渋谷区議会の「25年第2回定例会」本会議の代表質問(6月3日)で、羽田新ルートに関して桑水流 弓紀子 議員(立憲・国民)からの質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約2千文字)しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
桑水流 弓紀子 議員(立憲・国民)

桑水流弓紀子 議員(国民民主/立憲・国民渋谷議員団、区議1期、立教大卒、37歳)
問1:深夜3時台に都心上空を低空飛行事案、国からの報告?
次に、羽田低空飛行ルートに関する問題についてです。
本年4月23日、ユナイテッド空港の貨物機が羽田空港へ緊急着陸する際、深夜3時台に都心上空を低空で飛行する事案が発生しました。
羽田新飛行ルートは、原則として深夜早朝の運用は想定されていません。
しかし、今回のような大型機による深夜飛行が実際に発生したという事実は、単なるルール逸脱では済まされず、静寂な生活環境への侵害と安全上の重大な懸念を突きつけるものです。
この事案について、区長は国からいつどのような報告を受けたのか、また渋谷区としてどのような対応をどのようなタイミングで行ったのか、具体的にお答えください。
問2:固定化回避検討会、必要な対応を取るべき
羽田新ルートに関しては、国が設置した固定化回避検討会において明確な結論が出せないまま、議論が事実上停滞しているとの指摘があります。
こうした中、品川区では国に申し入れを提出、港区では区長が複数回にわたって要請といった対応が取られ、各自治体が区民の不安に正面から向き合う姿勢を見せています。
渋谷区としても、検討会の動向をしっかりと把握し、必要な対応を取るべきではないでしょうか。
今回の深夜飛行は、構造的なリスクがはっきりと表に出た事例です。
エンジントラブルを抱えた機体が都心の上空、真上を飛行していたという事実は極めて重大な安全リスクであり、看過できるものではありません。
渋谷区としても、国の検討会の内容を把握した上で、都心低空飛行の回避、見直し、廃止や区民への説明責任の徹底を国に対し明確に求めていくべきではないかと指摘します。
本区の今後の対応方針について、区長の見解を伺います。
問3:ヘリコプターとの高度重複の問題、改善要求を検討?
さらに問題は、航空機だけにとどまりません。
ヘリコプターとの高度重複の問題も深刻なリスクを孕んでいます。
渋谷区内の本町、代々木、神南、千駄ヶ谷、神宮前といったエリアは、羽田航空のA・C滑走路の着陸ルート下に位置し、高度300から450mの極めて低い空域において、ヘリコプターも飛行可能な空域となっています。この高度帯では、ヘリと飛行機が同時に飛行し得る構造が存在し、空中衝突のリスクを常に孕んでいます。
実際、2024年1月にはアメリカのワシントン郊外で米軍ヘリと旅客機が空中衝突し、墜落事故が発生するなど、こうしたリスクは現実に起こりうるものということが証明されています。
私はこれまでヘリの騒音問題についても指摘してまいりましたが、今こそ騒音だけでなく、構造的な衝突リスクの観点からも都心の低空飛行空域の見直しが必要ではないでしょうか。
渋谷区としてこのリスク構造にどう向き合い、国や関係機関に対してどのような申し入れ、改善要求を検討しているのか、区長のご見解を伺います。
長谷部健 渋谷区長

長谷部健 渋谷区長(無所属、3期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、53歳)
次に、羽田新飛行ルートについて3点のお尋ねです。
答1:4月23日の午前中に国土交通省より状況の連絡を受け
初めに、ユナイテッド航空の事案についてですが、本年4月23日の午前中に国土交通省より状況の連絡を受け、翌日改めて経緯の確認を行い、安全な飛行に影響を及ぼすような事態でなかったことを確認いたしました。その際、今後の安全対策に関し、更なる取り組みを求めました。
答2:現時点で国に対し内容について求める考えはありません
次に、羽田新飛行ルートについてですが、第6回固定化回避検討会において、飛行方式の安全性の検証結果が示されたことを把握しており、今後さらに検査・検討の実施が予定されているため、現時点で国に対し内容について求める考えはありませんが、区民に十分な説明と十分な情報提供をするよう継続して求めていきます。
答3:国等に申し入れを行う考えはありません
次に、航空機とヘリコプターが空域で交差するリスク構造があるのではないかとのお尋ねです。
羽田新飛行ルートの運用開始に合わせ、特別管制空域を指定することで、羽田空港到着機と有視界飛行方式で飛行するヘリコプターの使用する空域を分離し、安全を確保しているため、国等に申し入れを行う考えはありません。
雑感|「見直し」「廃止」に踏み込んだ桑水流議員
羽田新ルートをめぐる質疑といえば、これまで共産党の独壇場だった。だが今回は様子が違う。共産党がスルーするなか、立憲・国民渋谷議員団の桑水流弓紀子議員が、代表質問の場で真正面から切り込んだ。これは注目に値する。
発言を見れば、テーマを相当丁寧に追ってきたことが伝わる。しかも驚くべきは、その踏み込み方である。国政政党である立憲民主党・国民民主党がこの問題に腰が引けた対応を続ける中で、桑水流議員は「見直し」「廃止」という明確なワードを口にした。都心低空飛行の回避と区民への説明責任を、国に対して「明確に求めるべき」と明言したのである。
国の検討会の内容を把握した上で、都心低空飛行の回避、見直し、廃止や区民への説明責任の徹底を国に対し明確に求めていくべきではないかと指摘します。
一方の長谷部区長はどうか。毎度おなじみの、暖簾に腕押しの答弁だった。
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