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羽田新ルート|新宿区議会「25年第1回定例会」質疑応答

新宿区議会「25年第1回定例会」本会議の一般質問(2月26日)で、羽田新ルートに関して、佐藤佳一議員(共産)の質疑応答があった。

区議会中継録画をもとに、全文テキスト化(約4千文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

佐藤佳一議員(共産)

佐藤佳一議員(共産)
佐藤佳一 議員(共産、区議3期、早大卒、66歳)

日本共産党区議団の佐藤佳一です。羽田新ルートについて一般質問いたします。

新宿区など都心上空を飛行する羽田新ルートは、2020年3月から運用が開始され、4年10か月が経ちました。羽田新ルートの直下の関係自治体、住民から騒音や落下物などへの不安や意見が多数寄せられたことなどを受け、国土交通省は2020年6月に「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」、以下「検討会」が設置され、パイロット経験者や航空管制の専門家など8人が管制運用や航空機器の観点から、ルート変更の可否の話し合いを行ってきました。

2020年8月の第5回検討会では、「年内には検討会を開き方向性を示す」とされていましたが、ずるずると開催を先送りし、ようやく2年4か月ぶりに6回目の検討会が昨年12月24日に開かれました。しかし、固定化回避には程遠く、結論を先送りするあまりにもひどい内容でした。


2月6日に日本共産党国会議員団が国交省から検討会に関する聞き取りを行った際に、私も同席しました。そのことを踏まえて問題点を以下述べます。


1つ目は、着陸Aルートは現行のルートで固定化し、Cルートを東京湾から進入し都心の湾岸沿いを飛行し、ターンして着陸するルートが示されていますが、どの地域の上空を飛行するかは地図上では示されていません。しかも国交省の説明では、Cルートが湾岸に近い地域を飛行すればAルートを内側の都心上空を飛行することもありうることを否定しませんでした。


2つ目は、これまで飛行方式について検討されてきましたが、全地球測位システムのGPS信号をもとに自動操縦で高精度の曲線飛行が可能なRNP-ARと呼ばれる飛行方式が安全面から技術的に適し採用可能と判断され決まりました。


しかし、国内航空大手でも多数使用している中型旅客機ボーイング767がRNP-AR方式に対応できないなど、国内航空会社の24%の機種が対応できないため、直ちに運用できず、国外線については十分掌握されていません。さらに現在のパイロットにも数か月の訓練が必要となり、航空会社、パイロットにも大きな負担が生じます。


3つ目に、RNP-ARに対応する機器を搭載しない飛行機には新たに機器を取り付けることができないため、現存の機器をアップデートで対応することもできますが、全てではなく、搭載した飛行機に更新されることを待つしかありません。検討会でも「対応率が上がることを待つしかない」との意見が出ているように、関係者の話では「10年から20年かかる」と言われています。


4つ目に、昨年1月2日の日本航空と海上保安庁の航空機衝突事故の原因から、滑走路や空域を監視する管制官の業務負荷が問題となっており、現に全国で航空機の取り扱い機数が20年で1.6倍に増加していますが、管制官数は2千人前後で推移し、1人の負担が増えています。

ある関係者は「羽田飛行ルートの運用で飛行ルートの切り替えには危険を伴う」と指摘するなど、こうした変更やさらなる複雑化、ヒューマンエラーのリスクとなることが懸念されています。


5つ目に、検討会では「この方式を採用してもいずれかの市街地を上空を飛行せざるを得ず、海上ルートを設定できない以上、住民の理解を得るのは大変難しい」と述べられている通り、検討会での議論からも、固定化を回避するには海上ルートに戻すしかないことがはっきりしました。


さらに国交省が示した羽田新ルート導入の目的では、「現在飛行している海上ルートでは1時間離発着が80回までが限界、便数を増やすために新ルートを導入し、90回にして年間6万回の離発着を9万9千回に増やす」と説明していました。ところが、実際には海上ルートでも80回以上飛んで現在運用しています。

国交省がホームページで発表している離発着の2024年5月、1か月のデータを見ると海上ルートでは1時間単位81回以上飛行してる回数は254回中94回、ちなみに新ルートは53回中25回でした。


海上ルートでも最大94回飛行するなど「海上ルートでは80回まで限界」との導入の根拠が完全に破綻しています。2月6日に行われたレクチャーでもこの事実を認めました。


以下、質問です。

問1:検討会の後に国土交通省からは説明は?

第1に、今回の検討会の後に国土交通省からは説明はありましたか。
また、「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」の幹事会が昨年12月26日に開かれましたが、検討会についてどのような説明があり、区としてどのような意見や要望しましたか。
また、今回の検討会の内容についてどのように受け止めていますか。先に示した検討会の5つの問題点についての区の見解も併せてお答えください。

問2:品川区のように区民の負担軽減などを申し入れるべき

第2に、品川区では検討会翌日の12月25日に区長が区民負担の軽減のための具体的方策を示すように申し入れを行い、新宿では申し入れ等が行っていないとのことですが、品川区のように区民の負担軽減などを申し入れるべきではないでしょうか。

問3:導入の根拠が完全に崩れていますが区の見解?

第3に、これまで述べたように、新飛行方式に変更するには機材の更新のため少なくとも10年以上はかかります。新ルート導入の理由となった1時間80回以上の離発着は海上ルートでも行われており、導入の根拠が完全に崩れていますが区の見解をお聞きします。

問4:「海から入り、海に出る」、こそ進めるべき

第4に、今回の検討会は「固定化回避」の名で都心上空の飛行を固定するものです。検討は新ルートと同じ滑走路の使い方を前提にしたもので、どんな経路を取っても市街地上空の飛行が避けられないことは以前から指摘されていました。


検討会では4年以上議論しながら区民要求に背を向け続けています。「海から入り、海に出る」元のルートに基づく検討こそ進めるべきと考えますがいかがですか。そしてそのことを国交省に強く要望すべきです。以上、お答えください。

環境清掃部長

環境清掃部長
(環境清掃部長)

佐藤議員のご質問にお答えします。羽田新ルートについてのお尋ねです。

答1:12月26日関係区市連絡会幹事会、説明を受けました

はじめに、昨年12月24日に開催された第6回羽田新経路の固定化回避に係る技術的に方策検討会についての国からの説明についてです。
区には12月26日に開催された羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会幹事会に際して、第6回の検討会での検討結果について公表されている資料を用いた説明を受けました。


その際、今回の検討会で技術的に採用可能とした飛行方式には未対応の機材があるため、直ちに導入することは困難であること、令和6年1月に発生した羽田事故を踏まえ、ヒューマンエラーのリスクとなり得る運用の大きな変更やさらなる複雑化は慎重に行うべきであること、この飛行方式を導入したとしても新たな経路は市街地上空を通過することから、ルート案の検討については慎重な対応が必要であることなどの課題が示されました。


なお、羽田事故を受け、滑走路に誤って航空機が進入した際に管制官に注意喚起するシステムや管制官の人的な体制の強化と拡充を進めることなどの安全対策を講ずることも明らかにされています。


区ではまず検討結果や今後の予定を区民に周知することや、示された課題について検討会の議論の中で解決に向けた方策を検討するよう要望したところです。


今後の検討会で海上ルートも含め調査研究を継続することが示されたことは一定の前進であると認識しています。今後検討会で示された課題の解決に向け検討を加速することを国に求めてまいります。

答2:真摯に対応することを求めてまいります

次に、新宿区も区民の負担軽減などを申し入れるべきとのお尋ねです。
区は、これまでも固定化回避も含め区民の方からの要望やご意見を国に伝えるとともに影響の軽減に取り組むよう申し入れてきました。今後も国に対して区民の要望等を伝え、真摯に対応することを求めてまいります。

答3:首都圏全体での騒音共有、新ルートを導入した理由の一つ

次に1時間あたり80回以上の離着陸が海上ルートでも行われており、新ルート導入の根拠が崩れていることに対する区の見解のお尋ねです。
国からは、「従来のルートで常時達成可能な離着陸の回数は1時間あたり82回であるが、気象条件や航空機の機種など交通状況によりこの回数を一時的に超えることはある」と説明を受けています。


また、千葉県が負担していた騒音影響の首都圏全体での共有等の観点についても新ルートを導入した理由の一つであると聞いています。


区ではこうした内容を区民にも分かりやすく伝えるよう国に引き続き求めてまいります。

答4:早く固定化回避が実現するよう求めてまいります

次に「海から入り、海に出る」元のルートに基づく検討を進めるべきと考えることについてのお尋ねです。

区は、固定化回避のために海上ルートに戻すことも含め、区民の負担を軽減するために様々な検討を進めることは国の責務だと考えています。今後も国が固定化回避の検討を加速しその検討状況を区民に説明するとともに、できるだけ早く固定化回避が実現するよう求めてまいります。以上で答弁を終わります。

佐藤佳一議員:引き続き努力の方をお願いしたい

佐藤佳一議員(共産)

答弁ありがとうございました。今1点だけ海上ルートも含めて検討するというふうに国交省から回答があったということは一歩前進だというふうに思います。


しかし、すでにもう導入されて4回、固定化回避検討会は2年4か月ぶりというスピードの遅さには非常に呆れるばかりですけれども、今後も区民の要望は海上ルートに戻せということが一番の解決の道だと思いますので、引き続き努力の方をお願いしたいと思います。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴、ご協力ありがとうございました。

雑感

質問内容から、佐藤議員は羽田新ルート問題について、かなり勉強していることが推察される。

ただ、残念ながら、環境清掃部長の答弁は、他の区議会でもよく聞く耳タコな内容。

次回のさらなる鋭い質問に期待したい。

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