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NTTデータの跡地に建つ、幹線道路沿いの大規模マンション。
【第2期 本広告】大手町駅直通14分、駅徒歩8分。総戸数358戸、19階建。販売戸数34戸、2LDK(58.11m2)〜4LDK(87.31m2)。販売価格3,910万円〜6,390万円。平成28年1月下旬竣工(本チラシ掲載日の2年後)。
- ※2013年7月13日(土)・7月21日(日)・10月12日(土)・10月18日(金)・10月25日(金)・11月23日(土)、2014年1月25日(土)の物件と同じ。
やっと出た第2期の「本広告」。販売戸数は総戸数358戸に対してたったの34戸。
この物件の南側に隣接して建設中の大規模マンションが、販売に影響していることは間違いないのだが――。
業界第1位と2位のデベロッパーとスーパーゼネコンが売主のこの物件(以下、「スーパー物件」)と南側の隣接物件(住宅・建設業界の最大手と中堅デベロッパーとマンション専業施工会社が売主なので以下「中堅物件」)のガチンコ勝負。
以下、勝負の行方を追ってみよう。
※建物の品質に係る比較はしていない。念のため。
「人気指数」の比較
「週刊ダイヤモンド 別冊〜これでカンペキ!購入最新ガイド 2014新春」(2014年1月19日号)に「第9回 人気マンション一覧」という記事がある。両物件の「人気指数」の内訳は、次図のとおりだ。
「人気指数」は次式によって定義されている。また、バブルの大きさが総戸数の相対的な大きさを示している。
- 人気指数=(資料請求数÷10+販売センターへの来場者数)÷総戸数
スーパー物件のほうが資料請求数、来場者数が多いので、人気指数が高い結果となっている。
ただ、人気指数の算出根拠となる「資料請求数」と「来場者数」のデータの信ぴょう性が確認できないので、あくまでも参考値。よって「人気指数」では勝敗は判断しない。
もう少し客観的な指標として、発売戸数の履歴を比較してみよう。
発売戸数の履歴からみた売れ行き比較 ※引き分け
『マンション・チラシの定点観測データベース』とリクルート社のフリーマガジン「SUUMO新築マンション(首都圏版)」のバックナンバーをひも解いて、これまでの両物件の発売履歴を可視化したのが次のグラフ。スーパー物件は期分けが4回(第1期1次・第1期2次・第1期3次・第2期)、中堅物件は期分けが2回(第1期1次・第1期2次)。
回数の違いはあれど、どちらも小刻みに期分け販売していることから、売れ行きはイマイチのようだ。
販売価格の比較 ※引き分け
次に販売価格を比べてみよう。「住まいサーフィン」のサイトで公開されている両物件の価格表を可視化したのが次図。
スーパー物件は「第1期」の149件、中堅物件は「第1期1次」の26件。
サンプル数の違はあるが、両者の分譲単価水準に大きな違いは見られない。
管理費・修繕積立金の比較 ※1敗
まずは管理費の比較。両物件のチラシに掲載されている管理費をそれぞれの専有面積で割ると、次のようにm2あたりの月額管理費が比較できる。
- スーパー物件:179円/m2・月
- 中堅物件:154/m2・月
管理費はスーパー物件のほうが高いが、不動産経済研究所が2012年8月30日に発表した「首都圏マンション 管理費調査」の23区の平均管理費が260円前後であることを勘案すると、かなり心許ない額だ(次図参照)。
後々の管理費の値上げ問題が懸念される。
次に修繕積立金の比較
管理費と同様に算出した修繕積立金は次の通りだ。
- スーパー物件:75円/m2・月
- 中堅物件:99/m2・月
修繕積立金は、スーパー物件のほうが安い。
ただ、修繕積立金は安ければいいというものではない。
将来、積立不足で困るのは、住民自身だからだ。
国土交通省が2011年4月18日に公表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、延床面積1万m2以上・15階建て未満のマンションの修繕積立金(月額)は135〜220円/m2(平均値178円/m2)。
また、20階建て以上のマンションの修繕積立金(月額)は170〜245円/m2(平均値206円/m2)とされている。
グラフで示すと次図のようになる。
国交省のガイドラインの目安額から大きく乖離していることが分かる。
さらに両物件の管理費と修繕積立金を同時に比較したのが次図。
スーパー物件のほうが、管理費が高く、修繕積立金が低く設定されていることが一目瞭然。
将来、修繕積立金不足の問題で管理組合が紛糾する可能性が高いのはスーパー物件のほうだ。
よって、管理費・修繕積立金の評価において、スーパー物件の1敗。
駐車場の比較 ※1勝
両物件の駐車場の設置概要は次の通り。- スーパー物件
- 総戸数358戸に対して敷地内平面126台(設置率35%)
- 来客用、カーシェアリング用含む
- 中堅物件
- 総戸数459戸に対して159台(設置率35%)
- 平置駐車場2台、身体障がい者用駐車場1台、機械式駐車場156台
両物件の駐車場の設置率は35%と同じだが、スーパー物件が平置き式であるのに対して、中堅物件のほうは維持管理費のかかるうえに使い勝手のすこぶる悪い機械式駐車場だ。
次に駐車料金を比べてみたのが次図。
月極駐車場検索サイト「駐マップ( http://chumap.jp/ )」で両物件近くにある駐車場2カ所の料金はいずれも21,000円。
中堅物件のほうは、周辺相場よりも低い価格設定されている部分があるため、駐車場の抽選にあぶれた人が外部の駐車場を借りた場合との不公平問題が生じる。
よってもって、機械式駐車場を採用していて、かつ駐車料金の設定に問題がある中堅物件に対して、スーパー物件の1勝。
駐輪場の比較 ※引き分け
両物件の駐輪場の設置概要は次の通り。- スーパー物件
- 総戸数358戸に対して742台(1世帯あたり2台)
- 月額100円〜400円
- 中堅物件
- 総戸数459戸に対して918台(1世帯あたり2台)
- 月額100円〜500円
両物件とも1世帯あたり2台の設定。
駐輪料金は次図のとおり、中堅物件のほうに100円高い設定があるのが違うくらいだ。
よってもって、駐輪場については引き分け。
まとめ
以上をまとめると、次の通り、スーパー物件の1勝1敗3引き分け。- 発売戸数の履歴からみた売れ行き比較:引き分け
- 販売価格の比較:引き分け
- 管理費・修繕積立金の比較:1敗
- 駐車場の比較:1勝
- 駐輪場の比較:引き分け
(ザ・ガーデンズ西葛西 vs レジデントプレイス西葛西)
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