不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション価格高騰の犯人は「投機」なのか――国会質疑で見えた“規制”と“実態把握”の距離

2026年3月10日の衆議院・国土交通委員会で、都心部の新築マンションの短期転売をめぐる質疑が行われた。

マンション価格の高騰が続く中、「投機的取引はどこまで影響しているのか」という問いは、たびたび議論の対象となってきた。ただ、その問いに答える前に、そもそも市場の実態は十分に見えているのか――今回の質疑では、その点も論点として浮上した。

吉川里奈衆議院議員(参政党)は、短期転売への法規制や取得実態の把握の必要性に言及した。一方、国土交通大臣は、不動産協会と連携した自主対策を評価しつつ、継続的な実態把握を進める姿勢を示した。

会議録をもとに質疑応答をテキスト化(約1500文字)した。

※時間のない方は、「質疑応答のポイント」と末尾の「雑感」だけでも読んでいただきたい。今回の議論の本質は、そこに集約されている。


 質疑応答のポイント

吉川里奈 衆議院議員(参政党)

吉川里奈 衆議院議員(参政党)
2026年3月10日 国土交通委員会より)

吉川里奈 衆議院議員(参政党、当選2回、元看護師、大阪府立大学看護学部看護学科卒、39歳)

吉川:「短期転売は価格高騰の一因ではないか」 規制の必要性を提起

次に、都心部の新築マンションの短期売買についてお伺いをいたします。

昨年5月の国土交通委員会、法務委員会の連合審査会にて、外国人の投機目的のマンション取得についての質疑を行いました。その後、国交省がこれに関する調査を実施したことは、実態把握に向けて第1歩というふうに受け止めております。


しかし、今回行われた調査は国外住所からの取得のみを対象としており、日本国内に居住する外国人や外国資本による取得の実態は把握されておらず、大臣も御自身の会見でその点は把握できていないというふうに述べられておられました。これでは外国人による取得の全体像は見えてこないかなというふうに考えます。


2025年上半期での新築マンション取得のうち国外からの取得割合を見たときに、新宿区は14.6%、前年度は1.7%であったことを踏まえると顕著な増加が見られました。また、新築マンションの短期売買の状況も、新宿区では2024年の上半期のみで19.6%、前年度は4.1%であったことを踏まえると約4.8倍増加をしており、昨今の新築マンションの価格高騰の一因となっている可能性も否定できないのではないでしょうか。


住宅は、本来、国民生活の基盤であり、国内外問わず過度な投機対象となることは望ましくありません。短期転売による売却益や課税の強化、一定期間の転売の制限、買戻し特約など、法制度としての規制を検討すべきではないかと考えますが、大臣の御見解を伺います。

大臣:「まずは自主対策と実態把握」 法規制には踏み込まず

金子恭之 国土交通大臣

金子恭之 国土交通大臣(自民、当選10回、元議員秘書、早大卒、65歳)

近年の住宅価格上昇の背景には、需要と供給の両面での様々な要因があるものと認識をしており、例えば、需要側としては、利便性に優れた都心部等への堅調な住宅需要が、また供給側としては、そのような堅調な需要を背景とした用地取得費の上昇、あるいは資材価格や労務費の上昇等に伴う建築費の上昇などが影響しているものと認識をしております。


このような様々な要因の一つとして、投機的取引の影響の可能性を指摘する声もあると承知をしており、三大都市圏等の新築マンションを対象に、不動産登記情報等を活用して、短期売買について国土交通省として初めて調査を行い、その結果を昨年11月に公表したところでございます。


調査の結果、都内を中心に一部の大都市部で短期売買が増加をし、中心部に行くほど増加が顕著となる傾向や、同じエリアでも大規模マンションが供給された年かどうか等によって数字が大きく変動する状況などが確認できたところでございます。


今回の調査でも短期売買の実態が明らかになったことを受けて、不動産協会と相談をし、同協会の協力の下、都市部で大規模マンションを供給している各事業者において、購入戸数の制限、引渡し前の転売活動を行った場合の契約解除と手付金の没収など、投機的取引抑制に向けたかなり踏み込んだ対策を自主的に実施していただくことといたしました。


住まいは生活の基盤であり、実需に基づかない投機的取引は好ましくない。まずは、不動産協会の取組をフォローするとともに、住宅の取得状況等の実態調査を継続しつつ、業界と連携しながら必要な対応を検討するなど、投機的取引抑制に取り組んでまいります。


いずれにしましても、日本人であろうが外国人であろうが、投機的な取引は、これは駄目であるというような趣旨の下やってまいりますし、今回は外国から購入をしている人だけでありましたけれども、これから法制度の中で、日本にいる企業であっても、どこの国の企業かということも含めて調査をやっていかなければいけないと思っています。

吉川:安全保障の観点も踏まえ、法整備の検討を要請

ありがとうございます。


やはり、外国人の不動産取得の拡大については、我が国の安全保障や国土の管理の観点からも、引き続き厳重な検討であったりとか法整備等も含めた検討をお願い申し上げます。

雑感(見えてきた数字、見えていない市場)

今回の質疑を見ていて、少し気になったのは議論の位置である。

話の出発点は、新築マンションの短期転売だった。都心部では短期売買が増えている。国外からの取得割合も伸びている。数字だけ見れば、「投機が価格を押し上げている」という話にもつながりそうである。

ただ、答弁を読んでいくと、そこは案外慎重だった。

大臣側が挙げたのは、用地取得費、資材価格、労務費、都心需要など、いくつもの要因である。価格上昇の説明としては、以前から挙げられてきた要因でもある。

では、投機の影響は小さいのかと言われると、それも少し違うのだろう。

そうした文脈の中で、今回国が出してきたのが法規制ではなく、自主対策と継続調査だったのかもしれない。購入戸数の制限や引渡し前の転売対策は、決して軽い話ではない。一方で、制度そのものを動かすほどの確信にも、まだ至っていない。そんな温度感にも見えた。

価格の話をしていたはずなのに、最後に残ったのは別の問いだった。

市場で何が起きているのか。その輪郭は、まだ思ったほど鮮明ではないのかもしれない。

2025年6月1日、このブログ開設から21周年を迎えました (^_^)/
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