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立憲・杉尾議員「タワマン規制の必要性を問う」 国交大臣の答弁に見えた温度差

5月22日、第217回国会・参議院「国土交通委員会」で、タワーマンションの建築規制をめぐる質疑が交わされた。ニュースにはなっていないが、見過ごすには惜しいやり取りである。

本稿では、杉尾秀哉議員(立憲)と中野洋昌 国交大臣との応酬を、ネット中継録画をもとにテキスト化(約900文字)した。

※時間のない読者は、「質疑応答のポイント」と末尾の「雑感」だけでも目を通していただきたい。そこに、このやり取りの本質が凝縮されている。


質疑応答のポイント

杉尾秀哉 参議院議員(立憲)

杉尾秀哉 参議院議員
杉尾秀哉 参議院議員(立憲民主党、当選2回、元TBS報道局記者、東大文学部卒、67歳)

杉尾:タワマン規制の必要性について、国交省としてどういうふうに考えてるのか?

どうしても聞いておきたいことがありまして、先ほど紹介しましたけれども、やっぱりタワマンというのはすごいんですよね。

それで、これ神戸市なんですけれども、2020年に条例でタワマンの建設を規制する、こういう自治体も出始めました。

このタワマンが老朽化した際の建て替え、それから大規模修繕など、費用面で戸数も多いし、合意形成が難しいし、これ神戸市の市長さんもおっしゃってますけれども、このまま行ったら本当に廃墟化する恐れもあるんじゃないかと、こういうことを指摘する専門家もたくさんいらっしゃいます。


こうしたタワマン規制の必要性について、国交省としてどういうふうに考えてるのかお答えください。

大臣:地域の実情に応じた都市計画制度の適正な運用を促してまいりたい

中野洋昌 国交大臣
中野洋昌 国交大臣(公明党、当選回数5回、東大教養卒⇒コロンビア大院卒、47歳)

大規模マンションにつきましては、都市計画制度を活用して規制をしている自治体もあるというふうに認識をしております。


委員ご指摘の神戸市では、こうした課題、懸念をされている点としては、例えば商業業務などの都市機能の立地の阻害や、小学校など子育て関連施設の不足、災害時の避難場所、備蓄の確保などの課題が懸念をされたことから、過度な居住機能を抑制し、商業業務機能の集積とバランスの取れた都心居住を誘導するため、マンションを含めた住宅の建築等が神戸市においては制限をされているというところでございます。


また、松本市では景観等を守る観点から松本城周辺において高度地区が指定をされまして、マンション等の高さの最高限度が20mまでに制限をされております。都市計画において、地方公共団体が地域の実情を踏まえたまちづくりの基本方針を定めた上で、当該方針に即して地域にあった用途や容積率等に定め、それらによってマンションを含めた建築物の立地を調整をすることは可能であります。


こうした都市計画に関する事務は、自治事務として現場に最も近い地方公共団体が中心となって行っているところでありまして、国土交通省としては、地方公共団体の様々な取り組み事例を横展開をすることなどにより、地域の実情に応じた都市計画制度の適正な運用を促してまいりたいというふうに考えております。

雑感

タワマンは廃墟になる――。タワマン住民にとって耳にしたくない言葉だが、現場の専門家が口を揃えてそう警鐘を鳴らしているという。老朽化、大規模修繕、建て替えに伴う合意形成の困難さ。タワマン規制の必要性について、杉尾秀哉議員(立憲)は国会で問うた。

答弁に立った中野洋昌 国交大臣(公明)は、神戸市や松本市の事例を並べ立て、「地域の実情に応じた都市計画制度の適正な運用を促してまいりたい」と結んだ。

一見、丁寧な応答に見える。だが、テキストで読むと、かえって輪郭がはっきりする。大臣は「タワマン規制の必要性」の是非に正面から答えていない。制度の活用を述べる一方、具体的な方向性や課題への危機感は感じられない。

それは単なる“紹介”であり、“判断”ではない。政策的な視座が抜け落ちている。あくまで「現場でうまくやってください」と突き放したような姿勢すらにじむ。

果たしてそれでいいのか。都市インフラとしてのタワマンをどう扱うかは、もはや一自治体の問題ではない。問題提起は確かに行われた。だが、答えは宙に浮いたままである。

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原稿の棒読みが得意な中野洋昌 国交大臣の答弁記事。( )内は答弁日。

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