都議会議員に交付されている政務活動費は適切に使われているのか。
都議会議員の多い5会派(自民・都ファ・公明・共産・立憲)のなかで、「政務活動費」に占める「広報紙(誌)発行費」の割合が多いのが公明党であることは既にこのブログで紹介した(都議会|5会派の「政務活動費」)。


本日は、都議会がHPで公開している「収支報告書・会計帳簿・領収書等」を元に公明党の23年度の「政務活動費」につき、さらに深掘りする。
※以下、敬称略
「政務活動費」支出内訳
共通・議員合計「政務活動費」の支出内訳(23年度)を次図に示す。
※公明党に交付された23年度の「政務活動費」(1億3,800万円。23人×600万円)は、「公明党」(≒議員共通)と23名の各議員で帳簿が整理されている(執行残約1,128万円、執行率91.8%)。
条例で規定された全14項目のうち、最も多いのは「広報紙(誌)発行費」。次いで「人件費」「事務費」「事務所費」「交通費」。
「人件費」「事務費」「事務所費」など「調査活動補助費」としての固定的経費を除くと、ほとんどが「広報紙(誌)発行費」を占めていることが分かる。

「政務活動費」月次変化
共通・議員合計「政務活動費」の月次変化(23年度)を次図に示す。
共通・議員合計とも、年度末になると「広報紙(誌)発行費」が激増している。
年度末だけでなく、7月にも「広報紙(誌)発行費」が増加したのはなぜなのか。7月の都議会議員補欠選挙(9選挙区)との関係は特に見られないのだが……。

※各月の棒グラフの左側が共通、右側が議員合計を示している。
議員ランキング
公明党に交付された23年度の「政務活動費」(1億3,800万円。23人×600万円)のうち、「都議会公明党」(≒議員共通)分(約4,378万円)と執行残(約1,128万円)を除く約8,294万円につき、23名の各議員の支出内訳を次図に示す。

期数と政務活動費との関係は特に見られない(次図)。

政務活動費
「政務活動費」が最も多いのは加藤雅之 421万円(4期、墨田)、最も少ないのは小林健二 253万円(4期、練馬)。その差168万円。
多い議員:加藤雅之 421万円(4期、墨田)
「政務活動費」が多い議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:加藤雅之 421万円(4期、墨田)
- 2位:鎌田悦子 419万円(1期、板橋)
- 3位:古城将夫 402万円(2期、新宿)
- 4位:松葉多美子 402万円(5期、杉並)
- 5位:勝亦聡 402万円(1期、大田)
- 6位:細田勇 401万円(2期、江東)
- 7位:東村邦浩 395万円(6期、八王子)
- 8位:高久則男 394万円(1期、世田谷)
- 9位:高倉良生 388万円(5期、中野)
- 10位:玉川英俊 385万円(1期、大田)
少ない議員:小林健二 253万円(4期、練馬)
「政務活動費」が少ない議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:小林健二 253万円(4期、練馬)
- 2位:慶野信一 278万円(2期、荒川)
- 3位:北口剛士 285万円(1期、葛飾)
- 4位:中山信行 297万円(5期、足立)
- 5位:長橋桂一 311万円(6期、豊島)
- 6位:小磯善彦 331万円(6期、町田)
- 7位:伊藤興一 344万円(5期、品川)
- 8位:竹平智春 345万円(1期、江戸川)
- 9位:中嶋義雄 354万円(7期、北多摩第三)
- 10位:谷村孝彦 367万円(6期、北多摩第一)
広報紙(誌)発行費
「広報紙(誌)発行費」が最も多いのは鎌田悦子 419万円(1期、板橋)、最も少ないのは 大松成 371万円(5期、北)。その差48万円。
都ファや自民と異なるのは、議員による差が小さいことと、ゼロ円議員がいないこと。
多い議員:鎌田悦子 419万円(1期、板橋)
「広報紙(誌)発行費」が多い議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:鎌田悦子 419万円(1期、板橋)
- 2位:細田勇 401万円(2期、江東)
- 3位:高久則男 394万円(1期、世田谷)
- 4位:古城将夫 402万円(2期、新宿)
- 5位:中嶋義雄 354万円(7期、北多摩第三)
- 6位:高倉良生 388万円(5期、中野)
- 7位:玉川英俊 385万円(1期、大田)
- 8位:竹平智春 345万円(1期、江戸川)
- 9位:勝亦聡 402万円(1期、大田)
- 10位:薄井浩一 379万円(2期、足立)
「政務活動費」に対して「広報紙(誌)発行費」の占める割合が9割を超える議員は以下の8名。
- 中嶋義雄 95%(7期、北多摩第三)
- 北口剛士 94%(1期、葛飾)
- 高久則男 93%(1期、世田谷)
- 竹平智春 92%(1期、江戸川)
- 細田勇 92%(2期、江東)
- 長橋桂一 91%(6期、豊島)
- 古城将夫 91%(2期、新宿)
- 鎌田悦子 91%(1期、板橋)
少ない議員:大松成 188万円(5期、北)
「広報紙(誌)発行費」が少ない議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:大松成 188万円(5期、北)
- 2位:慶野信一 207万円(2期、荒川)
- 3位:東村邦浩 207万円(6期、八王子)
- 4位:小磯善彦 209万円(6期、町田)
- 5位:小林健二 220万円(4期、練馬)
- 6位:加藤雅之 223万円(4期、墨田)
- 7位:斉藤泰宏 226万円(4期、目黒)
- 8位:松葉多美子 250万円(5期、杉並)
- 9位:中山信行 254万円(5期、足立)
- 10位:北口剛士 267万円(1期、葛飾)
事務所費
「事務所費」が最も多いのは加藤雅之 121万円(4期、墨田)、最も少ないのはゼロ(15名)。
多い議員:加藤雅之 121万円(4期、墨田)
「事務所費」が多い議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:加藤雅之 121万円(4期、墨田)
- 2位:大松成 106万円(5期、北)
- 3位:斉藤泰宏 102万円(4期、目黒)
- 4位:松葉多美子 83万円(5期、杉並)
- 5位:勝亦聡 65万円(1期、大田)
- 6位:東村邦浩 56万円(6期、八王子)
- 7位:玉川英俊 45万円(1期、大田)
- 8位:小磯善彦 31万円(6期、町田)
ゼロ議員:15名
「事務所費」がゼロの議員は、以下の15名。
- 慶野信一(2期、荒川)
- 小林健二(4期、練馬)
- 中山信行(5期、足立)
- 北口剛士(1期、葛飾)
- 谷村孝彦(6期、北多摩第一)
- 長橋桂一(6期、豊島)
- 伊藤興一(5期、品川)
- 薄井浩一(2期、足立)
- 竹平智春(1期、江戸川)
- 高倉良生(5期、中野)
- 中嶋義雄(7期、北多摩第三)
- 古城将夫(2期、新宿)
- 高久則男(1期、世田谷)
- 細田勇(2期、江東)
- 鎌田悦子(1期、板橋)
交通費
「交通費」が最も多いのは東村邦浩 107万円(6期、八王子)、最も少ないのは松葉多美子0万円(5期、杉並)。その差107万円。
多い議員:東村邦浩 107万円(6期、八王子)
「交通費」が多い議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:東村邦浩 107万円(6期、八王子)
- 2位:谷村孝彦 76万円(6期、北多摩第一)
- 3位:薄井浩一 42万円(2期、足立)
- 4位:加藤雅之 33万円(4期、墨田)
- 5位:中山信行 23万円(5期、足立)
- 6位:慶野信一 23万円(2期、荒川)
- 7位:小磯善彦 23万円(6期、町田)
- 8位:細田勇 19万円(2期、江東)
- 9位:小林健二 17万円(4期、練馬)
- 10位:伊藤興一 15万円(5期、品川)
少ない議員:松葉多美子0万円(5期、杉並)
「交通費」が少ない議員上位10名を以下に示す。
※千円以下は四捨五入
- 1位:松葉多美子0万円(5期、杉並)
- 2位:中嶋義雄1万円(7期、北多摩第三)
- 3位:高倉良生2万円(5期、中野)
- 4位:斉藤泰宏2万円(4期、目黒)
- 5位:高久則男3万円(1期、世田谷)
- 6位:玉川英俊5万円(1期、大田)
- 7位:勝亦聡5万円(1期、大田)
- 8位:古城将夫6万円(2期、新宿)
- 9位:竹平智春8万円(1期、江戸川)
- 10位:大松成8万円(5期、北)
【参考】政務活動費について
政務活動費とは、議員が行う調査研究、情報収集、政策立案、広報・広聴活動等に要する経費に対して交付されるもの。政務活動費の使途基準は、東京都政務活動費の交付に関する条例「別表」により次表のように定められている。

政務活動費の交付対象は、会派(所属議員が1人の場合を含む)。交付額は、議員1人につき月額50万円×所属議員数(政務活動費の概要 | 東京都議会)。
東京都議会の「政務活動費関係規程」を以下に列挙しておく。
- 地方自治法(抄)
- 東京都政務活動費の交付に関する条例
- 東京都政務活動費の交付に関する条例施行規則
- 東京都政務活動費の交付に関する条例施行規程
- 東京都政務活動費調査等協議会要綱
- 東京都政務活動費に係る領収書等の写しの閲覧に関する要綱
雑感
政務活動費は自己PRのため!?
都議会議員の多い5会派(自民・都ファ・公明・共産・立憲)のなかで、「政務活動費」に占める「広報紙(誌)発行費」の割合が多いのが公明党である。
23年度の「政務活動費」(交付額1億3,800万円、執行残約1,128万円、執行率91.8%)は、「人件費」「事務費」「事務所費」など「調査活動補助費」としての固定的経費を除くと、ほとんどが「広報紙(誌)発行費」を占めている(次図、再掲)。
年度末になると「広報紙(誌)発行費」が激増している。(次図、再掲)。
「広報紙(誌)発行費」が自己PRのため、特に年度末の予算消化として使われている状況が透けて見える。
年度末だけでなく、7月にも「広報紙(誌)発行費」が増加したのはなぜなのか。7月の都議会議員補欠選挙(9選挙区)との関係は特に見られないのだが……。

「政務活動費」(次図、再掲)が最も多いのは加藤雅之 421万円(4期、墨田)、最も少ないのは小林健二 253万円(4期、練馬)。その差168万円。
都ファや自民と異なるのは、議員による差が小さいことと、ゼロ円議員がいないこと。

かつては「政務調査費」と呼ばれ、交付目的は「議員の調査研究」
そもそも「政務活動費」は、かつて「政務調査費」と呼ばれ「議員の調査研究」のために交付されていた。ところが、自治法の一部改正(2012年8月29日)のタイミングで議員修正によって「政務調査費」から「政務活動費」に改称された。そのときに交付目的が「議員の調査研究」から「議員の調査研究その他の活動に資するため」と変更され、使途が拡大されたのである。
その使途に関して住民から批判が絶えない一方で、議員の間には、「調査」に関わらせていることが使途を窮屈にしているという不満が少なくなかったといいます。地方議会議長会三団体からは、この政務調査費については、①支出と調査研究活動の厳格な関連性が要求され、政務調査活勣が自己抑制的になる傾向がある、②住民への議員活動の成果の報告が政務調査費の対象となるかが微妙である、との理由から、「現行地方自治法上、調査研究活動に特化されている政務調査費制度を見直し、幅広い議員活動等に充てることができることを明確にするよう法改正を行うこと」という要望が自民党等に寄せられていました。
そこで、「政務調査費」を「政務活動費」に改称し、交付の目的について100条14項に「その他の活動」の6文字を付加して「議員の調査研究その他の活動に資するため」とする改正が行われたのです。(大森 彌「自治体議員入門」第一法規 2021/11/24,p75-76)
政務活動費は、議員報酬とは異なり、「交付することができる」となっていて、支給可否も額も任意。すでに政務活動費が既得権益視されているなか、政務活動費を2016年に廃止した自治体がある。大阪市泉南市(人口6.5万人、定数18人)だ。それまで1か月あたり5万円支給されていた政務活動費を廃止した理由は次のとおり。
廃止理由は、①条例や法によって、あるいは制度で規制されたものを、政務活動費と称して費用を支弁されていることが議員活動そのものに規制を加えることになり、議員の自主的活動の中で、自律的な政策提言を行うことのほうが、より柔軟な政治活動を行えるのではないかと考えること、②政務活動費の支給などを受けずに、議員が、その自主的活動の中で、自律的な政策提言を行うことのほうが、より柔軟な政治活動を行えるのではないかと考えること、③議会議員は、個々の自己責任で自由に議員活動を行うべきであり、政務活動費の交付によって、その活動に制限が及ぶことがないよう、現下の社会情勢等も勘案し、条例廃止を提案するということでした。
(同上,p88)
都議会にいる現在の維新議員は1名。松田りゅうすけ氏(1期、大田)。次回都議選で(25年7月予定)、維新候補が「身を切る改革」として「政務活動費」の廃止を訴えることはないのか……。
