東京都は4月28日、「平成28年冬期 路上生活者概数調査の結果」を公表。
調査結果(概要)
(前略)区市別では、台東区の40人減をはじめ、千代田区、豊島区などで減少し、施設別では、都管理公園及び駅舎での減少が顕著となりました。これには、都と23区が共同で取り組んできた、自立支援センターの運営をはじめとする、路上生活者対策事業等の効果が、寄与しているものと考えられます。
- 都の公表資料は数値の羅列で、直感的に把握しにくい!
- 台東区の路上生活者は減ったが、渋谷区・新宿区は増えた!
- 渋谷区・新宿区の路上生活者数は昨年度を底に増加に転じている
- 路上生活者の半数近くは公園
- 女性の路上生活者数は男性よりも一桁少ない
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都の公表資料は数値の羅列で、直感的に把握しにくい!
区市町別や施設別(公園・道路・河川・鉄道・その他)に路上生活者(ホームレス)の概数が表形式で公開されているのだが、いかんせん数値の羅列で直感的に把握しにくい。
↓ 資料1 :路上生活者地域別概数調査一覧(平成28年1月)
そこで都の担当者に代わって、過去に発表されたデータも含めて可視化してみた。
台東区の路上生活者は減ったが、渋谷区・新宿区は増えた!
発表資料には「台東区の40人減をはじめ、千代田区、豊島区などで減少が顕著となりました」と記されている。
昨年度と比べて路上生活者が減少したTOP3は次のとおり。たしかに台東区の40人減は目立っている。
- 1位:台東区(▲40人)
- 2位:豊島区(▲12人)
- 3位:千代田区(▲11人)
では増加した区はなかったのか?
この点について、発表資料には触れられていない(都は偏った情報の伝え方をしてはいけない!)。
昨年度と比べて路上生活者が増加したTOP3は次のとおり。
新宿区、渋谷区で増えている!
- 1位:新宿区(27人)
- 2位:渋谷区(18人)
- 3位:品川区(9人)
地図に落としてみると、よく分かる。
以上は路上生活者数の「増減」について。
では、そもそも路上生活者が多い区はどこなのか?
平成28年1月時点で、路上生活者数が50人を超えているのは次の4区。
- 1位:渋谷区(107人)
- 2位:新宿区(97人)
- 3位:台東区(88人)
- 4位:墨田区(71人)
なんと、渋谷区と新宿区は、もともと路上生活者が多いうえに、さらに増加していたのだった。
渋谷区・新宿区の路上生活者数は昨年度を底に増加に転じている
念のため、過去に都が公表したデータをひも解き、新宿区・渋谷区の路上生活者数の変化を確認してみた(次図)。
平成22年度(平成21年1月)以降減少を続けてきた路上生活者数は、昨年度を底に増加に転じている。
今後の推移が気になるところである。
23区で路上生活者が多い場所はどこか?
路上生活者の半数近くは公園
平成27年度(平成28年1月時点)で、路上生活者の割合が多いのは、公園(48%)、道路(33%)、河川敷(10%)の順。
路上生活者の半数近くは公園にいるということになる。
路上生活者数にどれくらいの性差があるのか?
女性の路上生活者数は男性よりも一桁少ない
23区の男性の路上生活者数は漸減し、平成25年度に1,000人を切った。平成27年度は739人。
女性の路上生活者数は男性よりも一桁少ない。平成22年度以降、漸減していたが、平成27年度は6人増の33人。これは誤差範囲か――。
舛添東京都知事の海外豪遊費用(同行職員の費用を含む)の一部をロンドン市長並みに落とせば、かなりの費用を路上生活者対策に振り向けられると思うのだが・・・・・・。