明治大学政治経済学部教授・野澤千絵氏の新著『2030-2040年 日本の土地と住宅』中公新書ラクレ (2024/12/6) を読了。
2030年、2040年に中古マンション(と戸建て)がどうなっているのか、エリア別(都心3区、城南、城西、城北、城東、ほか)に整理されている。将来の中古マンション市場に関心がある方におススメ。
※朱書きは、私のメモ。
再開発でタワーマンションばかり建つ理由
東京都とデベロッパー等との協議を通じて、最大で300%(2019年12月末までは500%)もの容積率ボーナスが得られるようになっていることも、タワーマンションの建設を後押ししているという。
再開発でタワーマンションばかり建つ理由
(前略)近年は、再開発を推進するデベロッパー側も、投資層・富裕層・外国人などからの需要が見込めるような高級路線のタワーマンションの建設に力を入れるようになっています。正直、こうしたトレンドから、ちょっと便乗値上げではと疑問に思うケースもあります。
特に東京都では、都市政策として、オフィスや商業施設だけでなく、「都心居住の推進」ということで住宅供給に対しても容積率等の緩和を行ってきました。要件を満たせば、東京都とデベロッパー等との協議を通じて、最大で300%(2019年12月末までは500%)もの容積率ボーナスが得られるようになっていることも、タワーマンションの建設を後押ししていると言えます。
また、東京都以外の自治体も、長期的に人口減少が進むことへの危機感が強く、民間資金やノウハウを活用してタワーマンションが建てば人口と税収が増えるため大歓迎と、容積率等の規制緩和に積極的なところが多いのが現状です。
このような理由から、都心や駅前などの市街地再開発事業でタワーマンションばかりつくられています。そしてこの流れが止まらないのです。
(P143-144/第3章 高コスト化する再開発)
※たしかに、市街地再開発事業でタワーマンションばかりつくられている。〇〇市街地再開発組合の設立が認可されたうちタワマンが絡むのは、少なくとも19~22年度21件、23年度2件、24年度2件。

「タワーマンション|都内の大規模な市街地再開発事業(2024年度)」より
過度な「共有化」「区分所有化」の抑制
再開発によって建設される巨大な複合施設は、将来的にその土地や建物を再整備する際の合意形成の壁がますます高くなってしまうという指摘。
過度な「共有化」「区分所有化」の抑制
日本の総人口がおよそ半減する2100年頃、古くなったマンションの多くが高額の維持管理コストに耐え切れず、解体もできずに荒廃した状態で残り続けることが危惧されます。
自分たちはもうこの世にいないからと見て見ぬふりをするのではなく、将来世代がこうした街を抱えて苦しまないように、少なくとも都市の拠点では、これ以上、「動かしにくい」「変えられない」区分所有化を助長する形の都市政策から脱却する必要があります。
再開発によって建設される商業施設・公共施設・分譲タワーマンションが入った巨大な複合施設は、土地や建物の権利関係が複雑に「共有化」「区分所有化」されてしまいます。このため、将来的にその土地や建物を再整備する際の合意形成の壁がますます高くなり、その場所が「不可逆的」な状態になっています。(以下略)
(P264-265/終章)
※国交省住宅局が事務局となっている「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」が23年8月10日に公表した「今後のマンション政策のあり方に関する検討会 とりまとめ」の「参考資料」には、値上げを総会の議案とした2,531議案の81%に質問の嵐が降り注いでいる。

「修繕積立金|値上げの実態、値上げの困難性、総会対応について」より
本書の構成
6章構成。全281頁。
- 第1章 この10年の地価高騰を読み解く
- 第2章 今、なぜ、家が手に入りにくいのか?
- 第3章 高コスト化する再開発
- 第4章 中古マンション編:住宅の流通量が増加する駅
- 第5章 中古戸建編:住宅の流通量が増加する駅
- 終章
Amazon⇒『2030-2040年 日本の土地と住宅』
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