不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


旧法借地権のマンションの将来は安泰か―


金曜日、マンション広告7枚。

新宿駅直通17分(途中急行乗り換え)、駅徒歩2分。総戸数57戸、15階建。販売戸数10戸、1LDK+S(57.47m2)〜3LDK+DEN(78.78m2)。販売価格2,998万円〜4,598万円。平成18年8月下旬竣工(本チラシ掲載日の7カ月後)。

駅チカ、15階建ての中規模マンション。
「物件概要」に目を凝らすと、分譲後の権利形態として次のように記載されている。

  • 専有面積割合による敷地利用権(所有権)の共有、及び敷地利用権(借地権)の準共有(旧法借地権、借地期間50年)
  • 地代(月額)/3,620円〜4,962円
  • 地代準備金(入居時一括)/21,720円〜29,772円

この記載をみて、借地権の意味するところを正確に理解できる人は、多くないだろう。
そもそも1992年に施行された新「借地借家法」は、「一般定期借地権」であれば、存続期間を50年以上で定めたうえ、借地期間満了時に契約更新しないですむという、土地の流動化の切り札として登場したもの。
一方、旧借地法では、地主は、「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他の正当な理由」がなければ、借地契約の更新を拒絶できない。
本マンションは、地主に有利な新法ではなく、借地人に有利な旧法が適用されているようだ。


内容を確認すべく、電話取材した。

  • 筆者「チラシには『旧法借地権』とありますが、なぜ新法でないのですか?」
  • 女性販売員「前の持ち主の旧法借地権をそのまま引き継いだからです」
  • 筆者「『借地期間50年』とありますが、前の持ち主の借地期間も含んでいるのですか?」
  • 女性販売員「いいえ、マンションが竣工してから、50年間となります」
  • 筆者「契約期間50年が満了したら、マンションの借地権はどうなるのですか?」
  • 女性販売員「地主に正当な理由がなければ、契約更新を拒絶できませんので、更に50年間の契約することが可能です」
  • 筆者「旧法借地権の前の持ち主は、どういう人なのでしょうか?」
  • 女性販売員「地場の印刷会社です」
  • 筆者「地場の印刷会社から、御社が旧法借地権を引き継がれたということなのですね」
  • 女性販売員「はい」
  • 筆者「ところで、地主さんはどのような方でしょうか?」
  • 女性販売員「〇〇寺の住職です」

地主がお寺の住職ということは、50年後の借地権更新も問題ないということか・・・・・・。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.