先日投稿した「大手不動産のメディア・タブー性」の記事には、けっこう反響があった。
野村不動産Hだけが広告宣伝費をたくさん掛けているというようなことを書いていたら、読者の方々から「オフィス賃貸事業のようなBtoBは広告宣伝費があまり掛からないので、BtoBの売上比率の高い三井・三菱・住友は、野村より広告宣伝費率は低い」という趣旨のコメントをいくつか頂戴した。
少々大雑把なデータ分析記事に対して、もっともなご指摘なので、各社の事業セグメントも念頭に、もう少し詳しく分析してみよう。
- 野村不動産Hだけが広告宣伝費率が増加
- 各社の各事業セグメントをBtoBとBtoCに仕分けてみる
- 三菱地所は、売上高におけるBtoCの割合が3分の1
- 住友不動産は、BtoBでもBtoCでも高い営業利益率を確保
- 事業セグメントを勘案しても、野村不動産の広告宣伝費は多い
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まずは、広告宣伝費率(「売上高」に対する「宣伝広告費」の割合)のおさらいから。
野村不動産Hだけが広告宣伝費率が増加
ここ数年、野村不動産Hだけが広告宣伝費率が増加し、H26年度は4.0%に達している。
「大手不動産のメディア・タブー性」より
次に、不動産大手4社(野村・三井・住友・三菱)の事業セグメントをザックリとBtoBとBtoCに仕分けてみる。
各社の各事業セグメントをBtoBとBtoCに仕分けてみる
不動産4社の各事業セグメントを、次表に示すように、BtoB(鶯色)とBtoC(オレンジ色)に振り分けることとした。
三菱地所は、売上高におけるBtoCの割合が3分の1
上表によって振り分けたBtoB・BtoC別の売上高と、BtoC率(全売上高に占めるBtoCの割合)を次図に示す。
住友不動産と野村不動産Hの2社は、売上高におけるBtoCの割合が高く、6割を超えている。
「丸の内の大家さん」といわれている三菱地所は、売上高におけるBtoCの割合が3分の1(33%)と低い。
営業利益率についても確認しておこう。
住友不動産は、BtoBでもBtoCでも高い営業利益率を確保
住友不動産は、BtoBでもBtoCでも、他の3社よりも高い営業利益率を確保していることが分かる。
三菱地所(丸の内の大家さん)は、BtoBのほうで高い営業利益率を確保している(BtoCの営業利益率は低過ぎ)。
事業セグメントを勘案しても、野村不動産の広告宣伝費は多い
横軸を「BtoC率(売上高)」、縦軸を「広告宣伝費率」としてグラフを描いてみた。
グラフから、「BtoC率(売上高)」と比例して「宣伝広告費率」が増える様子が読み取れる。
BtoC率(売上高)がともに6割りを超えている住友不動産と野村不動産Hを比べてみると、住友不動産の宣伝広告費率が2%程度にとどまっているのに対して、野村不動産Hのほうは4%と高い。
4社の事業セグメントを勘案しても、やはりなお野村不動産Hの広告宣伝費は多いといえる。
(本日、マンション広告3枚)