東京都選管HPに過去3年分の「政治資金収支報告書」が公開されているので、森澤恭子 品川区長の政治資金を可視化してみた。
※一部、敬称略
※投稿25年1月4日
森澤恭子氏が代表を務める3つの政治団体
森澤恭子氏が代表を務めている政治団体は、東京都選挙管理委員会がHPで公開している「政治団体名簿」のうち「政党以外の政治団体」で確認することができる。具体的には以下の3つ。
- 森沢きょうこ後援会(資金管理団体)
- 代表:髙屋恭子(森澤は旧姓、髙屋は戸籍名)
- 会計責任者:高屋恭子
- 設立:17年5月26日
- 森澤恭子サポーターズクラブ(その他の政治団体)
- 代表:髙屋恭子
- 会計責任者:高屋智行
※森澤氏の夫(大学の同級生。カーディフ損保代表取締役社長) - 設立:22年5月2日
- 無所属 東京みらい(その他の政治団体)
- 代表:髙屋恭子
- 会計責任者:奥澤高広(17年の都議初当選、22年の町田市長選落選)
- 設立:19年2月5日 ※都議時代に奥澤高広・斉藤れいな(21年落選)と設立
収入(19~23年)
区長選の年(22年)に急増(1,487万円)
森澤恭子氏が代表を務めている政治団体の政治資金(収入)につき、過去に公開されたデータも含めて可視化したのが次図。
- 「資金管理団体」である「森沢きょうこ後援会」の政治資金は品川区長選が実施された22年に急増(1,487万円)。主な収入は「個人からの寄付」(約1,218万円)と「機関紙誌の発行その他の事業による収入」(223万円)。
- また、同後援会は「政治団体からの寄付」として、「女性政治家、女性候補者を支援する超党派のネットワーク」一般財団法人WIN WIN(代表 赤松良子)から合計40万円の収入を2回(9月26日20万円、10月24日20万円)に分けて得ている。
- 区長選の年に設立された「その他の政治団体」である「森澤恭子サポーターズクラブ」の収入は、区長選翌年に「機関紙誌の発行その他の事業による収入」として465万円を得ている。465万円の中身は全額「政治賢金パーティー闘催事業費」となっている(詳細後述)。
個人からの寄付額、2回目の選挙前に1回目の1.8倍
以下、品川区長選が実施された22年に急増した個人からの寄付(約1,218万円)の中身を分析する。
個人からの寄付(約1,218万円)のうち、4分の3を占めている約917万円は記名寄付(同一者からの年間5万円超が対象)。残りの約301万円(全体の4分の1)は、5万円以下の匿名寄付なので、誰がいくら寄付したのは分からない。
記名寄付約917万円を対象に、職業別に平均額を可視化してみた(次図)。
平均額が最も高いのは都議会議員(1人)から1月1日付の713,872 円。ただし、これは森澤氏本人。次いで高いのは団体役員(2人)70万円、弁護士(2人)52.5万円、国会議員(1人)20万円。
ちなみに、国会議員は、山下雄平 参議院議員(自民、佐賀県選挙区、当選2回、慶応卒、45歳)。森澤氏と同窓(慶應義塾大学法学部政治学科)。
22年に年間50万円以上個人寄付した人を整理してみた(次表)。
- 金額が最も高かったのは団体役員(一般財団法人WIN WIN)の140万円。「女性政治家、女性候補者を支援する超党派のネットワーク」一般財団法人WIN WINは、政治団体としても合計40万円(9月26日20万円、10月24日20万円)寄付(上述)している。
区長選(1回目:10月2日、2回目:12月4日)の時期と個人からの寄付金額・時期との関係を可視化してみた(次図)。
1回目の選挙で他の3名(石田秀男、山本やすゆき、西本たか子)との競り合い結果を知って、2回目の選挙に向けて寄付金が増えているように見える。
1回目の前と2回目の前では寄付金の人数は1人しか違わないが、2回目前の金額は1回目前の金額の1.8倍にもなっている(次図)。
区長選前、政治資金パーティー収支約200万円(利益率90%)
森澤恭子氏に係る政治資金パーティーは2件(次表)。
- ひとつは、第1回目の区長選(投開票22年10月2日)の1か月以上前の22年8月23日に、ニューオータニイン東京 おおとりの間で開催された「森沢きょうこをはげます会」。収支約200万円で利益率は90%と高い。
- もう一つは、区長に当選した翌年、45歳の誕生日(11月16日)を前に、東京マリオットホテルで開催された「森澤恭子とともに歩む会」。収支約213万円で、利益率は46%にとどまっている。
支出(21~23年)
経常経費212~379万円+政治活動費135~1,119万円
政治資金の年間支出はけっこうバラついている(次図)。
経常経費は212~379万円で比較的安定しているが、政治活動費の変動幅は大きい(135~1,119万円)。
政治資金の過去3年間(21~23年)の支出の内訳を次図に示す。
政治活動費のなかでは、区長選があった22年の「寄附・交付金」と「宣伝事業費」が目立つ。
区長が集めた政治資金の一部を区議に配る!?
22年の「寄附・交付金」(831万円)の中身をひも解いてみると、830万円が4回に分けて「チーム品川みらい」に寄付されていることが確認できる(次図)。
「チーム品川みらい」とは、妹尾麻里 品川区議(無所属、当選2回)が22年5月2日に開設した「その他の政治団体」。
森沢きょうこ後援会から「政治団体からの寄付」として得た830万円は、「チーム品川みらい」の唯一の収入。その98%が「宣伝事業費」として、チラシデザイン費や印刷費、新聞折込費、宣伝車ラッピング費などに使われている。
妹尾麻里氏は翌年4月23日の区議選に2回目の当選を果たすことができたのだが、区長が集めた政治資金の一部が区議に配られることはよくあることなのか……。
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