南向き住戸は、夏は涼しく冬は暖かい――住宅広告でよく目にするフレーズだ。
一方で、西向きや東向きの住戸は、夏は暑く冬は寒いと言われる。実際どうなのか。
自分自身、幼少期を西向きの子ども部屋(戸建て)で過ごした経験がある。あのクレージーな西日の威力は、今でも鮮明に記憶に残っている。
では、夏の西日はどれほど暑いのか。その正体をデータであぶり出してみたい。
日射量をどう測るか
日射量の可視化には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が無償公開している「WEB版日射量データベース閲覧システム」を使った。
中でも「年間時刻別日射量データベース(METPV-20)」は、太陽光発電の発電量予測やシステム設計の精度向上を目的に開発された信頼性の高いデータベースだ。
「東京」(アメダス地点名)の「平均年」における水平面全天日射量を調べると、6月26日が年間で最も多いことが分かる(次図)。

日射量のピークは6月だが、気温のピークは7月・8月にずれ込む。理由は、地表や海が受けたエネルギーを蓄積し、時間差で気温が上昇するためだ。だから、6月よりも7月・8月の方が暑いのだ。
今回は、「東京」「平均年」「6月26日」の壁面日射量を方位別に可視化した。その結果、西側壁面の日射量は16時にピークを迎えることが分かった(次図)。

夏の西日はなぜこれほど暑いのか
同じように北壁面、東壁面、南壁面の日射量も計算し、1枚のグラフにまとめてみた(次図)。
興味深いのは、天空放射が日没後もかなり残っている点だ。直達日射がなくなっても、壁面はまだ熱を受け続けている。そして、特に西壁面のコンクリートは、日中に蓄えた熱を夜間もじわじわと室内へ放出し続ける。これが「夜になっても部屋が暑い」現象の正体だ。

ところで、東壁面も西壁面と同程度の日射量を受けているのに、なぜ「西日」の方が圧倒的に暑く感じるのか。
理由は明快だ。午後は気温がすでに高く、地面や建物が十分に熱を蓄えている。そこに西日が追い打ちをかける。つまり、日射量そのものに加え、環境全体の熱がピークに達するタイミングで西日が差し込むから、体感的な暑さも最大化するのである。
最後まで読んでくれたあなたは、もう「西日」の正体を知っている。マンション選びを考えるとき、ぜひこのデータを思い出してほしい。
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