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有料老人ホームの入居一時金は多いほうがお得!?

きょうは新築マンションの折込広告のほかに、有料老人ホームの折込広告も入っていた。

B4サイズの有料老人ホームの広告に掲載されている「入居一時金タイプ別」の月額利用料金が気になったので、いろいろ調べてみた。

入居一時金は多いほうがいいのかどうか、という話。


もくじ

↓ 「入居者募集中!」と記された有料老人ホームの広告

有料老人ホームの折り込み広告

※駅徒歩11分、17年9月1日開設、5階建て、98室(全個室)

入居一時金(前払金)とは?

そもそも「入居一時金」とは何なのか?

厚労省『高齢者向け住まいを選ぶ前に-消費者向けガイドブック』(PDF:1.8MB)によれば、入居一時金(前払金ともいう)とは、終身にわたって居住することを前提に支払う家賃のことをいう。

前払金()は、終身にわたって居住することを前提に支払う家賃で、その内訳は、

  • 想定居住期間における家賃
  • 想定居住期間を超えた期間に備えた家賃(将来の家賃負担)

から構成されます。
「入居一時金」「入居金」などと呼ぶ場合もあります。

厚労省『高齢者向け住まいを選ぶ前に-消費者向けガイドブック』P10より 

入居一時金タイプのどれを選べばいいのか?

チラシには、入居一時金「0円タイプ」から「960万円タイプ」まで、7種類掲載されている。

どのタイプを選べばお得なのか?

「月額ご利用料金」の注釈として、次のように記されている。

入居一時金のうち20%を初期償却。残りの一時金を5年60回で償却
※お食事代は1,800円×30日で掲載。
※敷金173,000円(すべてのタイプー律)が別途心要となります。

 「入居一時金のうち20%を初期償却。残りの一時金を5年60回で償却」ということは――

たとえば、「0円タイプ」部屋代17万3千円に比べて、「960万円タイプ」部屋代2万3千円が安いのは、入居一時金が月割り換算12万8千円(=960万円×80%÷60月)を負担しているからであることが分かる。

入居一時金を月割り換算し、入居一時金タイプ別に料金を比べたのが次のグラフ。 

月額利用料金は「0円タイプ」が276,320円と最も高く、「960万円タイプ」が254,320円と最も安い。その差は月額2万2千円。

有料老人ホーム月額利用料金の内訳 (入居一時金タイプ別比較)

まあ、金銭的な余裕があるならば、入居一時金は多く払ったほうが月額の負担が少なくなるので、安心できるかもしれない。

入居一時金は返ってくるのか?

でも、もし「入居一時金を5年60回で償却」する前に、死亡あるいは入院により有料老人ホームを退去しなければならくなったら、入居一時金を多く払うことは損することにならないのか?

たとえば、「960万円タイプ」で入居し、2年で退去した場合――

460万8千円(=960万円×80%×(5年-2年)÷5年)が返還されることになるのだが。

同ガイドブックによれば、入居期間が3か月を超えると、返還金額が変わるので、「事業者ごとの契約内容をよく確認しましょう」となっている。

前払金は、退去(死亡・引越しなど)の場合に返金されますか。

契約内容や退去の時期によって、返金額は大きく変わりますので、事業者ごとの契約内容をよく確認しましょう

  • (1) 入居期間が3か月以内であれば、日割家賃に相当する額を差し引いたうえで、残りの全額を返還することが法律で定められています。

  • (2) 入居期間が3か月を1日でも超えた場合は、前払金の一部(想定居住期間を超えた期間に備えた家賃等)について返還されない場合があります。退去する時期に応じて返還金額が変わります

  • (3) 入居期間が想定居住期間以上の場合は、全く返金されません。

厚労省『高齢者向け住まいを選ぶ前に-消費者向けガイドブック』P7より 

この事業者のチラシにもホームページにも、途中退去の返還金につては記載されていない(ホントに460万8千円返還してもらえるのか?)。 

長生きすると追加家賃は発生するのか?

では、途中退去ではなく、償却期間の5年を超えて長生きした場合の部屋代の負担はどうなるのか?

同ガイドブックによれば、「追加の家賃等が発生することはありません」とされている。

入居期間が「想定居住期間」を超えた場合、追加の支払いは必要ですか。

  • 追加の家賃等が発生することはありません。契約内容をよく確認してください。

厚労省『高齢者向け住まいを選ぶ前に-消費者向けガイドブック』P10より 

追加の家賃が必要ないとすると、本物件の場合、償却期間の5年を超えて長生きすると、入居一時金が高いタイプほど、6年目以降の利用料金が極端に少なくなることになる(次図)。

有料老人ホーム「部屋代+一時金」年額利用料金の推移 (入居一時金タイプ別比較)

入居1年目から5年目までは、「0円タイプ」と「960万円タイプ」の差は年間26万4千円。それほど大きくはない。でも、6年目からはその差は180万円に拡大。

たとえば70歳で入居し、80歳で退去する場合、「0円タイプ」と「960万円タイプ」の差は約2千50万円にもなる。もちろん80歳入居、90歳退去でも同じ額だ。

となると、経済的に余裕のある人は「960万円タイプ」を選択するのが正解となるのではないか。

まあ、いずれにせよ、こんな面倒な計算をしたり、契約内容を確認したりすることは70歳を超えると誰でも的確にできるとは限らない。頭が冴えているうちに、よく検討しておくか、老いては子に従うしかないのかもしれない……。 

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2018年6月1日、このブログ開設から14周年を迎えました (^_^)/
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