タワーマンションのヘリポートとは、気休めにしかならないのではないのか。
天候によってはヘリコプターの活動が制約されるし、そもそも膨大な被災者が発生するような大震災時に、すぐにマンションの屋上まで救助に来てくれるのか――。
タワーマンションの屋上にヘリポートがあれば安心か?
超高層マンションの高層階住戸からの眺望はすばらしいものがあるが、大震災など非常時のリスクとの引き換えだ。建物高さが31mを超えると普通の消防車は届かない。法的にはヘリポートの設置義務はないが、超高層マンションでは屋上にヘリポートを設置しているケースがいくつかある。
でも、いざ大震災というときにヘリポートが役立つのか疑問だ。
天候によってはヘリコプターの活動が制約されるし、そもそも膨大な被災者が発生するような大震災時に、すぐにマンションの屋上まで救助に来てくれる可能性は高くないだろう。
東京消防庁が所有しているヘリコプターは、中型3機(座席数13席〜14席)、大型3機(座席数23席〜27席)の合計6機しかない。
屋上で救助ヘリの到着を待つような状況が発生しないことを祈るしかない。
タワーリング・インフェルノ実況版
超高層マンションの火災は、1989年に江東区の超高層マンションの事例が有名。玄関が開放されていたために、廊下側に煙が流出し、避難と消火活動に困難を極めた。幸い人命被害はなかったが、当時最高高さでのマンション火災はとてもショッキングな出来事であった。
このあたりについては、加藤 純子 著『超高層マンション、暮らしてみれば…』(2002/6)の「第6章 タワーリング・インフェルノ実況版」に詳しい。