不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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住宅ローン破綻などの実態がわかる統計データの開示を!

“住宅ローン破たん急増”のマスコミ情報はよく見かけるのだが、その多くは、実際にローン破たんした人の状況レポート。
住宅ローンの焦げ付き状況が分かる統計データを探してみるも、金融庁や日銀、メガバンクなどのホームページには開示されていない。


住宅ローン破綻データそのものは見つからないものの、総務省が実施している「家計調査年報(家計収支編)」に「年間収入五分位階級別(うち住宅ローン返済世帯)(全国・都市階級)」というデータがあった。
そこで「土地家屋借金純減」「可処分所得」から、住宅ローンの負担割合(=土地家屋借金純減÷可処分所得)を計算し、グラフ化してみた。
家計に占める住宅ローンの負担
この9年間で、年間の可処分所得が5万9千円減る(545,541円⇒494,631円)一方で、住宅ローンの負担割合は16%から20%に上昇している。


さらに、家計に占める住宅ローンの負担の割合を年収別に見たのが次のグラフだ。
家計に占める住宅ローンの負担(年収別)
予想されたことだが、年収が低い世帯ほど、住宅ローンの負担割合が大きい。
09年において、年収942万円以上の世帯の住宅ローン負担割合18%に対して、年収574万円以下の世帯は24%と高い。


金利が上昇すれば、低所得世帯ほど住宅ローン破綻しやすい危うさを秘めているということだ。
米国のサブプライムローンは、住宅が差し押さえられれば、持ち家は失っても、借金はチャラになるノンリコースローン。
一方、日本の住宅ローンは、住宅が差し押さえらたうえに、多くの場合引き続き借金を背負い続けなければならないリコースローン。敗者復活が難しい仕組みとなっている。


住宅ローン問題に警鐘を鳴らすべく、住宅ローン破綻などの実態がわかる統計データの開示が望まれるところだ。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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