港区議会「25年第1回定例会」本会議の一般質問(2月21日~25日)で、羽田新ルートに関して、3人の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約3千文字)しておいた。
※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
中前由紀 議員(みなと未来会議)2月21日

中前由紀 議員(みなと政策会議、区議6期、東北大学教育学部卒、50歳)
中前:新たな手法を講じなければ一向に進展しない
次に、羽田空港新飛行ルートの固定化回避についてです。新たな取り組みを加速をしていただきたいと思っています。先日の勉強会に出席をし、今のままでは固定化回避の実現が見込めない、もしくは見込めてもかなり先になると感じました。
財界の要請を受けて国が経済優先の方針を打ち出し、都心ルートが採用されており、国が経済優先の方針を変えない以上、騒音軽減など小手先の議論にとどまるか、経路に変更を与え得る飛行形式のRNP-ARが導入されるとしても、全ての機材が対応可能になって実現できるのはまだまだ先の話です。
安全安心に暮らしたいという区民の声を結集し、議会と行政が一丸となって国に強く要望する。連携、自治体と地方空港への分散について具体的に協議をするなど新たな手法を講じなければ、一向に進展しないと思います。区長の見解をお伺いします。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります

清家愛 港区長(1期、元区議4期、青学卒、元産経新聞社会部記者、50歳)
次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避に向けた取り組みの加速についてのお尋ねです。
私は、区民の生活を守るという立場から、日本全体の空港における航空路線のあり方や各航空会社が使用する機材の性能向上に向けた支援、海上ルートの活用等のさらなる安全性の確保に向けた検討を国が進める必要があると考えております。
そうした観点も踏まえ、引き続き、国に対し、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります。
清原和幸議員(自民)2月21日

清原和幸議員(自民党、区議4期、日大理工卒、65歳)
清原:RNP-AR導入支援、(国に)求めるべき
次に、羽田空港新港経路に早期にRNP-AR方式を導入できるよう、国土交通省に区から求めるべきと思い質問いたします。
羽田空港新飛行経路については、運用前から経路下である白金地域の皆様から、落下物や騒音、経路の見直し等、様々な意見が寄せられていました。そこで私は令和2年3月29日から運用が始まり、地域の皆様から「落下物への不安」「思っていた以上にうるさい」「便数が多すぎる」、経路の見直しや撤回等の苦情が寄せられ、今でも地域の皆様から、「どうなっているのだ」などの叱責を受けております。
我が家はC滑走路に着陸する飛行経路の真下で、約550m上空を飛行し、しかもギア・ダウンするあたりですので、皆様からの意見は十分理解できます。
ところで、昨年12月末に「第6回 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」が開催され、第5回検討会で2つに絞り込んだ飛行形式のうち、測位衛星からの信号をもとに、航空機に搭載されたコンピューターが自機の位置を把握しながら計算して飛行する精度の高い曲線経路を含む進入方式、RNP-AR方式については、羽田空港のAとCの2つの滑走路を同時に進入するための安全性を確認し、技術的にも可能であると報告されたとのことです。
今月の12日に羽田新飛行経路に係る勉強会が開催され、私も参加させていただきました。その中で羽田空港に着陸する日本の航空会社の飛行機のうち、RNP-ARに対応する航空機は2023年度において75.7%で、残りの約1/4は未対応の航空機であるため、直ちに導入することは困難であるとの課題が合わせて示されました。
その他には、精度の高い曲線経路進入ができるため、小・中型機なら海上ルートを活用した着陸ができるとの説明も受けました。私は12日の報告の説明をお聞きして、固定化回避の一筋の光明が射したような気持ちになりました。
羽田空港新飛行経路の地域の方は、固定化回避を訴え続けても、「回避は困難であろう」と思われていると思います。
私は日本の航空会社の全ての航空機に1日も早くRNP-ARが搭載され、小・中型機の着陸が海上ルートとなることを期待しております。そして、大型機の着陸は15時から19時まで、羽田空港が許可を出さなければ、都心上空を飛行しての着陸はなくなると思います。
固定化回避に向け、取り組むべき課題は日本の航空会社の全ての航空機をRNP-AR対応に早期に改良することだと思います。
そこで、新飛行経路の固定化回避に向け、1日も早くRNP-AR形式の導入が実現されるよう、国が各航空会社支援を行うことについて、区から求めるべきと思いますが、区長の考えを伺います。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります

次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避に向けた航空会社のRNP-AR方式導入への国の支援についてのお尋ねです。
私は、区民の生活を守るという立場から、日本全体の空港における航空路線のあり方や各航空会社が使用する機材の性能向上に向けた支援、海上ルートの活用などのさらなる安全性の確保に向けた検討を国が進める必要があると考えております。
そうした観点も踏まえ、引き続き、国に対し、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります。
福島宏子議員(共産)2月25日

福島宏子議員(共産党、区議1期、聖徳学園保育士専門学校卒、保育士、58歳)
福島:区長の海上ルートの認識?
羽田新飛行ルートの運用を中止することについてです。
昨年12月に「羽田新飛行経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」第6回目が2年ぶりに開催されましたが、前進はありません。
現在、着陸時に使用しているA・C滑走路を使用することが前提ですから、どんなに頑張って急旋回しても港区上空を飛行するということは、初めから分かっていたことです。
航路下の住民を5年間も放置し、区民の声を欺く名ばかりの固定化回避検討会に怒りを覚えます。
私たちは、羽田新飛行ルートの運用を中止、元通りの海上ルートに戻すことを求めています。国は千葉県と、新飛行ルートの運用の際は千葉県上空を飛ばないことを約束しています。だから、元のルートに戻せないという理屈は通りません。
「騒音の共有」などと言いますが、千葉と都心上空では高度が大きく違います。羽田新飛行ルートの運用を中止し、旧ルートに戻して、千葉の上空からB・D滑走路を使用する海上ルートの使用を国に求めること。区長の海上ルートの認識も含め、答弁を求めます。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります

次に、羽田空港新飛行経路の運用中止と海上ルートの使用を国に求めることについてのお尋ねです。
私は、区民の生活を守るという立場から、国に対し、より安全な海上ルートの活用を含め、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう、引き続き強く求めてまいります。
福島:海上ルート、国交省への要請を強めていただきたい
2点、再質問させていただきます。羽田新飛行のルートの運用を中止することについてです。
区長の海上ルートの認識ということでは、「安全重視、区民の命を守るという立場」ということは分かりましたけれども、やっぱり今の国交省の言う海上ルートと、全く私たちの認識が違うということも先日の学習会でもよく分かりましたので、港区から声を上げて、やっぱり元のルートに戻すという、海上ルートでさらに国交省への要請を強めていただきたい。ぜひもう一度再答弁お願いいたします。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く国に求めてまいります
ただいまの共産党議員団の福島宏子議員の再質問にお答えいたします。
最初に、羽田空港新飛行経路の運用中止と海上ルートの使用を国に求めることについてのお尋ねです。
区民の方々の不安や思い、ご意見は、区長として認識しております。
海上ルートの活用は、私も解決策の一つであると認識しています。引き続き、区民の生活を守る立場から、国に対し、海上ルートの活用を含め、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう強く国に求めてまいります。
雑感(「固定化回避」コピペ答弁4回、不誠実の極み)
清家区長の選挙公約は、「羽田空港新ルート固定化回避」の早期実現!だった。官僚が編み出した「固定化回避」を掲げた段階ですでに怪しかった。
区議時代には幾度も羽田新ルート問題を取り上げていたが、「(固定化回避の検討加速)是非、強く進めていただくようお願いいたします」といった、発言にとどまっていた(羽田新ルートに係る区議会での過去発言)。
羽田低空飛行見直しのための議員連盟の主催による国交省へのヒアリング(25年1月28日)と日本共産党国会議員団(東京事務所)の主催による国交省へのヒアリング(25年2月6日)によって、A滑走路は従来通り、固定化回避の検討結果に関わらず都心を低空飛行して羽田に着陸する一方、C滑走路のほうは、見直しルートをもってしても陸域の通過は避けられないことが確定した(「固定化回避の実現は幻想」より)。
それにもかかわらず、〇〇の一つ覚えのように「固定化回避に向けた検討を加速するよう強く国に求めてまいります」と4回もコピペ答弁した清家区長の姿勢は不誠実の極みであると言わざるを得ない。
なお、羽田新飛行経路に係る勉強会で「固定化回避の一筋の光明が射したような気持ち」になった清原和幸議員(自民)は、もっと勉強したほうがいいだろう。
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