タワマンの被害想定は困難という内閣府の見解をTBSが報じた。
ニュースの元となった、1月16日に開催された「首都直下地震対策検討WG(第10回)」の資料をひも解いて、不都合な真実を発見してしまったかも、という話。
※初投稿25年2月16日(追記25年7月2日)
タワマンの建物被害・死傷者数の推定は困難(TBS)
タワマンについてはこれまでの災害で十分な被害のデータがないので被害想定が困難との内閣府の見解が示された、というTBSのニュース。
「タワーマンションの建物被害・死傷者数の推定は困難」首都直下地震・被害想定見直し議論 内閣府
(前略)きょう(16日)行われた会合で、この10年間で急増しているタワーマンションの被害について、「倒壊などの建物被害やそれによる死者・けが人の数の推定を算出することは困難」との見解が示されたということです。
被害想定の算出は過去の災害の被害をもとに行われていますが、タワーマンションについてはこれまでの災害で十分な被害のデータがないことが理由だということです。(以下略)
タワマンの被害想定が困難だという内容の詳細を確認すべく、1月16日に開催された「首都直下地震対策検討WG(第10回)」の資料をひも解いてみた。
首都直下地震対策検討WG(第10回)資料をチェック
「首都直下地震対策検討WG(第10回)」の資料は、内閣府の防災情報のページに公開されている。
同WG開催から1か月近く経過した2月14日夕刻、5ページからなる「議事要旨」(議事録ではない!)公開されたので、内容を確認してみたら、タワマンの被害想定の件については全く記載がないのである。
なぜ、タワマンの被害想定が記されていないのか? 首都圏で乱立されているタワマンの被害想定を世間に知らしめたくないということなのか……。
あらためて「配布資料」リストを見てみると、「WG取りまとめに向けた議論の進め方について」だけ「非公開資料1」となっていることに気づく(次図)。

また、2月14日に開催された第11回WGの配布資料の大半は非公表資料となっている(次図)。
首都直下地震によるタワマンの被害想定。結果次第では、タワマンへの売れ行きに影響しかねない。政府にとって、被害想定は困難なのではなく、被害想定はしたくないということなのではないのか。
TBSの今回の報道がなければ、タワマンの被害想定は困難という内閣府の見解を知ることはできなかった。非公表資料として、世間の目を避けていた不都合な真実がTEBの報道によって垣間見えたような気がするのだが……。
「非公表資料1」「議事録」等を開示請求
ひょっとして、「非公表資料1:WG取りまとめに向けた議論の進め方について」のなかに、タワマンの被害想定の件が記されているのではないのか?
非公開資料だから、同資料に関する議論も「議事要旨」に記載されていないのではないのか?
ダメもとで、大臣官房長宛に、以下資料の情報公開請求を出すことにした。
※国交省のようにネットでは受け付けてくれない。1件300円収入印紙要。なんともアナログである。
- 第10回WG
- 非公表資料1:WG取りまとめに向けた議論の進め方について
- 議事録(←公開済みの「議事要旨」ではない!)
- 第11回WG
- 非公表資料1:前回(第10回)ワーキンググループにおける意見等について
【追記】開示された文書は”のり弁”
※追記25年7月2日
議事録は不開示
25年6月26日、開示請求した3文書のうち、次の2文書がCDで郵送されてきた。
2月17日に開示請求して、開示文書の入手まで4か月以上も要したのは初めてだ。なぜこれ程時間がかかったのか.
内閣府の担当者が筆者宛に何度も掛けてきた電話を迷惑電話だと思って出なかったから。6月18日に初めての留守電を受けてようやく開示手続きが進行した。留守電の内容は「手数料40円足りないので、追納してほしい」とのこと。電話をかけ直す相手の手間や、40円切手を送付する筆者の手間を考えたら、なんともバカバカしい話だ。しかも時間が掛り過ぎているのである。
話を元に戻す。
「首都直下地震対策検討ワーキンググループ(第11回)議事録」は全文開示されなかった。また、上記2文書の一部は開示されなかった。
不開示理由は、「開示決定通知書」によれば、下記のとおり、「率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」があるためとされている。
不開示とした部分及びその理由
- 請求された文書のうち、「首都直下地震対策検討ワーキンググループ(第10回)議事録Jについては、審議途中の内容が含まれるものであり、これを開示することで、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、あるいは、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため、法第5条第5号に該当することから、不開示とする。
- また、「WG取りまとめに向けた議論の進め方について」及び「前回(第10回)ワーキンググループにおける意見等について」については、資料の一部に審議途中の内容が含まれており、これを開示することで、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、あるいは、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため、’法第5条第5号に該当することから、不開示とする。
- なお、「首都直下地震対策検討ワーキンググループ(第10回)議事録」については、ワーキンググループ終了後一定期間経過後に公表することとしている。
開示された2文書は墨消しにより、内容不明
開示された2文書は、肝心の部分が墨消しされているので、内容が不明だ。
「WG取りまとめに向けた議論の進め方について」は、「(参考)平成25年WG報告書の構成」以外は、のり弁状態(次図)。

「前回(第10回)ワーキンググループにおける意見等について」も、各ページの半分が墨消し。何が記されているのか全く分からない。

結局、開示された文書からは、TBSが報じた「タワーマンションの建物被害・死傷者数の推定は困難」に相当する内容は読み取れなかった。
検討WGのその後の文書をひも解く
なお、首都直下地震対策検討WGはその後、概ね月1回のペースで開催されていて、各回で公表された資料をひも解くと、マンション被害に係る文章が少しだけ記載されていることが確認できる。
- 第12回(3月12日開催)
マンションの被害について、ライフライン途絶による影響以上に建物が損傷することにより住み続けられなくなる影響の方が大きいと考えられるため、被害想定ではこの点を踏まえて記述して欲しい。 - 第14回(4月21日開催)
東京圏には高層マンションに住まれる方が多いので、被害状況をイメージできるよう、高層階に住む方と一軒家に住む方の被害についても記載があるとよい。
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