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トルコ難民申請440%増(政府答弁)

第217回国会(25年1月24日~6月22日)の衆議院の質問主意書のなかに、79番目としてクルド人の難民申請係る次の質問主意書が埋もれている。

松原仁 衆議院議員が3月3日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

※読みやすいように、一問一答形式に再構成。


質疑応答のポイント

松原仁 衆議院議員(無所属)

松原仁 衆議院議員
衆議院 予算委員会 24年2月28日 動画より)
松原仁 衆議院議員(9期、立憲民主党⇒無所属、早大商卒、68歳)

現在、少なくない数のトルコ共和国国籍者が、就労目的で来日するにもかかわらず、観光目的の査証免除措置を本来の趣旨を逸脱して利用し、日本への入国後には難民認定申請を行い、滞在しているとの指摘があり、社会的に大きな問題となっている

我が国とトルコ共和国は、昨年、外交関係樹立100周年の記念すべき年を迎えたが、事実に基づかない難民認定申請問題を放置すれば、両国民の友情の歴史に影を落としかねないと考える。

そこでお尋ねする。

問1:過去20年間のトルコ国籍の難民認定申請者数?

過去20年間のトルコ共和国国籍の難民認定申請者数及び難民認定者数について、それぞれ5年ごとの合計を可能な限り明らかにしたうえで、難民不認定者数は、同国国籍の難民認定申請者数の何パーセントか、同様に過去20年についてそれぞれ5年ごとの数字を可能な限り示されたい。

答1:H16年~H20年まで難民認定申請552人、・・・

平成16年から令和5年までにおけるトルコ国籍の①難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第61条の2第1項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)をした者の数及び②難民と認定した者に係る「5年ごとの合計」の数について、政府として把握している限りでお示しすると、それぞれ以下のとおりである。

  • 平成16年から平成20年まで①552人②零人
  • 平成21年から平成25年まで①1535人②零人
  • 平成26年から平成30年まで①4672人②零人
  • 平成31年から令和5年まで①5528人②4人

トルコ国籍の難民認定申請者数・難民認定者数

また、「難民不認定者数は、同国国籍の難民認定申請者数の何パーセントか」とのお尋ねについては、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成16年から令和5年までの間に難民認定申請をした者のうち、難民の認定をしない処分をされたものの割合についてのお尋ねであれば、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

問2:トルコ国籍の難民認定申請者数、何%増加又は減少?

令和4年度及び令和5年度のトルコ共和国国籍の難民認定申請者数と難民認定者数を、それぞれ可能な限り明らかにしたうえで、令和5年度は、令和4年度に比べてそれぞれ何パーセント増加又は減少したか、数字を可能な限り示されたい。

答2:R5年度はR4年度に比べ、約440.7%増加

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難であるが、令和5年におけるトルコ国籍の難民認定申請をした者の数は2406人であり、令和4年の445人に比して約440.7パーセント増加しており、また、令和5年におけるトルコ国籍の難民と認定した者の数は3人であり、令和4年の1人に比して200パーセント増加している。

トルコ国籍の難民認定申請者数・難民認定者数

問3:過去20年間のトルコ国籍の難民認定申請者数、月別合計?

産経新聞取材班「国会議員に読ませたい「移民」と日本人」(産経新聞出版、令和7年)は、「入管関係者によると、クルド人の難民申請者は毎年、冬を迎え農業や牧畜が農閑期となる10月~11月ごろに急増。翌年、放牧の季節が始まる5月~6月ごろ帰国者が増えるという。2023年の1年間のトルコ国籍の申請者約2400人のうち、3割に当たる700人近くは翌24年6月ごろまでにすでに帰国した。入管関係者は「彼らは夏前になると「問題が解決した」と言って難民申請を取り下げ帰国していく。秋になると同じ人物が来日し、「また問題が起きた」といって難民申請する。かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」。」と記す。


そこで、過去20年間のトルコ共和国国籍の難民認定申請者数の、各月別の合計をそれぞれ可能な限り明らかにされたい

答3:お答えすることは困難

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

問4:トルコ国籍者、難民認定制度の濫用あるいは誤用?

トルコ国籍者が来日する際における査証免除措置の趣旨を逸脱した目的外の利用、及び難民認定制度の濫用あるいは誤用が疑われる申請が多数存在するとの指摘について、政府の認識如何。

答4:難民認定制度がそれぞれの目的に沿って適切に利用されるべき

お尋ねの「査証免除措置の趣旨を逸脱した目的外の利用」及び「多数存在する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、「査証免除措置」及び難民認定制度がそれぞれの目的に沿って適切に利用されるべきであると考えている

問5:査証免除措置一時停止、友好関係が決定的に損なわれたか?

我が国は、過去に、パキスタン・イスラム共和国、バングラデシュ人民共和国及びイラン・イスラム共和国に対する査証免除措置を一時停止したが、その結果、これらの国々との友好関係が決定的に損なわれたか、政府の認識如何。

答5:これらの国々との友好関係の発展に努めてきた

お尋ねの「友好関係が決定的に損なわれた」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、パキスタン、バングラデシュ及びイランそれぞれとの伝統的な関係を踏まえ、これらの国々との友好関係の発展に努めてきたところである。

問6:トルコ国籍者への査証免除措置、一時停止すべき

トルコ共和国国籍者への査証免除措置を、一時停止すべきと考えるが、政府の見解如何。


また、政府が、同国国籍者への査証免除措置の一時停止を考えていないならば、難民認定制度の濫用又は誤用的な申請を抑止するためにいかなる施策を実施し、それによって同国国籍の難民認定申請者数にどのような変化があったか、それぞれ明らかにされたい。

答6:免除措置を直ちに停止する必要があるとは考えておりません

前段のお尋ねについては、令和7年2月27日の衆議院予算委員会第3分科会において、松本外務大臣政務官が「トルコに対する査証免除措置というのは、トルコ国との人的交流の促進を通じた両国の間の友好関係の発展に寄与するものであるというふうに認識をしております。現時点でトルコに対する免除措置を直ちに停止する必要があるとは考えておりません。」と述べたとおりである。

松本外務大臣政務官
松本外務大臣政務官(令和7年2月27日の衆議院予算委員会第3分科会)


後段のお尋ねについては、濫用・誤用的な申請を抑制し、真の難民の迅速な保護を図ることを目的として、平成27年及び平成30年に、就労等を目的として申請を行う者に対しては、就労や在留を許可しない措置を講ずるなどしたところ、平成30年の難民認定申請をした者の数は、平成29年の1万9629人(そのうちトルコ国籍の者の数は1195人)から1万493人(そのうちトルコ国籍の者の数は563人)へと同年と比べてほぼ半減した

濫用・誤用的な申請の抑制効果

また、退去強制令書発付後に難民認定申請等を行った者も含まれる送還忌避者への対応等の観点から、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律(令和5年法律第56号)による改正後の入管法において、退去強制令書の発付を受けた者が難民認定手続中である場合の送還を停止することの例外を定めたところである。

雑感

令和5年(2023年)には、トルコ国籍者の難民認定申請数が2,406人に達し、前年の445人から約440%増加。しかし、難民として認定されたのはわずか3人で、令和4年(2022年)の1人から僅かに増加したものの、申請者全体の約0.12%に過ぎない(次図、再掲)。

トルコ国籍の難民認定申請者数・難民認定者数

難民認定されなかったトルコ国籍者の多くは、仮放免や不法滞在状態で日本に留まるか、自発的に出国していると考えられるが、強制送還が本格化するかどうか、石破政権の運用が問われている。

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