不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション事業は、高利回りの「金融商品」か―

国土交通省の公表資料によれば、H社の構造計算書偽造マンションは「11月21日公表分」と「11月22日以降判明分」を合わせて、合計20棟に達している。
その20棟の住戸規模をみると、最大で67戸、最小で19戸。平均35.5戸となっている。
ここから読み取れるのは、H社の耐震強度偽造物件がどちらかといえば、小規模マンションに集中しているということだ。
このことが何を意味しているのか―。
マンション事業が、参入障壁が低い事業であることは、12月08日(木) の記事で述べたとおり。
小規模マンションであれば、特別な施工技術を要しないから、中小ゼネコンでも対応しやすい(それだけ、価格競争に陥りやすいともいえる)。
さらに、小規模マンションであるがゆえに、資金調達も少なくてすむ。
たとえば、総戸数36戸の小規模マンションの総事業費は、いくらか?
荒っぽくいえば、1戸あたり平均4,000万円、利益率10%として、約13億円(=@4,000万円×35戸×90%)の資金が調達できれば、マンション事業を展開できる。
つまり、13億円の資金があれば、ローリスク(=消費者相手)・ハイリターン(利回り10〜20%)の事業展開が可能ということ。
本来、マンション事業は、快適な住環境の創造、良好な街づくりを目指すのが理想の姿だ。
マンションを単なる高利回りの「金融商品」程度にしか考えていない売り主が多くないだろうか・・・・・・。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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