不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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「〇〇区民優先分譲」の意味は―

幹線道路沿いに建つ、駅から遠い7階建ての中規模マンション。

大手町駅直通14分、駅徒歩19分。総戸数58戸、7階建。販売戸数9戸、2LDK(60.23m2)〜3LDK(75.66m2)。販売価格2,898万円〜4,298万円。平成18年3月30日竣工済み(本チラシ掲載日の2カ月前)。

  • 5月12日(金)の物件と同じ。
  • おかげさまで〇〇区民優先分譲は、ご好評のうちに完売いたしました!!

という、「完売」を謳うキャッチコピー。
前回(5月12日)の広告では、「第1期予告概要(予定販売戸数10戸)」と「〇〇区民優先分譲概要(9戸)」が併記されていた。
ということは、「〇〇区民優先分譲」9戸が「完売」したということになる。
でも、そもそも「〇〇区民優先分譲」という区分が怪しい。
〇〇区民(=チラシを見た人)に優先的に分譲しようというのだから、ゴマカシに近くないか?。
「第1期予告概要(予定販売戸数10戸)」と「〇〇区民優先分譲概要(9戸)」のどこに違いがあるのか?
業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」第4条(用語の定義)第6項(3)によれば、予告広告とは次の要件を満たすものをいう。

  • 予告広告
    • 分譲宅地、新築分譲住宅、新築分譲マンション又は新築賃貸マンションであって、価格等が確定していないため、直ちに取引することができない物件について、その本広告(第8条に規定する必要な表示事項をすべて表示して物件の取引の申込みを勧誘するための広告表示をいう。)に先立ち、その取引開始時期をあらかじめ告知する広告表示をいう。

予告広告の本来的な趣旨は、価格などの取引条件以外の事項について、消費者に早期に物件情報を提供し、販売開始までの間、物件選択の時間的余裕を与えようというものだ。
でも、見方を変えると、予告広告とは、売り主が分譲価格などを決めかねているので、とりあえず価格未定の広告を出して、どのくらい反応があるのか見てみようという、売り主都合的な性格も持ち合わせている。
さて、予告広告の段階で、「〇〇区民優先分譲」として9戸を販売してしまった本広告は、はたして許されるのかだろうか・・・・・・。
「〇〇区民優先分譲」が「完売」したという冒頭のキャッチコピーは、消費者の買い急ぎを煽る紛らわしい表現であることだけは間違いなさそうだ。

(本日、マンション9枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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