渋谷区議会の「24年第2回定例会」本会議の個人質問(6月5日)で、羽田新ルートに関して牛尾真己議員(共産)の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約1千文字)しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
牛尾真己 議員(共産)【一般質問(個人)】
牛尾真己 議員(共産、区議6期、中央大学 II部理工学部卒、67歳)
問1:技術的方策検討会、住民に説明する場を設けるよう国交省に求めるべき
羽田低空飛行ルートについてです。
一昨年8月以来、国交省が設置した「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」が開かれておらず、住民からは「ルートの固定化を押し付けるための隠れ蓑だ」という批判も起きています。
区は技術的方策検討会の検討状況と今後の見通しについて、住民に説明する場を設けるよう国交省に求めるべきです。区長の見解を伺います。
問2:区民の声を聞くためにアンケートを実施すべき
品川区が行った区民アンケートには、8万7,086人から回答が寄せられ、羽田新飛行ルートに全体の44%、航路下では6割以上が生活や暮らしの中で影響を受けていると答えました。
その内容は「テレビの音や会話が聞こえない」「窓を開けられない」など騒音によるものが約9割で、落下物など安全性にも62%の方が「不安」と回答しています。
渋谷区でも広く区民の声を聞くためにアンケートを実施すべきと考えますが、区長の見解を伺います。
問3:国に対し新飛行ルートの中止を求めるべき
固定化回避の検討が滞る中でも、落下物が数多く発生していることが明らかになっています。
新飛行ルートの導入に伴って設けられた部品欠落の報告制度では、羽田到着便から発見された部品欠落はこの4年間で1,798件に上ることが明らかになりました。
コロナからの回復や円安で海外からの飛行便が増える中で、落下物事故のリスクはますます高まっています。区長は国に対し新飛行ルートの中止を求めるべきです。見解を伺います。
※再質問なし
長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、3期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、52歳)
次に、羽田新飛行ルートについて3点のお尋ねです。
答1:説明会の開催を要望する考えはありません
はじめに、「羽田新経路の固定化回避における技術的方策検討会」の検討状況等、住民に説明する場を設けるよう国土交通省に求めるべきとのご質問ですが、国からは「現在検討中」との情報を得ています。
住民に対する説明の時期については検討状況と密接に関わることであるため、国において判断すべきであり、区から説明会の開催を要望する考えはありません。
答2:区がアンケートを実施する考えはありません
次に、アンケートを実施すべきとのご質問ですが、国の事業である羽田空港の機能強化に関しては、区がアンケートを実施する考えはありません。
答3:飛行ルートの中止を求める考えはありません
次に、新飛行ルートの中止を求めるべきとのお尋ねですが、落下物の安全対策については世界に類を見ない基準である「落下物防止対策基準」を策定し、区民負担の軽減につながる努力が続けられている現時点において、真に飛行ルートの中止を求める考えはありません。
雑感(暖簾に腕押し…)
毎度おなじみの、暖簾に腕押しの質疑応答……。
羽田新ルートの本格運用が20年3月に始まって、20年6月の第2回定例会以降、羽田新ルート問題に係る文字数(≒質疑応答時間)に減少傾向が見られた。23年に入ってやや持ち直したように見られたが、24年は低調……。
19年以降の各会派の登壇状況を可視化したのが次表。
- 共産党はほぼ毎回、羽田新ルート問題を取り上げている。
- 治田学議員(立憲)は、23年第1回臨時会(5月22日開催)で副議長に選出されてから、羽田新ルート問題を取り上げなくなった。
- 堀切稔仁議員(会派:立憲・国民渋谷議員団)は22年10月24日に、れいわ新選組に入党してから羽田新ルート問題を取り上げなくなった。
※事前質問項目に「羽田」の文言が含まれていないと、羽田新ルート取り上げ議員として認識されていない場合がある。
あわせて読みたい