第217回国会(2025年1月24日~6月22日)の参議院に提出された質問主意書を眺めていたところ、晴海フラッグに関連する件名が4件存在することに気がついた。いずれも浜田聡参議院議員(NHK党)が6月3日に連続して提出したものである。
- 晴海フラッグにおける投資目的の不動産購入の実態に関する質問主意書
- ">晴海フラッグにおける外国人や外国法人による不動産の集中的取得の実態に関する質問主意書
- 晴海フラッグ及び周辺地域における無許可民泊の実態及び対応に関する質問主意書
- 晴海フラッグ周辺における白タク行為の実態及びライドシェア制度導入の必要性に関する質問主意書
このうち1.と2.はすでに整理済みであるため、今回は3.の「晴海フラッグ及び周辺地域における無許可民泊の実態及び対応」に焦点を当てる。
内容を読みやすくするため、一問一答形式に再構成した。
※以下長文となるため、時間のない方は「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」のみでもご一読いただければ幸いである。
- 浜田聡 参議院議員(NHK党)
- 問1:晴海フラッグ、無許可民泊、把握状況?
- 答1:旅館業法違反のおそれ207件、通報件数は178件、・・・
- 問2:晴海フラッグ周辺地域での民泊営業の適法性、把握状況?
- 答2:コールセンターの設置等を通じて、住宅宿泊事業の適正化に取り組んでいる
- 問3:無許可民泊による住民被害、政府の見解?
- 答3:各都道府県知事等において、適切に対応すべき
- 問4:キーボックスの無断設置、国として法的整理を行う?
- 答4:都道府県知事等及び国土交通大臣が事業の適正な運営を確保するために必要な監督を行うことになる
- 問5:管理組合が行う措置に対し、法的な後押しや支援策を講じる?
- 答5:「法的な後押しや支援策」については考えていない
- 問6:(民泊制限地域において)国として統一的な運用指針を策定?
- 答6:「統一的な運用指針」の「策定」については考えていない
- 雑感(無許可民泊に対する政府の鈍さ)
浜田聡 参議院議員(NHK党)

(参議院 総務委員会 2025年6月5日 動画より)
浜田 聡 参議院議員(1期、NHK党、東大教育学部⇒京大医学部卒、48歳)
東京都中央区「晴海フラッグ」では、無許可民泊が多数確認されていると住民からの通報が相次いでいる。現地では鍵の受渡しに使われるキーボックスが公共スペースに多数設置されており、スーツケースを持った短期滞在者が深夜早朝を問わず出入りするなど、住民の生活環境や治安に深刻な影響を及ぼしているとの報道もある。
地方自治体や管理組合のみでは十分な対応が困難であり、国による実態把握及び制度的支援の必要性が高いと考えられる。
以上を踏まえて、以下質問する。
問1:晴海フラッグ、無許可民泊、把握状況?
晴海フラッグ及び周辺地域における無許可民泊の件数、通報数及び指導・摘発の実績について、政府の把握状況を示されたい。把握していない場合、調査を行う考えはあるか示されたい。
答1:旅館業法違反のおそれ207件、通報件数は178件、・・・
お尋ねの「周辺地域」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省が2023年4月から2024年3月までにかけて都道府県等を通じて実施した「旅館業法の遵守に関するフォローアップ調査」によると、お尋ねの「晴海フラッグ」が所在する東京都において、旅館業法(昭和23年法律第138号)違反のおそれがあると把握している事案の件数は207件、近隣住民、宿泊者等から保健所への通報件数は178件、保健所による指導件数は72件である。
また、同法3条1項の許可を受けないで、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業を行った事案について、過去5年間に警視庁が検挙した実績はないものと承知している。
問2:晴海フラッグ周辺地域での民泊営業の適法性、把握状況?
晴海フラッグのマンション管理規約では民泊が禁止されているとの情報があるが、周辺地域での民泊営業の適法性に係る観光庁及び中央区の対応について、政府の把握状況を示されたい。
答2:コールセンターの設置等を通じて、住宅宿泊事業の適正化に取り組んでいる
お尋ねの「周辺地域」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)に係る解釈等について示した「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」(平成29年12月厚生労働省及び国土交通省策定、令和6年12月改正。以下「ガイドライン」という。)の策定、御指摘の「無許可民泊」に係る情報や住宅宿泊事業(同法2条3項に規定する住宅宿泊事業をいう。以下同じ。)に係る住民からの苦情等を受け付けるコールセンター(以下「コールセンター」という。)の設置等を通じて、住宅宿泊事業の適正化に取り組んでいるところであり、東京都中央区においては、同法の規定に基づき、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための監督を行っているものと承知している。
問3:無許可民泊による住民被害、政府の見解?
無許可民泊による騒音、ゴミ及び不審者の出入り等の住民被害に対する政府の見解を示されたい。
答3:各都道府県知事等において、適切に対応すべき
お尋ねについては、旅館業法又は住宅宿泊事業法においては、人を宿泊させる営業を営もうとする者は都道府県知事等の許可等を受けなければならないこととしているほか、所要の罰則等を設けているところであり、政府としては、一義的には、各都道府県知事等において、旅館業法2条1項に規定する旅館業又は住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため、個別の事案に応じて適切に対応すべきものと考えている。
問4:キーボックスの無断設置、国として法的整理を行う?
電柱や公共スペースへのキーボックスの無断設置が確認されている。このような状況に対し、警察や自治体がどのように取り締まっているか示されたい。また、国として法的整理を行う考えはあるか示されたい。
答4:都道府県知事等及び国土交通大臣が事業の適正な運営を確保するために必要な監督を行うことになる
お尋ねの「警察や自治体がどのように取り締まっているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが御指摘の「電柱や公共スペースへのキーボックスの無断設置」をした者に対する取締りを意味するものであるとすれば、警察において、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき厳正な取締りを行うことになるものと考える。
また、お尋ねの「法的整理」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、届出住宅(住宅宿泊事業法2条5項に規定する届出住宅をいう。以下同じ。)において、宿泊者への鍵の受渡しに関して、仮に不適切な取扱いが認められる場合には、住宅宿泊事業者(同条4項に規定する住宅宿泊事業者をいう。以下同じ。)及び同条7項に規定する住宅宿泊管理業者に対し、同法2章3節及び3章3節の規定に基づき、都道府県知事等及び国土交通大臣が事業の適正な運営を確保するために必要な監督を行うことになるものと考える。
問5:管理組合が行う措置に対し、法的な後押しや支援策を講じる?
管理組合が違法民泊を制限・排除するために行う措置に対し、法的な後押しや支援策を講じる考えはあるか示されたい。
答5:「法的な後押しや支援策」については考えていない
御指摘の「管理組合が違法民泊を制限・排除するために行う措置」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、住宅宿泊事業法3条2項7号及び住宅宿泊事業法施行規則(平成29年厚生労働省・国土交通省令第2号)4条3項13号の規定により、住宅宿泊事業の届出に当たっては、マンション管理組合(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)3条に規定する団体をいう。)が制定するマンションの管理規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない旨等を記載した届出書を提出しなければならないこととしているほか、住宅宿泊事業法13条の規定により、届出住宅への標識の掲示を義務付けているところであり、お尋ねの「法的な後押しや支援策」については考えていない。
問6:(民泊制限地域において)国として統一的な運用指針を策定?
中央区のように条例で民泊を厳しく制限している地域において、住民通報と行政措置の連携強化を図るため、国として統一的な運用指針を策定する考えはあるか示されたい。
質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法75条2項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から21日以内の答弁となっても私としては差し支えない。
右質問する。
答6:「統一的な運用指針」の「策定」については考えていない
御指摘の「条例」による「制限」については、地域の実情に応じた個別具体的な対応が求められるものと考えており、政府としては、ガイドラインにおいて、住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊事業を営む前における住民への事前説明を推奨しているほか、コールセンターを設置する等して、御指摘の「民泊」に係る住民の声が反映されるよう努めているところであり、お尋ねの「統一的な運用指針」の「策定」については考えていない。
雑感(無許可民泊に対する政府の鈍さ)
浜田聡参議院議員(NHK党)は、巨大な高層マンション群「晴海フラッグ」を切り口に、無許可民泊という構造的な問題を国会に持ち込んだ。
晴海フラッグの無許可民泊をめぐる浜田聡議員の質問は、きわめて具体的かつ実務的である。通報件数、違反の疑い、キーボックスの実態に至るまで、現場の混乱を丁寧にすくい上げ、政府の対応を正面から問うた。
しかし、政府答弁はどうか。数字は出すものの、それは単なる報告に過ぎず、「承知している」「適切に対応すべき」と他人事である。
無許可民泊の横行は、制度の抜け穴に付け込んだ明確な違法行為であるにもかかわらず、政府の対応はなぜこうも鈍いのか。
浜田議員のように、現場の実情に即して問題を提起する存在がなければ、永田町は静かに眠り続けるだけなのだ。質問主意書が、政府の鈍さを浮き彫りにする鏡であることを、あらためて痛感させられた。
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