新宿区は民泊条例の制定に向けて10月5日、「住宅宿泊事業の適正な運営に関する「新宿区ルール」の骨子」を公表。10月5日~10月18日まで意見を受け付けている。
「新宿区ルール」の骨子は全11項目、2頁に簡素にまとめられている。主な点をひも解いておいた。
- 【目的】生活環境の悪化防止
- 【区の責務】目的達成のため警察と連携
- 【住宅宿泊事業者等の責務】生活環境の悪化防止「努力義務」
- 【宿泊者の責務】生活環境の悪化防止「努力義務」
- 【実施の制限】住居専用地域では週末の3日間だけOK
- 【土地・住宅提供者等の責務】契約書や管理規約に記載する「努力義務」
- 雑感
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【目的】生活環境の悪化防止
「新宿区ルール」制定の目的は、区民の生活環境の悪化を防止すること。民泊の推進ではない。
1 目的
- 住宅宿泊事業法に基づき規定すべき事項及び法に定めるもののほか住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関し必要な事項を定めることにより、住宅宿泊事業に起因する事象による区民の生活環境の悪化を防止することを目的とします。
【区の責務】目的達成のため警察と連携
ルールの目的(=区民の生活環境の悪化を防止)を達成するため、警察と連携することになっている。
2 区の責務
- ルールの目的を達成するため、住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する施策を策定しこれを実施します。
- 施策の実施に当たっては、警察・消防その他の関係機関と連携します。
※「3 区民の責務」は割愛。
【住宅宿泊事業者等の責務】生活環境の悪化防止「努力義務」
生活環境の悪化防止は住宅宿泊事業者等の「努力義務」に留まっている。
4 住宅宿泊事業者等の責務
- 住宅宿泊事業者及び住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業に起因する事象による生活環境の悪化を防止するよう努めなければなりません。
【宿泊者の責務】生活環境の悪化防止「努力義務」
生活環境の悪化防止は宿泊者に対しても「努力義務」が課せられている。
5 宿泊者の責務
- 宿泊者は、住宅を利用するに当たっては、生活環境の悪化を防止するよう努めなければなりません。
※6~9割愛。
6 近隣住民への周知等
7 届出住宅の縦覧
8 廃棄物の適正処理
9 苦情の対応記録
【実施の制限】住居専用地域では週末の3日間だけOK
住居専用地域では、月曜日から木曜日まで民泊ができない。
逆に言えば、民泊ができるのは週末の3日間だけ(金曜日から日曜日)。
10 住宅宿泊事業の実施の制限
- 住居専用地域(※)においては、月曜日から木曜日までは住宅宿泊事業を行うことができません。
※都市計画法第 8 条第 1 項第 1 号にいう第 1 種低層住居専用地域、第 2 種低層住居専用地域、第 1 種中高層住居専用地域及び第 2 種中高層住居専用地域- 住宅の敷地の過半が住居専用地域に含まれる場合には、当該敷地を住居専用地域とみなします。
【土地・住宅提供者等の責務】契約書や管理規約に記載する「努力義務」
賃貸借契約締結後のトラブルや、分譲マンションでのトラブルを未然に防ぐため、住宅宿泊事業の実施の可否について契約書や管理規約に記載するよう努力義務を課している。
11 土地又は住宅提供者等の責務
- 他人に土地又は住宅を提供する者は、賃貸借契約の締結の際、住宅宿泊事業の実施の可否について明記するよう努めなければなりません。
- 建物の区分所有者は、管理規約等に住宅宿泊事業の実施の可否について明記するよう努めなければなりません。
雑感
- 生活環境の悪化防止が住宅宿泊事業者と住宅宿泊管理業者の「努力義務」止まりで、条例制定の効果が期待できるのか?
ただ、住宅宿泊事業法との整合性を取る必要があるので、罰則規定を設けるのは難しそうだ。 - 住宅宿泊事業の実施の可否について、契約書や管理規約に記載することが土地・住宅提供者の「努力義務」止まりなのも上述同様。
- 住居専用地域での規制(民泊ができるのは週末の3日間だけ)は、かなり踏み込んだ内容となっている。他区への影響が大きいのではないか。