国土交通省が12月25日に公表した「住宅着工統計(令和7年11月分)」。クリスマスの喧騒の裏で、マンション市場の「冷え込み」を如実に示す数字が弾き出された。
数字の羅列では見えてこない市場の「崖」を、6つのグラフで可視化していく。
25年11月の住宅着工動向について、公式発表には次のように記されている。
新設住宅着工戸数:59,524戸
(前年同月比8.5%減、先月の増加から再びの減少)
- 分譲住宅:16,103戸
(前年同月比11.3%減、先月の増加から再びの減少)
- マンション:5,551戸
(29.7%減、先月の増加から再びの減少)
これだけでは実態がつかめない。いつものようにマンション関連のデータを中心に深掘りしてみよう。
【全国】止まらない減少。再びマイナス圏へ沈む
まずは全国の分譲マンションの動きだ。11月の着工戸数は、前年同月比で29.7%の減少となった。
先月ようやく微増に転じ、回復の兆しが見えたかと思われた。しかし、今月で再び大きく沈み込んだことが次図から確認できる。リーマンショック時のような極端な崖ではないものの、回復の足取りは重い。

【首都圏】前年同月比▲56.7%減という「異常事態」
三大都市圏別の推移を可視化したのが次図だ。特に首都圏(赤色)のボリュームが、長期的には右肩下がりのトレンド(黒破線)に押し戻されているのがわかるだろう。

ただ、このグラフは月ごとの変動が激しいため、トレンドが掴みにくい。そこで季節変動の影響を排除するため、首都圏の前年同月比に絞って可視化したのが以下のグラフだ。
結果は、前年同月比▲56.7%減。つまり、1年前に比べて供給が半分以下にまで削ぎ落とされているのだ。

【東京都】1,037戸、市場から消えたマンション
さらに解像度を上げ、1都3県の推移を見てみよう(次図)。各県とも激しく乱高下しているが、注目すべきは「実数」の減り幅だ。
神奈川県は前年同月(1,480戸)から306戸へと約8割も激減。東京都も2,008戸から1,037戸へと半減した。1都3県が足並みを揃えるように、供給の蛇口が固く締められている様子が見て取れる。

東京都の前年同月比に絞って可視化したのが次のグラフだ。都内の着工戸数は前年同月比▲52.7%減。首都圏全体の冷え込みを、最大市場である東京の落ち込みが決定づけている。

最後に、過去20年以上の「11月の実績」だけを並べたのが以下のグラフだ。 今月の実績はわずか1,037戸。青い◯印で示された近年の傾向を見ても、2025年11月の落ち込みがいかに深いかが一目瞭然だろう。かつて月間5,000戸を超えていた時代を知る者からすれば、隔世の感がある。

なぜ、これほどまでに建たないのか?
建築コストの高騰、用地取得の難航。デベロッパーが「高くても確実に売れる」と確信できる物件以外、着工を見合わせているのが現状だろう。
しかし、消費者にとっての真実は一つ。「供給が減れば、希少性は増し、価格は下がらない」ということだ。この1,037戸という数字は、都心の新築マンションがもはや「普通の共働き世帯」には届かない、選ばれし者のための商品へ完全に移行したことを告げているのかもしれない。
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