電通は2月28日、毎年恒例の「2018年 日本の広告費」を発表。
2018年 日本の広告費
- 日本の総広告費は、6兆5,300億円(前年比102.2%)となり、7年連続のプラス成長
- インターネット広告費は、1兆7,589億円(前年比116.5%)、5年連続の二桁成長となり、地上波テレビ広告費1兆7,848億円に迫る
- マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、582億円(新設項目)
発表資料のリンク先(PDF:619KB)には、「媒体別広告費(2005年~2018年)」や「業種別 マスコミ四媒体広告費 」など、表形式のデータも掲載されていたので可視化・分析してみた。
媒体別
ネット広告だけが成長中…
日本の広告費の推移を媒体別に見ると、「マスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)」は09年に大きく落ち込んだ後、回復せずに2.7~2.8兆円前後で低迷(次図)。
「プロモーションメディア(折り込み広告やダイレクトメールなど)」は07年をピークに漸減し、11年以降2.1兆円前後で足踏み。「インターネット」だけが成長し続けていて、18年に1.7兆円を突破。
マスコミ四媒体:新聞の広告費、漸減中…
マスコミ四媒体である新聞・雑誌・ラジオ・テレビの広告費の推移を次図に示す。
テレビの広告費は、09年に落ち込んだあと漸増し、2兆円近くまで回復したが、16年の1.97兆円をピークに漸減。
新聞の広告費は、漸減中。18年に5千億円を下回った(4,784億円)。
プロモ広告費:折込広告の減少が目立つ
プロモーションメディアの広告費の推移の推移を次図に示す。
「折込」の減少が目立つ。18年に4千億円を下回った(3,911億円)。
「展示・映像他」(展示会、博覧会、PR館等の制作費、シネアド・ビデオなどの制作費と上映費など)の広告費は増加し、「DM」に迫っている。
19年にネット広告費はテレビ広告費を逆転する!?
広告媒体広告費のうち、主な広告費の推移を一つのグラフにまとめてみた(次図)。
インターネットの広告費の増加ぶりが一目瞭然。
このままの勢いで推移すると、ひょっとすると19年にはネット広告費はテレビ広告費を逆転するかも……。
次に、業種別広告費を可視化・分析してみよう。
業種別
広告費ランキング:1位「情報・通信」
マスコミ四媒体合計の業種別(21業種)広告費ランキングを次図に示す。
1位の「情報・通信(2,849億円)」は全体の約1割を占めている。
ちなみに、不動産・住宅設備は1,217億円で11位。
テレビ広告依存率:1位「情報・通信」
上図を見ると、業種によって四媒体への依存の割合が大きく異なっていることに気がつく。
そこで、業種別の媒体依存率(マスコミ四媒体の合計広告費に対する1媒体の広告費割合)を可視化したのが次図。
テレビ依存率1位は情報・通信(85.1%)。8割を超えているのは、次の5業種。いずれもテレビCMでよく見かける業種ばかり。
- 情報・通信(85.1%)
- 家電・AV機器(83.2%)
- 金融・保険(82.4%)
- 飲料・嗜好品(82.4%)
- 自動車・関連品(81.8%)
新聞依存率トップ3は次のとおり。「出版」「流通・小売業」は新聞依存率が高い業種なのだ。
- 案内・その他(69.4%)
- 出版 (63.9%)
- 流通・小売業(40.6%)
※「案内・その他」は、案内広告(新聞、雑誌)、臨時もの、連合広告、企業グループなど。
雑誌依存率が高い業種は、「ファッション・アクセサリー」(54.4%)。これは感覚的にも理解できる。
インターネット広告費やプロモーションメディア広告費についても、業種別の分析をしたいのだが、残念ながらそれらの情報は開示されていない。電通の最高機密なのか……。