第217回国会(2025年1月24日~6月22日)の参議院に提出された質問主意書を眺めていたところ、晴海フラッグに関連する件名が4件存在することに気がついた。いずれも浜田聡参議院議員(NHK党)が6月3日に連続して提出したものである。
- 晴海フラッグにおける投資目的の不動産購入の実態に関する質問主意書
- 晴海フラッグにおける外国人や外国法人による不動産の集中的取得の実態に関する質問主意書
- 晴海フラッグ及び周辺地域における無許可民泊の実態及び対応に関する質問主意書
- 晴海フラッグ周辺における白タク行為の実態及びライドシェア制度導入の必要性に関する質問主意書
このうち1.~3.はすでに整理済みであるため、今回は4.の「晴海フラッグ周辺における白タク行為の実態及びライドシェア制度導入の必要性」に焦点を当てる。
内容を読みやすくするため、一問一答形式に再構成した。
※以下長文となるため、時間のない方は「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」のみでもご一読いただければ幸いである。
- 浜田聡 参議院議員(NHK党)
- 問1:晴フラ周辺における外国人による白タク行為の通報件数?
- 答1:令和7年1月1日~同年5月31日まで、110番通報や要望は複数件
- 問2:白タク行為、在留資格の要件に違反するか否か?
- 答2:認められていない
- 問3:外国人による白タク行為取り締り、現行制度では限界?
- 答3:引き続き、啓発活動に取り組んでまいりたい
- 問4:白タク行為の違法性、周知徹底や外国語による啓発は十分?
- 答4:引き続き、啓発活動に取り組んでまいりたい
- 問5:住民通報を端緒とし、白タク行為抑止する体制整備の必要性?
- 答5:既に必要な連携体制は整備されている
- 問6:都市部の旅客運送需要に対する分析及び対応方針?
- 答6:国土交通省物流・自動車局長が答弁したとおり
- 問7:ライドシェア制度の導入を検討・推進する?
- 答7:公共ライドシェアなど、制度の活用を促進してまいりたい
- 雑感(白タク”常態化”に政府が向き合う時)
浜田聡 参議院議員(NHK党)

(参議院 総務委員会 2025年6月5日 動画より)
浜田 聡 参議院議員(1期、NHK党、東大教育学部⇒京大医学部卒、48歳)
東京都中央区の湾岸エリアにある「晴海フラッグ」周辺では、外国人による無許可の旅客運送(以下「白タク行為」という。)が日常的に行われているとの証言が住民から多数寄せられている。
特に、外国人運転手がスマートフォン等を介して民泊利用者等の短期滞在者に接触し、現金ないしアプリ決済で運賃収受を行っている事例が報告されている。
白タク行為は、道路運送車両法違反であるのみならず、安全性・治安・納税義務の観点からも問題である。一方、白タク行為増加の背景には、都市部におけるタクシーの供給不足や移動手段の制限等の課題も存在すると考えられる。
以上を踏まえ、以下質問する。
問1:晴フラ周辺における外国人による白タク行為の通報件数?
晴海フラッグ周辺における外国人による白タク行為の通報件数及び摘発件数について、政府の把握状況を示されたい。把握していない場合、関係機関と連携して調査を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
答1:令和7年1月1日~同年5月31日まで、110番通報や要望は複数件
お尋ねの「晴海フラッグ周辺」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「白タク行為」については、道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)4条1項の規定に違反する行為としてのほか、法78条の規定に違反する行為として取り締まっているところ、警視庁によると、令和7年1月1日から同年5月31日までの間において、同庁月島警察署の管轄区域における当該行為の取締りを求める110番通報や要望は複数件あったが、この間に同項又は同条違反で検挙した事例はないとのことである。
問2:白タク行為、在留資格の要件に違反するか否か?
外国人が短期滞在ビザや観光ビザの在留中に、繰り返し白タク行為をしている実態があると思料するが、これが在留資格の要件に違反するか否か政府の見解を示されたい。
答2:認められていない
お尋ねの「短期滞在ビザや観光ビザ」は、短期滞在の在留資格を指すものと解されるが、当該在留資格で本邦において行うことができる活動は、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第1の3の表の短期滞在の項の「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」であり、同法19条1項の規定により、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行ってはならないこととされていることから、御指摘の「繰り返し白タク行為」を行う活動は、当該在留資格で本邦において行うことができる活動として認められていない。
問3:外国人による白タク行為取り締り、現行制度では限界?
晴海フラッグにおいて、外国語を話す運転手が訪日外国人と接触し、アプリ等での配車・運賃収受を行う白タク行為が常態化していると住民が証言している。
こうした外国人による白タク行為を取り締まる上で、現行制度では限界があると考えるが、政府の見解を示されたい。
答3:引き続き、啓発活動に取り組んでまいりたい
御指摘のような「晴海フラッグにおいて、外国語を話す運転手が訪日外国人と接触し、アプリ等での配車・運賃収受を行う白タク行為が常態化している」との住民の声があるとは認識しておらず、政府としては、御指摘のように「常態化している」とまでは考えていないところ、御指摘のように「現行制度では限界がある」とは考えていないが、引き続き、取締りや訪日外国人及び自家用車の運転手等に対する啓発活動に取り組んでまいりたい。
問4:白タク行為の違法性、周知徹底や外国語による啓発は十分?
白タク行為の違法性に関する周知徹底や外国語による啓発は十分に行われているか、政府の見解を示されたい。不十分である場合、改善に向けた方針を明らかにされたい。
答4:引き続き、啓発活動に取り組んでまいりたい
御指摘の「白タク行為」については、法4条1項及び78条の規定に違反する行為であり、国土交通省としては、都道府県警察や地方自治体等と連携しながら、国内の主要な空港や観光地等において、当該行為の防止に関し、訪日外国人及び自家用車の運転手等に対し広く周知するため、多言語による啓発活動を実施しているところであり、お尋ねのように「十分に行われている」ものと認識しているが、引き続き、訪日外国人及び自家用車の運転手等に対する啓発活動に取り組んでまいりたい。
問5:住民通報を端緒とし、白タク行為抑止する体制整備の必要性?
住民の通報を端緒として、警察・自治体・国土交通省が連携して白タク行為の実態を把握し、白タク行為を抑止する体制整備の必要性について、政府の見解を示されたい。
答5:既に必要な連携体制は整備されている
国土交通省としては、都道府県警察に御指摘の「白タク行為」と疑われる事案に関する情報を提供しているほか、都道府県警察や地方自治体等と連携し、国内の主要な空港や観光地等における当該行為の対策に係る会議を開催して情報共有や対策の検討を行っており、既に必要な連携体制は整備されていると考えるが、引き続き、当該行為の防止に努めてまいりたい。
問6:都市部の旅客運送需要に対する分析及び対応方針?
晴海フラッグのような大規模住宅地において、正規のタクシーが不足していることが白タク行為の需要を誘発していると指摘されている。都市部の旅客運送需要に対する分析及び対応方針について政府の見解を示されたい。
答6:国土交通省物流・自動車局長が答弁したとおり
お尋ねの「分析」については、都市部において、一部の地域、時期、時間帯等でタクシーの供給不足が生じていたものの、近年のタクシードライバーの数の回復等により、当該不足は改善しつつあると考えている。
また、お尋ねの「対応方針」については、政府としては、都市部に限らずタクシードライバーの不足の解消が重要であると考えており、令和6年12月18日の衆議院国土交通委員会において、鶴田国土交通省物流・自動車局長が「タクシーにつきましては、運賃算定手法の見直しや運賃改定の迅速化により早期の賃上げを促進しております。加えて、採用活動や二種免許取得に係る費用への支援、キャッシュレス、配車アプリといった業務効率化、省力化の取組支援を進めてまいります。これらを通じまして、関係者と連携して、ドライバーの処遇改善と、将来の担い手の確保、育成に向けてしっかり取り組んでまいります。」と答弁したとおりである。
問7:ライドシェア制度の導入を検討・推進する?
前記の白タク行為の横行を防止するとともに、正規の移動手段を増やす観点から、合法かつ安全なライドシェア制度の導入を検討・推進する考えがあるか示されたい。
考えがある場合、地方自治体との連携や限定的な実証導入の方針についても明らかにされたい。
質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法75条2項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から21日以内の答弁となっても私としては差し支えない。
答7:公共ライドシェアなど、制度の活用を促進してまいりたい
御指摘の「合法かつ安全なライドシェア制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、法に基づく制度である「公共ライドシェア」や「日本版ライドシェア」により、安全の確保を前提として、地域の一般ドライバーや自家用車を活用することで、御指摘の「移動手段」の確保に努めているところであり、引き続き、地方自治体との連携の下、これらの制度の活用を促進してまいりたい。
雑感(白タク”常態化”に政府が向き合う時)
浜田聡参議院議員(NHK党)は、巨大な高層マンション群「晴海フラッグ」を切り口に、外国人による白タク行為という構造的な問題を国会に持ち込んだ。
現行制度の限界、在留資格とのねじれ、そして住民の無力感。それでも政府は白タク行為が「常態化しているとまでは考えていない」と。通報は「複数件」あるが、検挙はゼロ。啓発は「引き続き」行うというが、手応えは乏しい。
都市が変わり、住まい方が変わり、人の動きが多国籍化するなかで、制度だけがかつての姿にとどまっている。そのズレが白タクを呼び込み、現場に混乱をもたらしている。
今回の質問主意書は、タクシー不足の隙間を突く形で横行する外国人運転手による無許可営業という実態を、制度の盲点として国会に投げかけたものだ。違法行為の摘発はもちろん、制度の空白をどう埋めるか。ライドシェアという選択肢を含めた議論の起点が、ここにある。
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