ドライバーの長時間労働の抑制やCO2削減の観点から、宅配の再配達を減らすには、宅配ボックスの設置の有無がキーになる。
環境省・国交省・経産省は、様々な検討を行っているが、宅配ボックスの普及状況が分かる統計データは見当たらない。
そこで、筆者が独自に、都内マンションの宅配ボックスの設置状況を調べてみた。
- できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン
- マンションの宅配ボックス設置率の推定方法
- 築20年以内のマンションの宅配ボックスの設置率は5割
- 23区の中古マンションの宅配ボックス設置状況(推定)
- 都内の中古マンションの宅配ボックス非設置マップ
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できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン
ドライバーの長時間労働の抑制やCO2削減の観点から、政府と宅配業界などが宅配便の荷物を1回で受け取るよう呼びかけるキャンペーンを始めている。
「宅配便、1回で受け取りを」 再配達抑制へ国呼びかけ
政府と宅配業界などが宅配便の荷物を1回で受け取るよう呼びかけるキャンペーンを始めた。留守による再配達に伴うドライバーの長時間労働を抑えるだけでなく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素CO2の排出の増加に歯止めをかけるのがねらいだ。
環境、国土交通、経済産業の各省と、宅配や通販、コンビニエンスストア、鉄道、住宅など業界の垣根を越えた約100社・団体が、配達日時の指定サービスの利用や、宅配ボックスやコンビニ、宅配業者の営業所での受け取りを呼びかけている。(以下略)(朝日新聞 4月4日)
たしかに、環境省が運営しているCOOL CHOICEのサイトでは、「できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」が展開されている(次図)。
(COOL CHOICE)
マンションの宅配ボックス設置率の推定方法
では、いったいマンションの宅配ボックス(ロッカー)はどのくらい普及しているのか?
ネットでググってみたところ、そのような統計データが見当たらない。
それならばということで、筆者独自の調査によって、確認してみよう。
具体的には、SUUMO(スーモ)の中古マンションの検索サイトで、「宅配ボックス」のフィルター機能(次図)を活用して、都内の宅配ボックス設置住戸数を調べてみた。
築20年以内のマンションの宅配ボックスの設置率は5割
SUUMOサイトで、23区の中古マンションとして登録されていたのは18,432戸(4月8日現在)。
その18,432戸を築年数ごとに、宅配ボックスが設置されている住戸数と設置されていない住戸数を拾って、可視化したのが次のグラフ。
築20年以内のマンションの宅配ボックスの設置率は概ね5割。
築20年を超えると、宅配ボックスの設置率が急激に低下することが分かる。
23区の中古マンションの宅配ボックス設置状況(推定)
宅配ボックスが設置されていない住戸が多い区はどこか?
SUUMOの中古マンションの戸数は、あくまでも登録された戸数であって、全ての中古マンションの戸数を表しているわけではない。
総務省が5年ごとに調査している「住宅・土地統計調査」であれば、各区の全部の「共同住宅」の戸数が分かる。
そこで、同調査のうち、2013年(平成25年)の東京都の「共同住宅」の戸数にSUUMOで求めた宅配ボックス設置率を掛け算して、区市町ごとに宅配ボックス設置戸数を推定することにした。
推定結果を次図に示す。
マンションの宅配ボックス「非設置戸数」が最も多いのは世田谷区(約26万戸)となった。2番目に多いのは大田区(約21万戸)。
都内の中古マンションの宅配ボックス非設置マップ
23区だけでなく、都下も含めて中古マンションの宅配ボックスの非設置戸数を計算し、地図に落としてみた。
23区では西部の非設置率が高いことが分かる(次図)。
宅配ボックスが設置されていない中古マンションの戸数(推定)の分布は次図。
大田区や世田谷区の宅配の方はご苦労されているということだろうか。