国交省は5月6日、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に伴う飛行制限区域の設定」を公表。
東京五輪・パラ開催期間中であっても、羽田新ルートの運用が停止されることはないようだ。
では、開会式や閉会式、各競技は羽田新ルートの航空機騒音の影響を受けるのか?
東京五輪・パラ期間中、飛行制限
国交省が公表した資料によれば、東京五輪・パラ開催期間中、航空機テロ対策のために、開閉会式会場と各競技会場の上空に飛行制限をかけるという。
国土交通省は、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴い7月21日から9月5日までの間、開閉会式会場及び各競技会場を中心とする円内等において、飛行制限区域を設定いたします。
国土交通省は、国際テロ等の厳しい情勢を踏まえ、航空機によるテロ防止対策の一環として、以下のとおり航空法第80条に基づき飛行制限区域を設定いたします。
羽田の定期便は対象外となっている。つまり、東京五輪・パラ開催期間中も羽田新ルートは運用されるのである。
飛行制限を適用しない航空機
- 警備等を任務とする航空機(警察等)
- 管制機関から飛行を認められた航空機(定期便(東京国際空港他)等)
- 航空法第80 条但し書きによる許可を受けた航空機(報道機等)
- 航空法第81 条の2に基づく捜索又は救助のための航行を行う航空機(消防・防災ヘリ等)
飛行制限区域は、以下とされている。
- [1]開閉会式時:国立競技場を中心とする半径25海里(約46Km)の円内
- [2]競技実施時:各競技会場を中心とする半径1.6海里(約3Km)の円内
- ただし、東京都心部については、複数の競技会場を包括する多角形の区域
開閉会式時の飛行制限区域を次図に示す。
国交省公表資料に筆者がピンクを加筆
開閉会式や各競技は羽田新ルートの航空機騒音の影響を受けるのか?
羽田新ルートの到着ルートのうち、C滑走路到着ルートは新国立競技場の中心から西側水平距離約300m、高度約900m上空を通過する(次図)。
では、開会式や閉会式、各競技は羽田新ルートの航空機騒音の影響を受けるのか?
東京2020パラリンピック競技大会公式ウェブサイトによれば、五輪・パラの開会式・閉会式はいずれも20時から23時まで。C滑走路到着ルートが運用されるのは、南風時の15時から19時だから、航空機騒音の影響を受けることはない。
では、各競技はどうなのか?
オリンピックスタジアムで開催されるのは、五輪の女子サッカー決勝戦と五輪・パラの陸上競技。女子サッカー決勝戦は8月6日(金)11時から14時だから航空機騒音の影響を受けることはない。
陸上競技は、五輪9日間、パラ10日間開催されるのだが、夏の猛暑の時間帯が外されていることもあり、C滑走路到着ルートの運用時間帯と重なっているのは、8月5日(木) の五輪陸上(9時~15時5分)のみ。しかも重なっている時間は5分程度。
なお、羽田新ルートは1都3県の各競技会場の上空は通過しない。
国交省公表資料に筆者が羽田新ルート(ピンク線)を加筆
結論
以上をまとめると、東京五輪・パラは夏の猛暑の時間帯が外されていることもあり、たとえ羽田新ルートの南風運用がされていても、開閉会式に旅客機が上空を通過する可能性はゼロ。また、各競技時間帯に旅客機が上空を通過する可能性はほとんどない。したがって、開閉会式が航空機騒音の影響を受ける可能性はゼロで、各競技が航空機騒音の影響を受ける可能性はほとんどない、というのが結論。
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