「住宅エコポイント」復活の検討を伝える読売の記事。
「住宅エコポイント」復活へ…景気下支えが狙い
国土交通省は、景気を下支えするための経済対策として、「住宅エコポイント」制度を復活させる方針を固めた。
2014年度補正予算案に1000億円規模を盛り込む方向で、関係省庁と調整している。 住宅エコポイントは、省エネに対応した住宅の新築やリフォームを行った場合、商品と交換できるポイントがもらえる仕組みだ。
経済対策として、2010年から13年にかけ、中断した時期もあったが、対象を拡大しつつ実施された。外壁を断熱素材にするなどしてエネルギー効率を高め、経済対策として効果があると判断した。2014年11月14日 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
民主党政権時代に、省エネ住宅の普及と住宅投資の促進を促すためにスタートした住宅版エコポイント制度。
どのように利用されてきたのか、「復興支援・住宅エコポイント」のページに「住宅エコポイント事業の実施状況について(平成26年9月末時点)」と題して、実績データが公開されているので可視化してみよう。
住宅エコポイント発行の内訳
戸数ベースでは新築(58%)とリフォーム(42%)にあまり差はないが、ポイント数ベースでは新築(85%)がリフォーム(15%)よりも圧倒的に多いことが分かる。
平成26年9月末時点のエコポイントの発行累計は、次のとおりだ。
- 新築:1,086,734戸(291,311,320,000ポイント)
- リフォーム:793,097戸(51,046,990,000ポイント)
- 合計:1,879,831戸(342,358,310,000ポイント)
数字の桁数が多くて、分かりにくいのだが、新築が約2,913億ポイント、リフォームが約510億ポイント。
「ポイント」などという曖昧な表現が使われているが、相当金額に置き換えると、新築に約2,913億円、リフォームに約510億円、合計約3,423億円もの税金が投入されたのだ。
では、1戸あたり最大300,000ポイント(=30万円相当)の住宅エコポイントは、どのように使われたのか?
エコポイントの交換実績を見てみよう。
住宅エコポイント交換の内訳
エコポイントの交換累計実績を見ると、336,137,761,405ポイント(3,361億円相当)のうち、最も多いのが「商品交換」の51%(1,715億円相当)。次に多いのが「新築(即時交換)」の45%(1,519億円相当)。
「リフォーム(即時交換)」は、たったの4%(124億円相当)。「環境寄附(2,193万円相当)」や「復興寄附(2,851万円相当)」は、0.1%にも満たない。
「商品交換」の内訳
さらに「商品交換」の内訳をグラフ化してみると、次図のように「商品券・プリペイドカード」が126,444,225,253ポイント(1,264億円相当)とダントツであることが分かる。
これまでに3,361億円相当のエコポイントが交換され、うち1,264億円が金券(商品券・プリペイドカード)に交換された。
これらの原資はすべて税金(将来の借金)だ。
省エネ住宅の新築や改装を促進するために民主党政権時代に創設された、金券(商品券・プリペイドカード)バラマキ制度が、再び始まろうとしている。
ちなみに、発見! 日本海側は新築よりもリフォームのニーズが高いに記したように、都道府県別の新築率(=住宅エコポイントの累計の総ポイントに占める「新築」の割合)トップ3は次の都県。
- 1位:沖縄県(100%)
- 2位:愛知県(91%)
- 3位:東京都(91%)
沖縄県民は住宅エコポイントを申請してまで、リフォームをしようというニーズがないのであろう。
(本日、マンション広告なし)