第219回臨時国会(25年10月21日~12月17日)の衆議院の質問主意書のなかに、5番目としてマンションの高騰に係る次の質問主意書が埋もれている。
平岩征樹 衆議院議員(減税保守こども)が10月21日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。
読みやすいように、一問一答形式に再構成。
※時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。
平岩征樹 衆議院議員(減税保守こども)
平岩征樹 衆議院議員(当選回数1回、国民民主⇒無所属(減税保守こども)、同志社⇒京大院卒、45歳)
※不倫により5月14日、国民民主党を離党。10月21日、河村たかしが代表を務める院内会派「減税保守こども」に入会。
東京都心部においてマンション価格が高騰している。23区では新築、中古ともに高騰が際立ち、中古マンション価格は2024年において対2015年比で62%上昇した。その間の名目賃金の推移は概ね横ばいであり、中低所得者にとって住宅取得に困難が生じている。このことからエッセンシャルワーカーや学生を含む若者が大都市からクラウドアウトされてしまう可能性が生じており、その対策が急務である。以下質問する。
問1:住宅価格上昇への寄与度が高いと認識している原因は?
東京23区における住宅価格の上昇は建設費用の増大や投機的取引の増加、人口増加による需給のひっ迫等が挙げられるが、政府として住宅価格上昇への寄与度が高いと認識している原因は何か。
答1:一概にお答えすることは困難
御指摘の「東京23区における住宅価格の上昇」については、令和7年3月13日の参議院国土交通委員会において、楠田国土交通省住宅局長(当時)が「近年のマンション価格の上昇につきましては、供給と需要の両面での様々な要因によるものというふうに認識をいたしております。具体的には、まず、供給の面におきましては、資材価格や労務費の上昇などに伴います建設コストの上昇、開発適地の減少、ホテルなど住宅以外の用途の事業との競合に伴う用地取得費の上昇などが影響しているというふうに考えてございます。また、需要の面につきましては、都市の再開発による魅力向上などを背景といたしました都市部への人口流入や、立地等に優れた都心部等のマンションを求める共働き世帯の増加などが影響しているというふうに考えているところでございます。」と答弁したとおりであり、様々な要因が複雑に絡み合っていることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である
問2:外国の個人・法人による不動産保有が寄与している影響?
投機的取引が住宅価格上昇に与える影響のうち、外国の個人もしくは法人による不動産保有が寄与している影響を定量的に示されたい。
答2:お答えすることは困難
御指摘の「住宅価格上昇」については、様々な要因が複雑に絡み合っていることから、お尋ねの「投機的取引が住宅価格上昇に与える影響のうち、外国の個人もしくは法人による不動産保有が寄与している影響」のみを特定して把握することは困難であるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
問3:投機的取引の規制、さらなる課税強化が必要
投機的取引の規制については短期売買の規制や短期譲渡所得へのさらなる課税強化が必要だと考えるが政府の見解如何。
答3:まずはマンションに係る投機的取引の状況について実態把握
お尋ねの「短期売買の規制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「投機的取引の規制」の必要性については、まずはマンションに係る投機的取引の状況について実態把握を行うことが必要と考えており、その実態も踏まえつつ、適切に判断することとなる
問4:投資家が保有する空き家への課税をを政府が主導すべき
需給ひっ迫の解消には空き家を住宅市場に戻す施策が必要であり、神戸市で検討されているタワマン空室課税のような投資家が保有する空き家への課税を政府が主導すべきと考えるが見解如何。
答4:空き家の活用を促進するための税制上の措置を講じているところ
お尋ねの「住宅市場に戻す施策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、政府としては、空き家の活用を促進するための税制上の措置を講じているところであり、まずは当該措置等により、引き続き、空き家の流通及び活用の促進に取り組んでまいりたい。
雑感(住宅危機を前に、政府の温度はあまりに低い)
平岩議員が投げかけたのは、東京のマンション価格が「庶民の手から離れていく」現実をどう見るか、という直球の問いであった。だが政府答弁は、どれも歯切れが悪い。一概にお答えすることは困難」「まずは実態把握」と、慎重すぎるほどの表現が並ぶ。
確かに住宅価格は多因子的で、単一の原因を特定するのは難しい。しかし、問題は「わからない」ことではなく、「動かない」ことである。
若者やエッセンシャルワーカーが都心から押し出されている現状を前に、悠長な実態調査では手遅れになる。タワマンの空室課税にしても、地方自治体が動き始めているのに、国は「様子見」の構えだ。
市場の熱狂が冷めるのを待つのか、あるいは政策で冷ますのか。問われているのは、危機感の温度差である。
あわせて読みたい
