不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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屋内プールは10年後の卓球スペースか?

15mの屋内温水プールを備えた大規模マンション。

大手町駅直通19分、駅徒歩13分。総戸数555戸(保育施設1戸含む)、15階建。販売戸数未定、1LDK+S(57.05m2)〜5LDK(86.19m2)。販売価格未定。平成19年2月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年4カ月後)。

  • ○○スポーツ(=企業名)による水泳のレッスンを実施
    • 特定の時間帯を設け、ご希望の方に無料のワンポイントレッスンを行います。
    • また、有料にて成人対象、幼児・児童対象のスイミングスクールを開催予定。
    • 夏休み、春休みには短期集中プログラムも実施予定です。

共用施設について、将来不良資産化しそうなものはいらないという社会的認識が広まりつつあるというのに、本物件にはしっかりと屋内プールがついている。
ホームページをみると、たしかに「お住まいの方だけが利用できるプライベートなプール」とある。
しかも「15mプールの隣には、お子様が安心して利用できるよう、浅いタイプのキッズプール」も設置されている。
おまけに、「ひと泳ぎした後や疲れを癒したい時」のためのジェットバスまで設けられている。
いくら550戸の大規模マンションとはいえ、10年も20年も赤字を出さずにプールの運営(経営)ができるのか。
本物件から直線で700mほどのところに、区の屋外プール(大人500円・子供200円)。また、2km足らずの駅前ビル内に、深夜24時まで営業の25m×7コースのプールを備えた民間スポーツクラブもある。
本物件の屋内プールと競合していないか―。
などなど、いろいろと考えていたら、チラシに小さな文字で、しっかりと次のように注記されている。

  • 本サービスは入居後、○○スポーツ(=企業名)と管理組合との間で意見交換を行った上で、2カ月後を目安に稼動します。
  • サービス内容は変更となる場合があります。また、将来に渡って本サービスが受けられるとは限りませんので、予めご了承ください。

「将来に渡って本サービスが受けられ」なくなる可能性としては、○○スポーツ(=企業名)の倒産も考えられる。
運営管理を行う○○スポーツ(=企業名)の設立は1970年だから、いまから35年前。
マンションの建て替えまでの一般的な寿命は約40年。○○スポーツ(=企業名)の35年よりも長い。
水の事故、水質管理不良によるレジオネラ菌事故など、屋内プールの運営リスクを負うのは、○○スポーツ(=企業名)だ。
でも、○○スポーツ(=企業名)が善管注意義務を果たしていたとしたら、あるいは同企業にリスク負担能力がなければ、そのリスクを負うのは、マンション管理組合だ。
そもそも屋内プールの設置リスクそのものを負担するのは、管理責任のあるマンション管理組合だ。
10年後に屋内温水プールが卓球スペースに変わっている、なんてことはないだろうか・・・・・・。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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