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出張で民泊を利用しないのはコンプラの問題!?

独立系ホテルのキャッシュバックポイントカードを運営する株式会社Aカードホテルシステムの調査によれば、民泊のレジャー利用は6.5%だが、出張利用では2.4%に留まっている

なぜ、出張での民泊利用は少ないのか?


もくじ

出張での民泊利用は2.4%に留まっている

独立系ホテルのキャッシュバックポイントカードを運営する株式会社Aカードホテルシステムは8月2日、「『出張ビジネスマンの実態』調査結果 」(PDF:708KB)を発表。

「民泊」の利用について聞いてみると、「利用したことがある」がレジャー利用では 6.5%だったが、出張利用では 2.4%に留まった【グラフ(16)(17)】。

勢いを増す民泊だが、出張での利用は特に浸透してはいないようだ。

『出張ビジネスマンの実態』調査結果

調査はAカードホテルシステムの会員約 80 万人を対象に実施し、3,611人がネットで回答(調査期間:17年6月26日~7月3日)。
回答者3,611人の年収は加重平均で586万円。

回答者の勤務先業種は次図のように、製造業とサービス業が多い。公務員は1.4%。

回答者の勤務先業種
「『出張ビジネスマンの実態』調査結果 」より

 

なぜ、出張での民泊利用は2.4%と少ないのか?

宿泊費は定額支給、足が出たら自腹という規定が多いのだが…

産労総合研究所『2015年度 国内・海外出張旅費に関する調査』によれば、宿泊料については、「全地域一律」が50.0%、「区分を設けている」が44.3%というように定額で支給している企業が多い

企業規模の大きさによる違いは、あまりないことが分かる(次図)。

宿泊出張における「宿泊料」の地域区分

 

では、実際の宿泊料と規程宿泊料との間に差異が出たらどうしているのか?

財務省が2011年度に実施した「民間企業の旅費に関する実態調査 報告書」(PDF:1.3MB)によれば、「規程上の金額を超えた場合、証拠書類で実費支給」が 28.1%を占め、次いで「常に規程上の定額支給」が 25.4%、「規定内であれば実費支給」が 22.8%となっている(次図)。

ようするに、規定額を超えた分は自腹という会社が半数近い(25.4%+22.8%)ということだ。

実際の宿泊料と規程宿泊料との差異の処理
「民間企業の旅費に関する実態調査 報告書」P26より

 

私企業では宿泊費は定額支給が多く、足が出たら自腹という規定が多いことは分かった。

ならば出張の際には、安い民泊がもっと利用されてもよさそうなものだが、そうなっていないのはなぜか?

 

ちなみに、国家公務員等の宿泊費も定額制。「国家公務員等の旅費に関する法律」第6条(旅費の種類)7号により、「宿泊料は、旅行中の夜数に応じ一夜当りの定額により支給する」ことになっている。

また、「旅費業務に関する標準マニュアル(201年12月)各府省等申合せ」(PDF:790KB)には、「原則として宿泊に特化した宿泊施設(いわゆるビジネスホテル)を選択する」(P3)と記されている。特に民泊に係る記載は見当たらない。

出張で民泊を利用しないのはコンプラの問題!?

民泊で領収書がもらえないわけではない。Airbnbの領収書はゲスト名(利用者名)入りでオンラインで発行されるのだ(領収書にゲスト名や企業所在地を入れるには? | Airbnbヘルプセンター)。

民泊で領収書が出るのに、なぜ利用しないのか?

コンプラの問題が大きいのではないだろうか。

コンプラの厳しい企業では、出張で違法民泊(=無届民泊)を利用しないようお触れが出ているのではないか。

お触れが出ていない場合であっても、コンプラ意識を叩きこまれている社員にとって、出張で違法民泊を利用することの心理的な抵抗が大きいのではないのか。あるいは、違法民泊で火災などの事故時に遭遇したときに、労災扱いになるのかどうかといった不安があるとか。

ただ、フットワークの軽いベンチャー企業の社員は、違うのかもしれないが……。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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