住まいサーフィンを運営しているスタイルアクト社の代表取締役 沖 有人氏の新刊『独身こそ自宅マンションを買いなさい』朝日新聞出版(2018/9/20)を読了。
マンション購入は早いほど得をするという。婚活の前に家活を勧める本書は、ベストセラーになった『マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく』の独身購入編みたいな……。
ブログ読者の興味を引きそうなところ、3か所抜粋しょう。
自宅は裏切らない
持ち家という資産を持つことで、同棲・結婚・離婚といった、人生の選択肢を増やすことができるので、「結婚しても3年は売るな」という沖先生の教え。
一人暮らし用に購入したマンションは結婚を機に売却することが多いが、買った物件を賃貸に出して家賃収入をローンの返済に当てるという選択肢もある。この方法は会社員時代に組んだローンをそのまま借り続け、離婚した場合のセーフティネットを確保するという意味がある。
統計上、離婚は結婚後3年までに起きる率が高いので、一人暮らし用のマンションを3年間売らずにキープしておけば、離婚したときに戻る家を確保できることになる。
(中略)
自宅は裏切らない。
恋人はあなたを見捨てても、家はあなたを見捨てることはない。何かあってもいつも変わらず受け入れてくれ、あなたを大切にしてくれる。伴侶と別れたとき、死別したとき、持ち家は何よりもあなたの力になってくれる。
持ち家という資産を持つことで、同棲・結婚・離婚といった、人生の選択肢を増やすことができるのだ。(P114-117/第4章 自宅は「身の丈」で選ぶと損をする)
本書を男性視点で読んでいたが、上記文章などは女性により受け入れられやすいのかも。
腐っても港区
「山手線から離れていない区」を選ぶのが鉄則だという。
まず「地域」という点から見ていくと、首都圏であれば23区内であることは大前提で、さらに「山手線から離れていない区」を選ぶのが鉄則だ。
お勧めは港区、千代田区、中央区の「都心3区」である。「港区〇〇」や「中央区〇〇」という地名にはそれだけでプレミアムがつく。
実際はモノレールで通勤するしかない湾岸エリアの外れにあるマンションでも、港区というだけで高値がつくのだ。不動産市場では「腐っても港区」なのである。
さらに資産性という面からは区の下のアドレスも絶対的に重要となる。これについては街のイメージがポイントだ。独身女性がうらやましがるような、不動産市場で人気の街を選ぶこと。(P167-168/第7章 おひとりさまが資産を築ける物件選び)
「独身女性がうらやましがるような」って、本書は男性の視点で描かれているのか……。
30m2以下は買ってはいけない
30m2未満の物件は市場価値が落ちるので買ってはいけないという。
面積要件も重要で、買うには最低でも30m2以上なければいけない。電話販売などで売り込みの多い30m2未満のワンルームには、手を出してはならない。
(中略)
答は住宅ローンの面積制限にある。30m2未満の物件は住宅ローンの対象にならないのだ。そうなると買い手は限られてしまい、市場価値は落ちてしまう。
かろうじてぎりぎり30m2あればローンを組めるのが、これまでも話に出てきた「フラット35」であり、それが買ってよい物件面積の下限となる。
「フラット35」は例外的に小さな物件まで融資対象に含めているが、一般の金融機関の住宅ローンは50m2m以上という条件が一般的だ。より有利な変動金利のローンが使える50m2以上の物件のほうが買い手は増えるので中古での売却額が高くなる。それが実績にも表れている。
50m2以上あるともう一つ良いのは、住宅ローン控除が認められることだ。50m2未満では控除が認められないので、これも市場価値が下がる原因となる。(P176-178/第7章 おひとりさまが資産を築ける物件選び)
不動産経済研究所のコンパクトマンション(専有面積30m2以上50m2未満)の見立てとは若干違う。
同研究所が18年8月22日に発表した「首都圏コンパクトマンション供給動向2018年上半期」では、「今後のコンパクトマンションは、エンドユーザーの多様なニーズは変わらず高い人気を維持していることから、供給は安定的に推移することになりそうだ」。
※詳しくは、「23区の「コンパクトマンション市場動向」を可視化」参照。
本書の構成
8つの章から構成されている。全232頁。
- 第1章 おひとりさまで住むのが当たり前になる
- 第2章 人生100年時代の分譲×賃貸シミュレーション
- 第3章 意外と知られていない「一生賃貸」のリスク
- 第4章 自宅は「身の丈」で選ぶと損をする
- 第5章 「独身のうちは賃貸」を疑え
- 第6章 独身こそが「自宅投資」に有利な理由
- 第7章 おひとりさまが資産を築ける物件選び
- 第8章「独身が家を買うリスク」についてお答えしよう