リクルートの無料情報誌『SUUMO新築マンション 首都圏版』の特集で、「シングル女子」や「50代」のマンション購入者が増えているような印象を与える記事が掲載されていた。でも、実際にはそうでないことを検証したのが次の記事。
実際のところ、新築マンションの購入層(年代・家族構成)の内訳は、どうなっているのか?
新築マンションの購入が多い層(クラスター)はどこか?
リクルート住まいカンパニーが17年3月15日に発表した「2016年首都圏新築マンション契約者動向調査」データを元に確認してみよう。
第一子入学前に新築マンションを購入している層が多い
首都圏新築マンションの購入層(年代・家族構成)の推移を次図に示す。
「夫婦のみの世帯」「第一子小学校入学前世帯」「第一子小学生以上世帯」の順に大きなボリュームを占めていることが分かる。
「第一子小学生 以上世帯」と比べて「第一子小学校 入学前世帯」は3倍近いことと、「夫婦のみ世帯」のなかにはDINKS(共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦)だけでなく出産予備群も含まれていることから、第一子が小学校に入る前に新築マンションを購入している層が多いことが推察できる。
「シングル女性 世帯」や「シングル男性 世帯」、「シニア カップル世帯」は数%でしかない。
リクルートのサンプリング調査は全数の1割を捕捉
以上は、首都圏新築マンションを実際に購入した人を対象としたサンプリング調査の結果であって、全数調査の結果ではない。
ただ、リクルート住まいカンパニーの調査対象者数は2010年以降、概ね4千人を超えていて、首都圏新築マンション発売戸数に対して1割程度を補足している(次図)。
そこで、このサンプリングデータをもとに、首都圏新築マンションの購入層の人数を推定してみよう。
「夫婦のみ世帯」「第一子小学校入学前世帯」各1万2千人
具体的には、不動産経済研究所が定期的に発表している「首都圏新築マンション発売戸数」に、リクルート住まいカンパニーのサンプリングデータの各購入層の割合を乗じて算出した。
首都圏の新築マンションの発売戸数が減少傾向にあるなかで、「夫婦のみ世帯」と「第一子小学校 入学前世帯」が大きなボリュームを占めていることが分かる(次図)。
16年時点で、「夫婦のみ世帯(11,697人)」、「第一子小学校 入学前世帯(12,127人)」と各1万2千人。
販売サイドとしては、ボリュームゾーンである「夫婦のみ世帯」と「第一子小学校 入学前世帯」に注力することが合理的に思えるのだが。
SUUMOが「シングル女子」や「50代」のニッチゾーンを特集したのは、需要の掘り起こし作戦なのか……。
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