NHKが6月12日に報じた公営住宅のアスベスト問題。
問題は、対策工事が終わる前に住んでいた人への注意喚起が行われていなかったことと、使用されていたアスベストにつき十分に情報公開されていなかったこと。
今回公開されたアスベスト使用住戸数は数字の羅列で分かりにくいので、念のため可視化しておいた。
過去にアスベスト使用の公営住宅 全国に2万戸以上(NHK)
NHKが6月12日に報じた公営住宅のアスベスト問題。全国の公営住宅で少なくとも2万2000戸で、発がん性のある吹き付けアスベストが使われていたことが明らかになった。
過去にアスベスト使用の公営住宅 全国に2万戸以上
発がん性のあるアスベストが過去に使われていた公営住宅が、全国で少なくとも2万2000戸に上ることが、NHKなどの調査で初めて明らかになりました。専門家はアスベストを吸い込んだ可能性のある人は23万人余りに上ると試算していますが、国や自治体はこうした実態を把握しておらず、当時の住民に対し、情報提供などを行う必要があると指摘しています。
この調査は、NHKと「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が行ったもので、聞き取りや情報開示請求を通じて、国や全国の自治体が保管していた公営住宅の管理台帳などを詳しく分析しました。(以下略)(NHKニュース 6月12日)
今回の問題は、対策工事が終わる前に住んでいた人への注意喚起がわれていなかったことと、使用されていたアスベストにつき十分に情報公開されていなかったこと。
ただ、山本環境大臣は会見で、「住宅に使用されていたアスベストが経年劣化によって飛散するという状況は今までほぼ誰も注目していなかった」と述べ、国土交通省による調査が必要だという認識(NHKニュース 6月19日)を示している。
調査結果は「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」のHPで公開
今回の調査の結果はNHKと共同で調査にあたった「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」のホームページに公開されている(次図)。
「2万2000戸に上る」とされている全国の公営住宅の吹き付けアスベスト住戸の内訳をよく読むと、その多くは既に、封じ込めや囲い込み対策が行われていることが分かる。
全国の公営住宅2万2千戸のアスベスト使用住戸を可視化
今回公開されたアスベスト使用住戸数は数字の羅列で分かりにくいので、念のため可視化しておいた。
全国の公営住宅2万2千戸のアスベスト使用住戸の内訳
「2万2000戸に上る」とされている全国の公営住宅の吹き付けアスベスト住戸の内訳を次図に示す。
32都道府県の公営住宅(石綿吹き付け:8,744戸)、都営住宅(石綿含有ひる石吹き付け:7,348戸)、6都県のUR都市再生機構の住戸(石綿含有ひる石吹き付け:6,218戸)。
32都道府県の公営住宅の石綿吹き付け住戸の内訳
「32都道府県の公営住宅(石綿吹き付け:8,744戸)」のうち、山梨県が2,481戸でダントツ。2位富山県(1,368戸)、3位兵庫県(1,103件)と続く(次図)。
都営住宅112団地の石綿含有ひる石吹き付け住戸の内訳
都営住宅112団地の具体的な建物名称と石綿含有ひる石吹き付け住戸の合計戸数(7,348 戸)は開示されているのに、その内訳は「不明」と表示されている(次表)。
個々の団地の情報を開示したくないのか?
都市再生機構(6都県)40団地の石綿含有ひる石吹付住戸の内訳
都市再生機構(6都県)40団地の石綿含有ひる石吹付住戸6,218戸の内訳をみると、東京(2,458戸)と埼玉(1,853戸)が多いことが分かる(次図)。