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電気代高騰・猛暑時代の住まい選び、ZEHマンションの資産価値

電気代高騰と猛暑の時代、住まいの選び方が変わりつつある。

光熱費を抑え、快適性も高い「ZEHマンション」が新たな基準として注目されている。

普及率は急伸し、購入者の4割超がその性能を意識して選んでいる。省エネ性能が、資産価値を左右する時代が始まった。


もくじ

ZEHマンションとは何か?

電気代の高騰と記録的な酷暑。このダブルパンチが、住宅選びの価値基準を大きく変えつつある。特に都市部では、夏場の冷房代が家計を圧迫し、「築年」や「立地」に加え、「省エネ性能」が住まい選びの新たな指標になりつつある。

こうした背景から注目されているのが、「ZEH(ゼッチ)マンション」だ。

ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称。建物全体で1年間に消費する一次エネルギー量(主に冷暖房・換気・給湯・照明)を、断熱性の向上省エネ設備の導入、太陽光発電などの創エネルギーによって実質ゼロまたはそれに近づけることを目指した住宅のこと。

特に、ZEHマンションに関しては、建物の規模や再生可能エネルギーの導入割合などにより、ZEH-M、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4つに区分されている(次表)。

集合住宅におけるZEHの定義一覧表
なお、東京23区を含む「地域区分6」における強化外皮基準(UA 値)は「0.6以下」とされている。これは品確法で定められている従来の断熱等性能等級4よりも上位の「等級5」に相当する。

かつては一部の高性能住宅にしか見られなかった水準が、いまやマンションの新たな標準になりつつある。

ZEHマンションはどの程度普及しているのか

ZEHマンションが国の補助金制度(ZEH支援事業)の対象に加わったのは2018年度。それを契機に、大手デベロッパー各社が開発・供給を本格化させた。

その成果は数字にも表れている(次図)。

全国の新築集合住宅に占めるZEHマンションの割合は2022年度から急増し、2023年度には47%と、ついに5割に迫った。中でも、創エネ要件を持たない「ZEH-M Oriented」の割合が突出して高く、2023年度は新築マンション全体の約3分の1(34%)を占める。

ZEHマンションの普及状況

※ZEHマンションの割合:住宅着工統計における当該年度の「長屋建」・「共同住宅」に係る「新設」戸数の合計に対する「ZEHマンション」戸数の割合。

なぜ、ZEHマンションには、ZEH-M Orientedが多いのか?

その背景には、高層マンション特有の構造的制約がある。

住戸数に対して屋上面積が限られているため、太陽光パネルを十分に設置できない。ゆえに、創エネの要件を外したZEH-M Orientedが、現実的な選択肢として採用されているのだ。

電気代高騰・猛暑時代の住まい選び、ZEHマンションの資産価値

ZEHは「光熱費を抑えられるエコな住まい」というだけではない。すでに、購入時の意思決定にも影響を及ぼし始めている。

一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が2024年12月25日に公表した「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会2024」資料によれば、ZEHマンション購入者のうち4割以上が「ZEHであることを意識した」「やや意識した」と回答している(次図)。

つまり、ZEHというラベルが、すでに商品価値の一部として機能しているということだ。今後、中古市場でもZEHか否かが価格形成に影響を及ぼす可能性は高い。

住まい選択時にZEHマンションであることが影響したか

 

さらに、2025年4月以降は、マンションを含むすべての新築住宅に省エネ基準の適合が義務化された。ただし、この省エネ基準はZEH水準よりも緩やかである。政府は2030年をめどに、義務化の水準をZEHレベルまで引き上げる方針を掲げており、ZEHをめぐる規制環境も段階的に強化される見通しだ。

猛暑、電気代高騰、エネルギー供給の不安定化。こうした複合的リスクが現実味を帯びる中、「ZEHマンションであること」は、暮らしの安心材料であり今後、市場価値を左右する新たなラベルになりつつある。

将来にわたって「選ばれる住まい」であるかどうか――その判断基準が今、静かに変わり始めている。

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2025年6月1日、このブログ開設から21周年を迎えました (^_^)/
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