観光庁は来年度から、民泊を提供する家主からの情報をもとに、宿泊日数などを公表するという。
自治体に登録された合法民泊だけが統計対象であるならば、民泊の実態把握からは程遠い……。
観光庁、来年度から民泊統計を公表(日経記事)
観光庁は来年度から、民泊を提供する家主からの情報をもとに、宿泊日数などを公表するという。
民泊統計を公表 観光庁、来年度から宿泊日数など
観光庁は来年度から、住宅に旅行者を有料で泊める民泊の統計を公表する。訪日外国人客は今年1~9月で2千万人を超えており、一定の割合で民泊を利用しているとみられるが、現状では実態を把握できていない。民泊を提供する家主からの情報をもとに、宿泊日数などを公表する。
民泊は来春をメドに住宅宿泊事業法(民泊法)のもとで新しいルールができる。家主は自治体に登録を義務づけ、営業日数の上限は180以内に定める。統計は国籍や年齢なども対象にする。公表ペースは今後詰める。(以下略)
(日本経済新聞 10月19日)
合法民泊だけが統計対象だと、民泊の実態把握からは程遠い
「民泊を提供する家主からの情報をもとに、宿泊日数などを公表する」と報じられている。
ここでいう 「民泊を提供する家主」とは、住宅宿泊事業法に基づき自治体に届出・登録された家主だけが対象というように読める。
現在、全国でAirbnbに登録されている民泊は5万件を超えている。その多くは無届け民泊(=違法民泊)である(全国Airbnb登録件数 5.3万件(前月比0.5%増))。
住宅宿泊事業法の施行(18年6月施行見通し)に向けて、違法民泊がどのくらい合法民泊にシフトするのか。たとえば、1年8か月前に特区民泊が始まった大田区では、合法民泊はAirbnb登録件数の1割にも満たないという実態がある(大田区の特区民泊2泊3日、違法民泊増加に歯止め!? )。
Airbnbはホスト(=家主)情報を行政に提供すると喧伝しているが、行政に提供するのはあくまでも「新規ホストの登録情報」。既に登録されているホストの登録情報も提供するとは言っていない(Airbnbの違法民泊防止対策、どこまで本気なのか?)。
さらにいえば、「住百家」「自在客」「途家」といった中国版Airbnbサイトに登録された物件をどのように捕捉するのか。大阪ではAirbnb登録物件1.2万件に対して、中国版Airbnbの登録物件は4千件(中国版Airbnb|「途家」登録件数の伸び鈍化 )。
自治体に登録された合法民泊だけが統計対象であるならば、民泊の実態把握からは程遠い……。
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