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市は業者に丸投げ!? 阿波おどり民泊

阿波おどり期間中の宿不足を緩和するため、徳島市は、市民に自宅の空き部屋などを提供してもらう「イベント民泊」を活用する。


もくじ

阿波おどり民泊で宿不足解消(朝日記事)

阿波おどり期間中の宿不足を緩和するため、徳島市は、市民に自宅の空き部屋などを提供してもらう「イベント民泊」を活用する。

ただし、食事は提供できない。

阿波おどり民泊で宿不足解消 徳島市が自宅の提供者募集

阿波おどり期間中(8月12~15日)の宿不足を緩和するため、徳島市は、市民に自宅の空き部屋などを提供してもらう「イベント民泊」を活用する。今月末まで受け入れ先を募集している。
(中略)
阿波おどり期間中の受け入れは8月11~16日(16日はチェックアウトのみ)。宿泊客1人あたりおおむね2畳程度のスペースを確保できることや、住宅用火災警報器を設置していることなどが条件。食事は提供できない

受け入れられる宿泊者は期間中1組だけ。同じ宿泊者の連泊は可能。住民が女性だけの家が宿泊者を女性に限定することや、「外国語対応はできない」といった条件をつけられる。宿泊料金は受け入れ先が決める。(以下略)

(朝日新聞デジタル 6月12日)

なぜ、宿泊者に対して食事の提供は不可なのか?

徳島市のホームページ「イベント民泊の実施に伴う自宅提供者募集のお知らせ」に掲載された「注意事項」を読むと、たしかに「宿泊者に対して食事の提供はできません」と書かれている。

注意事項(事前にご了解しておいていただきたいこと)

  • 宿泊者に対して食事の提供はできません
  • 安全面の観点より、自宅提供者の情報(住所・氏名等)は、事前に警察・保健所と共有します。
  • 提供する部屋や施設・設備等の現地確認のため、イベント民泊運営事務局の担当者がご自宅を訪問します。
  • 別途、ご案内する講習会等に参加してください。

 

自宅提供者のなかには、宿泊者らと食事を共にして懇親を深めたいと考える人もおられよう。

なのに、なぜ、宿泊者に対して食事の提供は不可なのか?

厚労省が2016年4月1日付で各都道府県観光担当部局宛に発信した「イベント民泊ガイドライン」(PDF:698KB)には、特に食事の提供に制約を課すような記載は見当たらない。

じつは、徳島市は、公募型プロポーザルを通じて、今回のイベント民泊業務を外部に委託している。

市の同業務の募集文書をひも解くと、イベント民泊の狙いの一つに「飲食店での食事」による経済効果を掲げていることが分かる。 

公募型プロポーザルの募集

徳島市の最大のイベントである徳島市阿波おどり期間中における、慢性的な宿泊施設の不足を緩和するとともに、市内に宿泊することによる滞在時間の延長によって、飲食店での食事や観光などの経済効果を生むだけでなく、地域住民と観光客の交流促進など、さまざまな効果が期待されるイベント民泊を実施します。

(「イベント民泊実施業務公募型プロポーザル実施要領」より)

ひらたくいえば、地元の飲食店にお金を落とすために、民泊提供者は宿泊者に食事を提供しないでね、ということだ。
まあ、これはこれで、地域活性化を兼ねたイベント民泊としてありだろう。

パソナに100万円以下で丸投げされたイベント民泊

「イベント民泊実施業務公募型プロポーザル実施要領」を読むと、委託金額の見積限度額は100万円(税込み)であることが分かる。

市は、なんとも面倒な業務をたったの100万円以下で、業者に丸投げしているのである。

丸投げされた業者はどこなのか?

市のホームページには応札結果は開示されていないが、落札した業者のホームページのほうにはその旨が記されている。

落札したのは、丸の内に本社を構える人材派遣会社のパソナ。

「徳島市阿波おどり」期間のイベント民泊を推進

(前略)パソナは昨年、シェアリングエコノミー協会と『地方創生実現に向けた包括的連携協定』を締結し、今年5月にはAirbnbと業務提携するなど、シェアリングエコノミーを活用した地域活性と就労機会の促進に取り組んでいます。

この度、徳島市で実施する『イベント民泊実施業務』では、パソナがこれまで培ってきた地方自治体の委託業務運営のノウハウと、取引先企業等のネットワークを活かし、自宅提供者の募集・審査、宿泊客の対応方法やイベント民泊の関連法規等に関する研修を実施します。

また、徳島市イベント民泊運営事務局を設置し、自宅提供者及び宿泊者からの問合せに応じる体制を整え、自宅提供者と旅行者双方がイベント民泊を安心・安全に利用できるよう支援してまいります。(以下略)

パソナグループニュース 6月2日

自宅提供者と宿泊希望者の募集、イベント民泊実施中の苦情対応、自宅提供者と利用者へのアンケート実施・取りまとめに加え、市の要請に応じて、保健所・消防・警察等関係機関との相談・協議にも担当者を派遣することが求められている。

100万円以下で受託したパソナは、今年の5月に業務提携したAirbnbのインフラを活用してこのイベント民泊業務をこなそうとしているのか・・・・・・。 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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