不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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PSの研究

リビング・ダイニングの隅にPSが配置

「閑静な戸建エリア」に建つ中規模マンション。

大手町駅26分(途中乗り換え)、駅徒歩10分。総戸数83戸、8階建。販売戸数未定、2LDK(61.05m2)〜3LDK(84.67m2)。販売価格未定。平成20年1月下旬竣工(本チラシ掲載日の10カ月後)。

  • ゆとりの住空間に快適機能を満載した、基本14タイプの個性豊かなプランニング。

B3サイズの広告裏面に次の3つの間取り図が掲載されている。

  • Dタイプ:(3LDK+N)南西の角住戸、専有面積76.34m2
  • Gタイプ:(3LDK)中住戸、専有面積75.73m2
  • Lタイプ:(3LDK)中住戸、専有面積70.24m2

3LDKなのに、どれも80m2を大きく下回っている。
どこが「ゆとりの住空間」なのか・・・・・・。


間取り図を眺めていると、住戸内に「PS」の記載が多いことに気が付いた。
PSとは、パイプスペースあるいはパイプシャフトの略。
トイレ、浴室、台所といった水周りの配管が住戸の上下を貫通しているスペースのこと。
共有部分を貫通しているPSは、特に気にする必要はないが――。
専有部分を貫通している場合について、論点を整理してみよう。
最上階から1階までの間取りが同じであれば、住戸内を縦方向に貫通する配管のSPは同じ位置にくる。
ところが、本物件のように間取りが14タイプもあると、上下階で水周りの位置が必ずしも一致しない。
Lタイプの間取り図では、リビング・ダイニングの隅にPSが配置されてしまっている(図参照)。
なぜ、リビング・ダイニングの隅にPSが配置されているのか?
上階に、バルコニーに面したキッチンが配置された住戸があるためだ。
つまり、他人の住戸のキッチンの排水のためのタテ管が、Lタイプのリビング・ダイニングの隅にPSとして張り出しているのだ。
せっかくアウトフレーム(柱型を室外側に配置する方式)で、室内空間を稼ごうとしたのに、PS分だけ張り出してしまっている。
リビング・ダイニングの隅に張り出した、他人の住戸のためのPSは、リフォームの際に邪魔になるだけでなく――。
他人の住戸排水のためのPSは、しっかり自分の住戸の専有面積に含まれている。
他人が使うキッチンの排水のための配管スペースが、自分が購入する住戸の専有面積に含まれているという事実を、すんなりと受け入れられる人はそんなに多くはないだろう。
「基本14タイプの個性豊かなプランニング」の販促のツケは、何人かの購入者にしっかり回っているのだ。

(本日、マンション広4枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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