会社にお支払いいただきます。

年収が税込100万円以上、勤続1年以上ということであれば、仕事を持っているほとんどの人が、保証人なしに、ローンを組むことができそうだ。
ずいぶんとハードルの低い融資条件だ。

当社の指定する団体生命保険に加入していただきます。

命と引き換えに借金をチャラにする保険に強制的に加入させられるのは、あまりいい気持ちがしないだろう。

当社指定の保証会社に対し、ご融資対象物(土地と建物)への抵当権を設定登記していただきます。

さらに借金のカタに土地と建物に抵当権が設定されるという仕組みは、容易に借金ができることとの裏返しだ。
ローンの返済が滞れば、マンションは人の手に渡ってしまうのだ。
融資利率は、1.10%とかなりの低利だが、「3年固定金利:3年以降は見直しがございます」となっているので、“日本版サブプライムローン問題”が内在している。


このような、目先の借金のハードルの低さもあり、最近「変動型」の住宅ローンを選択する人が増えているという。
住宅金融支援機構が昨年の10月24日に公表した「平成20年度 民間住宅ローン利用者の実態調査(第2回)」では、次のように総括されている。

今回調査では、特に、「変動型」利用者の金利先高感が大きく低下しており、民間住宅ローン利用者の「3人に1人以上(全体の35.3%)」が利用するほどに「変動型」利用が増える結具となっている。
調査対象期間である7月以降、金利先高感が急速に薄れてきていることや、消費者物価の上昇、収入の伸び悩みもある中、返済負担の軽減を図るために、低利な「変動型」商品が選択されてきていることが考えられる。

同公表資料によれば、「変動型」利用者は、「固定期間選択型」利用者にくらべ、「販売事業者からの説明に頼った」割合が10%前後高くなっているという。
販売サイドの営業トークに乗せられて、目先の返済が容易な「変動型」ローンを組む人が増えているということなのかもしれない。
ちなみに、同公表資料には、「変動型」ローンの利用にあたって、次のような注意喚起文章も記載されていることを心にとめておく必要があるだろう。

一般に「変動型」商品の適用金利は、半年毎に見直され、5年毎の返済額見直に際して一定の措置があるのが一般的だが、金利上昇が大きい場合、未払利息発生により、将来の支払いに課題を残す可能性があるため、「変動型」利用に当たっては注意が必要。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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