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長嶋修『2030年の不動産』日経BP

長嶋修氏の新刊『2030年の不動産』日経BP(2025/3/11) を読了。

高騰するマンションを見て買い焦っている人にとって、近未来(2030年)の不動産市況を知っておいて損はないだろう。

朱書きは、私のメモ。


もくじ

長嶋修『2030年の不動産』日経BP

「郊外で駅から徒歩15分以上」は急ピッチで値崩れも

駅から離れれば離れるほど地価の下落は急ピッチになるという見立て。

「郊外で駅から徒歩15分以上」は急ピッチで値崩れも

国道16号の内側の主要駅の駅前・駅近エリアは、今後も価格上昇の可能性があります。ただ、駅から離れれば離れるほど地価の下落は急ピッチになるでしょう。

東京都心の港区であれば、駅から徒歩15分かかる物件でも買い手がつきますが、国道16号近辺の郊外エリアで駅から15分となると、買い手は激減します。理想は徒歩7分以内。10分までが限界でしょうか。

東京23区内であっても、埼玉や千葉寄りのエリアでは同じことが言えます。買い手がつかなければ物件価格は下がることになりますから、値崩れのペースは速くなります。

東京23区内の世田谷区のような人気エリアでも、やはり駅から15分以上や、バス便利用必須のエリアは、この先どんどん敬遠されるようになるでしょう。

たとえば、世田谷区の岡本という地区は、昔から芸能人などの富裕層がたくさん住んでいる高級住宅街です。しかし、少し前の基準地価では、地価の下落率が東京23区内の住宅地としてはトップに。閑静な”お屋敷街”で、二子玉川などのブランド力の高い街が近隣にありながらもこのような現象が起きているのは、最寄り駅までの所要時間が20分超と、かなり遠いことが関係しています。

(P54-55/第1章 異次元の不動産格差時代がやってくる)

※23区の発売単価は、上下動を繰り返しながらも、依然として上昇傾向。23区と郊外との2極化が進んでいる(次図)。

発売単価の推移
首都圏新築分譲マンション市場動向(25年2月)」より

2001~03年、あるいは2010~14年竣工の物件が狙い目

「ITバブル崩壊後の2001~2003年」「リーマン・ショック後の2010~2014年あたり」に建てられた中古マンションが狙い目だという。

2001~03年、あるいは2010~14年竣工の物件が狙い目

このところマンションの平均価格は上がっていますが、反比例して平均面積は狭くなっています。投資目的ではなく、マイホームを買いたい実需層が出せる金額には限界があるので、分譲会社は専有面積を狭くしたり、設備のグレードを下げたりして、新築マンションの販売価格が上がりすぎないように調節しているからです。

そのため、今の新築と少し前に建てられた物件とを比較すると、後者のほうが圧倒的に共用部が豪華で、専有部分は広く、設備も高性能ということがよくあります。

原則として、不景気になると物件の供給は絞られますが、価格が下がって専有面積が広めの住戸が増える傾向にあります。

そのため、「ITバブル崩壊後の2001~2003年」、また「リーマン・ショック後の2010~2014年あたり」に建てられたマンションには、広さと設備・機能のバランスが良い物件が見られます。

(P81-83/第2章 2030年、マンションの選び方はこう変わる)

※不動産経済研究所が定期的に発表しているデータをもとに東京23区の新築マンションの「平均価格」と「平均専有面積」の関係を可視化してみると(次図)、最も安くかつ広かったのが2002年であったことが分かる。

分譲価格・専有面積の推移
過去23年間の「首都圏新築分譲マンション市場動向」を可視化」より

住宅ローン金利の利上げ幅が大きくなれば、持ち家率は低下する

都心部の高額物件を除き、利上げか、住宅ローン控除が実施されれば、不動産価格は値下がりに転じるという見立て。

住宅ローン金利の利上げ幅が大きくなれば、持ち家率は低下する

(前略)利上げ幅が小さいうちは、住宅ローン控除による恩恵があるため、不動産の買い控えにはつながりにくいと見られます。これが3%とか4%とかになってくると、金利の負担感はかなり大きくなります。

このレベルまでの利上げか、あるいは住宅ローン控除の廃止が実施されれば、不動産を購入する実需層は減少します。そうなると、さすがに不動産価格は値下がりに転じるでしょう(ただし、住宅ローンを組まずに買う層を対象とした都心部の高額物件は除きます)。

先にも言及しましたが、住宅ローン控除は恒久的な措置というわけではないので、この先廃止される可能性があります。今、日本の持ち家率は6割強ですが、これを両輪で支えてきたのが低金利と住宅ローン控除なので、支えがなくなれば持ち家率は大幅に下がることになります。(以下略)

(P203/終章 2030年の住宅コストと不動産投資)

※住宅金融支援機構の調査によれば、破綻先債権比率(住宅ローン破綻率:下図のピンク色)は、14年度以降0.3%で推移していたが、21年度以降上昇し、23年度は0.7%。つまり千人に7人の割合で住宅ローン破綻しているのである。

住宅ローン破綻
住宅ローン破たん・条件変更データを可視化 」より

本書の構成

6章構成。全212頁。

  • 第1章 異次元の不動産格差時代がやってくる
  • 第2章 2030年、マンションの選び方はこう変わる
  • 第3章 2030年の戸建市場の行方
  • 第4章 2030年に“地価が上がる”地域とは?
  • 第5章 2030年の住宅コストと不動産投資
  • 終章 2030年の住宅コストと不動産投資

Amazon⇒『グレートリセット後の世界をどう生きるか: 激変する金融、不動産市場

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2025年6月1日、このブログ開設から21周年を迎えました (^_^)/
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