Airbnbに登録されている物件を特定するのに、行政担当者らは苦労されているようだ。
簡単に特定できない主な理由のひとつは、Airbnbサイトの地図上に表示される物件の位置が正確ではないからだ。
行政担当者らが特定できるのは5割程度まで!?
自治体や厚労省が実施した調査結果をみると、Airbnb登録物件を特定できたのは、民泊対策に熱心な京都市でさえ51%(下記データはやや古いので、現在であればもう少し向上するかもしれない)。
- 京都市が16年10月4日に公表した「旅館業法における無許可営業疑い施設に対する指導状況」では、特定できたのは51%(725件のうち331件)。(京都市の「違法民泊」対策の成果がスゴイ!)。
- 広島市が16年7月に実施した民泊実態調査では、特定できたのは14%(264件のうち36件)。(広島市が実施した民泊実態調査のイマイチ)。
- 厚労省が17年3月1日に公表した「全国民泊実態調査の結果」では、特定できたのは47%(15,127件のうち7,129件)。(厚労省の全国民泊実態調査結果のイマイチ )。
Airbnb物件の位置は「秘密」扱い
簡単に特定できない主な理由のひとつは、Airbnbサイトの地図上に表示される物件の位置が正確ではないからだ。
Airbnbヘルプセンターに掲載されている文書には、「予約が確定するまでゲストにも秘密」とされている。
リスティングの住所は公開されますか?
リスティングの所番地は、予約が確定するまでゲストにも秘密です。一般公開の検索結果に表示されるのは、おおよその位置だけです。
かつての文書にはもっと露骨に、「正確な場所がわからないように、わざと少しズラして表示」していると記されていた。
地図に立っているピンの位置は物件の正確な場所がわからないように、わざと少しズラして表示しています。
正確な住所は予約を済ませた人にだけ送信されます。(Airbnbのヘルプ文書)←リンク切れ
住宅宿泊事業法案(民泊新法案)では、民泊を運営していることが周辺住民に分かるように標識を掲示することが求められている。
(標識の掲示)
第13条 住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令・厚生労働省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
だから、Airbnbの物件位置の秘密主義は相いれない。
まあ、Airbnbサイドとしては、個人情報をネットに晒さないという言い分があるのかもしれないが……。
Airbnbサイトでは民泊の位置がどれくらいズレて表示されているのか?
以下、検証してみた。
実際の位置よりも160mズレて表示されている事例
先日投稿したブログ記事「最安値は1泊1079円!京都の激安民泊を調べてみた 」で紹介した、左京区にある激安民泊を事例に検証してみよう。
同激安民泊は2階建てのシェアハウス。Airbnbには宿泊スペースごとに登録されていて、少なくとも10件登録されている。この10件は、実際には同一ホストが運営している2階建てのシェアハウス内にある。
同激安民泊の実際の位置と、Airbnbサイト上で表示されている10件の位置をグーグルマップに落としたのが次図。
最大で160mズレていることが確認できる。
これでは、行政担当者らがAirbnb登録物件を特定できないのも無理はない。
ちなみに、今回検証の対象とした左京区の激安民泊は、違法民泊ではない。2か月前(17年7月5日)に京都市の許可を得た簡易宿所(=合法民泊)である。Airbnbだけでなく、Booking.comやホテルズドットコムなどにも登録されている。