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急増する外国人投資と“相続の死角”──鈴木庸介議員(立憲)が問う税の公平性

第217回国会(25年1月24日~6月22日)の衆議院の質問主意書を眺めていて、 外国人の所有する国内不動産に対する課税に関する件名があることに気が付いた。

鈴木庸介 衆議院議員(立憲)が6月11日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

内容を読みやすくするため、一問一答形式で再構成した。

※時間のない方は「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」のみでもご一読いただければ幸いである。


質疑応答のポイント

鈴木庸介 衆議院議員(立憲)

鈴木庸介 衆議院議員(立憲)
衆議院 外務委員会 25年5月28日動画より)
鈴木庸介 衆議院議員(立憲民主党、当選回数2回、元NHK記者、コロンビア大学院卒、49歳)

近年、外国人による我が国国内の不動産に対する投資が活発に行われている。

外国人による不動産取得については、オーストラリアのように購入できる不動産の種類に制限を設けている事例や、シンガポールのように取得時に自国民より高率の追加印紙税をかけることにより実質的に購入を制限している事例が存在し、この他にも様々な規制により自国民と外国人に差を設けている国が多数あると承知している。


我が国では基本的に外国人および外国法人であっても日本人と同様の条件で国内不動産の購入、所有権の取得が可能であり、いわゆる重要土地等調査法第13条第1項に基づく届出制度を除き、特段の規制が存在しない。


そのため、我が国の不動産市場における外国人投資家の割合は増加傾向にあり、2021年3月に国土交通省が公表した、令和2年度海外投資家アンケート調査業務報告書によると、2020年の不動産投資市場で海外投資家の占める割合は全体の投資額の34%であるとされており、また、2024年12月にシービーアールイー株式会社が発行した、不動産マーケットアウトルック2025によると、10億円以上の投資用不動産取引のうち、海外投資家の投資額が占める割合は2020年以降概ね30%前後で推移していると承知している。


このように、我が国の不動産投資市場において、外国人投資家は少なからぬ存在感を示しているが、近年、これらの外国人が所有する国内不動産に対する課税についての問題が各種報道機関において報じられていると承知している。


不動産を含む日本国内の財産を相続により取得した場合、相続人および被相続人の国籍や国内住所の有無にかかわらず、相続人は相続税の納税義務を負うことになる。


ところが、我が国の税務当局は国内に住所を持たない外国籍の国内財産所有者の死亡を直接的に把握する手段を持たないため、当該財産に係る相続の発生を把握することができず、適切な課税が行われていないのが現状である。


また、法人が所有する不動産は原則として相続税の課税対象にならないため、法人名義での所有や、海外で売却益を処理するといった手法による課税逃れが平然と行われているとの報道もあると承知している。

これらの認識を前提に、以下質問する。

問1:外国人による国内不動産取得の制限について

問1-1: 外国人による国内不動産取得の制限が設けられていない理由?

諸外国では外国人による不動産取得に制限を設けている国が多数あり、日本国内においては不動産市場における外国人の影響力が高まっている現状があるが、現行制度上、我が国において外国人による国内不動産取得の制限が設けられていない理由は何か。

問1-2:今後外国人による国内不動産取得に制限を設けるべき

今後外国人による国内不動産取得に制限を設けるべきであると考えるか、政府の見解を問う。

答1:一概にお答えすることは困難

我が国における外国人による不動産取得の規制のあり方については、それぞれの政策目的に応じた制限の必要性や個人の財産権の保障、国際約束との整合性等の諸事情を総合的に考慮した上で判断する必要があるものであり、お尋ねの「理由」および「今後外国人による国内不動産取得に制限を設ける」ことについて一概にお答えすることは困難である。

問2:海外在住者の滞納処分について

問2-1:海外在住の外国籍の納税者、滞納処分差押え可能?

海外在住の外国籍の納税者が国税を納期限までに納付しなかった場合、滞納処分として差押えを行うことは可能か。

答2-1:差し押さえを行うことは可能

国税の滞納整理に当たっては、滞納者の居住地や国籍によって、取り扱いが異なるものではなく、海外在住の外国籍の滞納者についても、国税徴収法(昭和34年法律第147号)第47条の規定に基づき、その財産の差し押さえを行うことは可能である。

問2-2:国外財産に対して差押えを行うことは可能?

差押えの範囲に国外財産が含まれる場合、当該国外財産に対して差押えを行うことは可能か。

答2-2:租税条約に基づく租税の徴収の共助の枠組みを活用し、財産の差し押さえ可能

国税当局としては、滞納者の国外財産に対しては、我が国の法令に基づく租税の徴収の権限を執行することができないが、租税条約に基づく租税の徴収の共助の枠組みを活用して、条約の相手国の税務当局が、当該国の法令に基づき、滞納者が当該国において所有する財産の差し押さえを行うことは可能である。

問3:相続の発生の把握について

国内に住所を持たない外国籍の国内不動産所有者の死亡に伴う相続について、税務当局が当該国内不動産の相続の発生を把握する手段として、相続人による相続税の申告と、登記情報連携システムによる異動情報の提供の二つの手段があると認識しているが、これら以外に税務当局が国内不動産の相続の発生を把握する手段はあるか。あるとすればそれはなにか。

問4:相続税の適切な課税について

前記問3の質問において、税務当局が他に当該国内不動産の相続の発生を把握する手段を持っていないとすると、相続人による相続税の申告がなされない場合には、本来課税対象である当該国内不動産に対する相続税の課税ができないことになるが、これはいわゆる租税公平主義に反しないか

反すると考える場合、なぜ是正する措置を取らないのか、政府の見解を問う。

答3&4:適正かつ公平な課税の実現に努めている

お尋ねについて、国税当局においては、ご指摘の「相続人による相続税の申告」や「登記情報連携システムによる異動情報の提供」のほか、様々な機会を通じて収集した資料情報から、不動産の相続による所有権の移転を把握し、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、適正かつ公平な課税の実現に努めている


国税当局としては、このような取り組みを通じて、ご指摘の「国内不動産に対する相続税の課税」について厳正に対処しており、ご指摘の「租税公平主義」に反するとは考えていない。

雑感(政府答弁、現状維持の立場を崩さない内容)

外国人による不動産取得の急増と、そこに潜む課税逃れのリスク──。

鈴木庸介議員の質問主意書は、こうした現実に正面から向き合おうとする意欲に満ちていた。取得制限の必要性、海外在住者の相続実態、税の取りこぼし。いずれも今日的な課題であり、答弁次第では議論が大きく動き得るテーマであった。

一方、政府答弁は、現行制度や法的枠組みを丁寧に説明し、個別の課題についても一定の理解を示している。

ただし、外国人による不動産取得の制限や相続税の徴収漏れといった実務上の問題に対しては、現状維持の立場を崩さない内容であった

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