航空アナリスト・中島二郎氏の大変興味深い論考が1月2日の「乗りものニュース」に掲載されていた。
備忘録として、以下整理しておいた。
航空アナリスト・中島二郎氏の論考
国交省が羽田新ルートを強行開設した理由は、発着便数UPだけじゃなく、羽田空港に隣接する大型船が出入りする「東京西航路」との干渉を回避するためだというのである。
羽田空港に隣接する東京湾には「東京西航路」という東京港へ大型船が出入りするための航路が設定されています。これが羽田空港への飛行経路と干渉する問題です。
この航路と、羽田空港のB滑走路とD滑走路への進入路が互いに干渉しあうことは、国土交通省が発行している進入経路図に2ページにわたって説明されています。同資料によると、B滑走路の場合56.3m、D滑走路の場合は53.7m以上の高さの船舶が東京西航路を航行すると、着陸機が飛行する進入路への影響が生じると図入りで解説されています。
船舶の大型化は世界的な傾向です。昨今では、パナマ運河を航行できる最大の大きさとして従来規定されてきた、いわゆる「パナマックスサイズ」を超える大きな船が増えています。クルーズ船も例外ではありません。パナマックスが規定している船の高さは最大57.91mです。この大きさの船が東京湾西航路を航行するとD滑走路とB滑走路に進入する航空機は船の位置を確認しながら飛行する必要があるのです。十分な視程が確保できる天候であれば危険を回避することは可能と考えられますが、霧や雪などで視程が低いと進入を中止せざるを得ない場合も想定されます。
B・D滑走路に設定された船舶の運航許容高さとの関係
同氏が引用している「国土交通省が発行している進入経路図に2ページ」は見あたらなかった。でも、国交省が2011年10月に発信した「東京国際空港周辺の航行方法について(再周知)」という文書が東京航空局のHPに掲載されていた(次図)。
上図のうち、B滑走路とD滑走路それぞれに設定された船舶の運航許容高さとの関係を示したイラストを拡大しておいた(次図)。
雑感
観光立国推進に向けて訪日外国人の増加を目指している政府としては、航空機の増便だけでなく、大型クルーズ船を受け入れるためにも羽田新ルートの開設は必要だったという航空アナリスト・中島二郎氏の推論には一定の説得力が感じられる。
新しい飛行経路を開設することにより、B滑走路とD滑走路を着陸に使用する回数を減らすことができます。それにより東京西航路を航行する大型船の便数を増やすことが可能となります。
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