江戸川区議会の「25年第3回定例会」決算特別委員会(10月3日)で、羽田新ルートに関して質疑応答があった。
録画放映をもとに、テキスト化(約4千文字)しておいた。
※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
※答弁は環境課長
太田彩花 議員(共産)

太田彩花議員(共産、区議1期、品川学藝高等学校卒、30歳)
太田:区はどのような対応をしてきたか?
航空機騒音についてお尋ねをいたします。羽田の新ルートの運用が始まってから5年余り、航空機による騒音被害が訴えられています。資料にも一部載っていますけれども、実際に区民からは具体的にどのような内容の声がこれに対して届いてますでしょうか。また、区はどのような対応をしてきたか教えてください。
課長:国交省に、住民からの声があれば都度伝えて

(環境課長)
羽田空港の機能強化に関して、区民の皆さんから集まってきたお声ということでありますけれども、令和2年の3月から新ルートの運用が始まりまして、当初は飛行機が増えて「音が大きい」「うるさい」。荒川上空がルートなんですけれども、「荒川上空でないところを飛んでいる」、あるいは「飛行機の高さが低い」「低空飛行をしている」というようなご意見が届いていたところでございます。現在でも頂くご意見としては、「飛行機がうるさい」「騒音の音が大きい」というものが主な内容となっている状況です。
どういった対応をしたかということなんですけれども、お声をいただいた際には羽田空港の機能強化の必要性に関して、丁寧に我々の方でご説明をさせていただいたり、あるいは「ルートを外れているんじゃないか」というようなご意見に対しては、天候によって航路が多少ずれるようなことがあるというような、そういったことを丁寧にご説明をしてきたところであります。
それ以外としましても、区独自で清新町に航空機騒音の測定拠点を設けて監視を続けているところでございますし、国交省に対しては住民からの声があれば都度伝えて、騒音の軽減であったり、あるいは落下物の防止だったり、そういったことを求め続けているところでございます。以上です。
太田:教室型の住民説明会、(国に)求めるべき
ありがとうございます。私のところにも区民から、「飛行機の音で眠れない」「テレビの音が聞こえない」という苦情が寄せられています。また、頭痛とか耳鳴り、精神疾患、実際に健康被害となって現れている方もいらっしゃいます。清新町、西葛西をはじめとして、平井からもその声を頂いてます。
中には「気にならない」という方もいらっしゃいますでしょうけれども、実際に区民がこうして被害を被っているという事実がありますので、区としてもそれに寄り添った対応をもっと取っていただきたいと思っております。
昨年の12月に「羽田新経路の固定化回避に係る第6回技術的方策検討会」が開催をされまして、その内容が「羽田空港のこれから」と題した国交省のビラなどに書かれて全戸配布をされたと思いますけれども、これを見ただけでは内容もちょっと理解しにくいものですし、一方的なので区民がそれに対して意見を述べる機会もない状況です。
やはり一番は、区として国に対して正式に教室型の住民説明会を開いて、質疑応答などできる形で腰を据えて、被害を訴える区民の声を正面から受け止める場を作ることを求めるべきですけれども、こちらいかがでしょうか。
課長:現時点で説明会の開催を求めていく考えはございません
羽田空港の機能強化については、首都圏の発展であったりとか、日本の国全体のことを考えて必要なことというふうに理解をしているところであります。国はこの機能強化に際して説明会を多数開催をしております。オープンハウス型の説明会が11回、それから今、委員がおっしゃった意見を交わすことのできる教室型の説明会を20回開催しております。
それ以降、制度そのもの、運用の内容について大きな変更もないところでございますので、現時点で説明会の開催を求めていく考えはございません。ただし、先ほど申し上げましたけれども、日々区民の方からいただいた意見に関しては、しっかりと国交省に伝えておりますし、騒音の軽減であったりとか、そういったことについても従前から継続的に求めているところでございます。以上です。
太田:元の海上ルートに戻すことを要望
オープンハウスとか教室型(説明会)をやられているとありますけれども、区内ではなかなか進んでいない状況があると思います。是非これからも、ちゃんと区民の意見を受け止める場というのを作っていただくことを再度求めたいと思います。
そして羽田新ルートは、こうした被害があることもありまして、元の海上ルートに戻すことを要望して終わります。以上です。
伊藤ひとみ 議員(超党会派えどがわ)

伊藤ひとみ議員(超党会派えどがわ/生活者ネットワーク、区議3期、埼玉大学経済短期大学部卒、62歳)
伊藤:説明会が開かれないという理由、国に問うことはなさらない?
関連です。ただいまのご説明では、大きな変化はないというところで説明会を開いていないということですけれども、やはり区民が騒音や落下物への対策について疑問を持っていることは事実であります。
そういった中で、住民への説明会が開かれないという理由を国にきちんと問うことはなさらないのでしょうか。そこら辺のところを伺いたいと思います。
課長:説明会の開催に至ることはないのかなと
住民の説明会に関しては、国の方には従前から丁寧な情報提供を求めるということで、国の方も取り組みを進めていただいております。さっきご指摘のあった、ご紹介のあった「羽田空港のこれから」というようなチラシであったりとか、ホームページを通して様々に情報を提供しております。
ご意見があったものについては、我々が直接国の方に伝えております。必要に応じて返答もなされているところで、住民の方の意見はしっかりと国に届いているというふうに思っておりますので、説明会の開催に至ることはないのかなというふうに考えているところです。以上です。
伊藤:住民への説明会の開催を強く求めます
住民の声が届いているというお話でしたけれども、やはり届いてないと思っているから疑問に思うことがたくさん出てきてしまうわけで、やっぱりちゃんとお会いして質問をしたいと思っているのが住民の気持ちだと思います。
情報公開の観点からも、区民の不安を解消するためにも、やはりオープンハウスなり教室型なりの住民への説明会の開催を強く求めます。以上です。
大橋美枝子 議員(共産)

大橋美枝子議員(共産、区議4期、千葉大卒、76歳)
大橋:(インドで墜落事故)区として何か国に問い合わせ?
今の太田委員からも伊藤委員からもお話があって、私も一言関連でお願いします。特にこの間、航空機の事故が続いているということで皆さんも危惧されていると思いますけれども、羽田を経由してインドに行った航空機が墜落ということで、すごい私もショックを受けました。
やっぱりどんなふうに、原因はこれからだと思いますけれども、少なくとも羽田を通って行ったというところがすごく私は心配だったわけです。都心も通るし、まして荒川上空を通る航空機が事故を、「それはあってはならないことだから想定しない」と言えばそれまでなんだけれども、徹底して調査をした結果を私は区民にも知らせるべきではないかと思います。そういう事故に関して、区としては事故に対しては何か国に問い合わせとかそういうことはあるんでしょうか。
課長:国交省から適時情報が提供されている
今、大橋委員がご指摘になったのはインドのアーメダバードで墜落事故が起こった件かと存じます。その前日に羽田空港を離陸している機体ということも事実でございます。これらの情報に関しては、国交省から適時情報が提供されているところではございます。
事故の原因に関してはインドの航空当局であったりとか、あるいはその機体の製造メーカーが実施しているところで、具体な原因についてはまだ公表もされておりませんで、我々の方にも連絡が来ていない、そんな状況でございます。以上です。
大橋:心配なことが続くと、やっぱり江戸川区の役割は大きい
本当に心配なことが続くと、やっぱり江戸川区の役割は大きいと思うんですね。そこのところをしっかり役割を果たしてほしいと、改めて要望・意見を申し上げます。以上です。
滝沢泰子 議員(無所属)

滝沢泰子 議員(無所属/立憲、区議4期、早大卒、56歳)
滝沢:説明会の開催、国に求めていくということはぜひ続けて
羽田新ルート、区議会に陳情もいただいているところで、私からも要望をいたしますが、住民への説明会の開催を区から国に求めていくということは、ぜひ続けてください。
窪田龍一 議員(公明)

窪田龍一 議員(公明、区議5期、福岡県立小倉東高卒、61歳)
窪田:今後も推進方よろしくお願いいたします
最初に大橋委員が出てこなかったので心配したんですが、今大橋委員の方が航空機問題にずっと取り組まれていて、私も近隣に住んでいまして、大橋委員から以前それに関する書籍も読むようにということで読ませていただいて、非常に参考になったんですが、やはりこの航空機問題というのは江戸川区の歴史からいくと、先々代の中里区長が本当に航空路の問題のところで国を相手取って意見を述べて、航空機の高さが上がって皆さんの騒音が軽減されてきたという事実もあって、区は歴史的にそういう住民側の立場に立って航空機の問題を対処されていると思いますし、今、住民説明会といいましたが、これだけ今、私、冒頭お話しましたが、やはり区民の方が知っていく力もつけていかないといけないので、それを一人一人会って説明する、反対を唱えている方に説明していくというのも、行政側のチャンスロスと言いますか、もっと進めていただきたいことがたくさんあるので、この問題に関しては、やはり我々が航空機問題に関心を持って当然、しっかり区民の方に正しい情報を伝えて、何か不安を煽るような「落下物が落ちてくる危険性が、これだけ距離があってあるんだ」とか、そういうことではなくて、やはり我々の責務は区民の方に安心を与えるということだと思いますので、これは実際、今区はしっかりやっていただいていると思っておりますし、今後もこの件につきましてはいろんな陳情、思いは非常にわかるんですが、実際この今、飛行ルートだとか、国に対するハブ空港としての羽田空港の重要性もしっかり我々は認識しておりますので、区はこれまで通り今の体制でしっかりホームページとか、そういうものを利用していただいて発信をしていただければと思いますので、あくまでも声の大きい人が反対すればそれが届いていくような体制ではなくて、本当に進めてほしい。
もっと逆に言うと利便性が上がってほしいと思っておられる区民の方がほとんどだと思いますので、ぜひその辺も勘案していただいて、今後も推進方よろしくお願いいたします。以上です。
雑感:「説明しない行政」と「推進しかしない議員」
環境課長の答弁は、まるで録音テープの再生である。住民の声を「国に伝えている」と繰り返しながら、その実、何ひとつ動かす意思が見えない。教室型説明会の開催を求めるよう議員に詰め寄られても、「制度の変更がない」「国が丁寧に情報提供している」と、まるで官僚答弁のトレースのような返しでかわす。
区民の不安を受け止める姿勢よりも、「国の方針に逆らわない安全地帯」にとどまることを優先しているように見える。環境行政の名を借りた“傍観課長”と言って差し支えないだろう。
一方の窪田龍一議員(公明)は、もはや“推進派の代弁者”である。議場の空気を読まずに「今後も推進方よろしく」と締めくくったその言葉は、区民の不安を「声の大きい少数派」と切り捨てる態度そのものである。
発言冒頭の「最初に大橋委員が出てこなかったので心配したんですが」もまた、議場を自分の持ち物と勘違いしているかのような上から目線の一言。こうした軽口に潜む意識こそ、羽田新ルート問題が“対話の断絶”に陥る根因である。
「騒音がうるさい」と訴える住民に「丁寧に説明してきた」と胸を張る区。
「反対派が声を上げすぎだ」と眉をひそめる議員。
だが、その両者の間にあるのは“理解の溝”ではなく、“無関心の壁”である。江戸川区の空に響くのは、エンジン音だけではない。聞こえないふりをする行政と、聞こえすぎて眠れぬ住民の、すれ違いの音でもある。
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