近畿圏のどこに外国人が集まっているのか──前回の記事で浮かび上がったのは、大阪市に集中する外国人の存在だった。
※詳しくは、統計が描く『もうひとつの近畿地図』 外国人比率ランキング参照。
統計で見れば、その勢いは数字としてはっきり現れている。
そして、さらに掘ると面白い変化が見えてくる。
今回は大阪市のなかでも、外国人比率が際立つ4つの区に焦点を当て、その変化をたどる。
この10年で、街の色はどう変わったのか。
大阪の外国人比率、10年の軌跡
大阪市が公表している「住民基本台帳人口・外国人人口」をもとに、大阪市24区の外国人比率(=外国人人口÷総人口)を算出し、グラフを描いた(次図)。
外国人といえば生野区、というイメージは正しい。2016年時点で21.4%、2025年には23.4%。4人に1人が外国籍だ。微増を続ける数字は、外国人コミュニティの確かな定着を物語る。
だが、視線を横にずらすと驚きがある。浪速区は10年で10.8%から16.9%、西成区も6.7%から14.8%へ。再開発や訪日観光客の増加に、宿泊・飲食業の需要が加わり、国際色は一気に濃くなった。「観光客の街」から「外国人居住者の街」へ、街の性格が変わっている。
中央区も7.9%から10.9%、東成区も8.3%から10.0%。天王寺区や西区、西淀川区、港区なども6%台に突入し、都心部全体の国際化が進んだ。
さらにグラフを見れば、2020~22年には微減や停滞が目立つ。コロナ禍で留学生や技能実習生の流入が止まった時期だ。しかし2023年以降は反発するように上昇し、とくに浪速区や西成区の急伸は顕著。コロナ前の勢いが「倍返し」で戻ったかのようだ。

次に、大阪市24区のうち、特に外国人比率が高い4つの区(生野区、浪速区、西成区、中央区)について、2016年以降の国籍別の外国人比率の変化をグラフに描いてみよう。
外国人比率の推移【生野区】
かつて「在日コリアンの街」と呼ばれた生野区。その看板は静かに書き換わりつつある。2016年に17.5%あった韓国籍は、2024年には13.9%まで減少。
代わって中国籍は1.6%から2.8%へ、ベトナムは1.0%から3.0%へ倍増。ネパールも1.3%まで伸びた。
数字が示すのは、長年の定住コミュニティに新たな移民層が加わり、街がより多国籍になっていく過程だ。

外国人比率の推移【浪速区】
浪速区は2016年の10.8%から2024年に16.9%まで急伸した。中心は中国籍で4.6%から6.2%へ。ベトナムも1.1%から3.1%へ3倍近く増加した。
一方で韓国籍は3.3%から2.6%に減少。多国籍化の波が一層鮮明になった。
難波を抱える浪速区は宿泊・飲食業の労働需要が高く、留学生や技能実習生の受け皿となった。短期滞在と長期定住の境界が曖昧な街だ。2020年のコロナ禍で一時減少したものの、22年以降は急速に回復している。

外国人比率の推移【西成区】
西成区の外国人比率は6.7%から14.8%へ急増した。かつてドヤ街の象徴とされたエリアは、いまや国際化のフロントラインである。
韓国籍は微減だが、中国とベトナムは1%台から3.5%へ。ネパールは2.0%まで上昇した。簡易宿所やシェアハウス、低家賃住宅の豊富さが背景にある。
コロナ禍を経ても国際化の流れは止まらず、多国籍な住民が街の雰囲気を変えつつある。

外国人比率の推移【中央区】
中央区の外国人比率は7.9%から10.9%へ。ミナミを中心とする繁華街の地位が、そのまま住民構成に反映されている。
中国籍は6%超で突出し、ベトナムは3%目前。韓国籍は微減し、台湾やネパールの存在感が増した。
2020~21年はコロナで減速したが、22年から反転し急回復。民泊やシェアハウス、サービス業の人材需要が数字を押し上げた。

結びに
大阪の国際化は観光地の熱気だけでは終わらない。数字を追えば、どの街が外国人に選ばれているのかが一目瞭然だ。
浪速区や西成区はコストを抑えた暮らしや国際色豊かなコミュニティを求める層に支持され、生野区は古くからの在日社会に新たな国籍が加わり多文化の厚みを増した。中央区の伸びは都心の利便性と投資需要の裏返しでもある。
こうした動きは住宅市場や教育環境、街の雰囲気に直結する。数字は単なる統計ではない。街の未来像を先取りする地図であり、住環境を選ぶ羅針盤だ。どの区に暮らすかを考えるとき、この折れ線の傾きがヒントをくれる。
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