国交省は11月29日、「ニュースレター第18号（2024年秋）」を発行。
羽田新ルート問題に詳しくない人がニュースレターを読むと、安心感が得られる内容となっているのだが……。
「ニュースレター第18号（2024年秋）」発行
国交省は11月29日、「ニュースレター第18号（2024年秋）」を発行。
国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」に掲載された「ニュースレター」のリンクを辿っていくと、白黒6枚のPDF（4.8MB）「ニュースレター第18号（2024年秋）」が開く（次図）。
ウェブ上の公開資料であるにも係わらず、なぜカラーではなくわざわざ視認性の低い白黒を採用しているのかという、読者視点のない国交省のお役所ぶりはさておき、気になる3点を以下に指摘しておこう。
国交省の情報戦略（寝た子を起こすな作戦!?）
羽田新ルート問題に詳しくない人がニュースレターを読むと、安心感が得られる内容となっている。騒音・落下物問題について、寝た子を起こさないという国交省の情報戦略が透けて見える。
騒音問題：事前の推計値を上回っていることには触れられていない
3枚目に掲載された「騒音測定結果」のページ（次図）。
騒音測定局ごとのLden（航空機騒音評価の指標）について2023年4月1日から2024年3月31日の期間で集計した結果は、下表のとおりです。また、航空機の降下角の引き上げと低騒音機の使用による騒音軽減効果が継続的に確認できています。
最大騒音レベルの値が事前の推計値を大きく上回っていることについてはどこにも触れられていない。
東京都が主催した「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」（24年7月5日開催）では、国交省からの説明を受けた大田区が「騒音値について、実測値の平均が昨年度より大きくなっている測定局や、説明会の際に示した推計平均値を上回っている測定局がある」と指摘している。
落下物問題：「ほとんどは100g未満」と矮小化
5枚目に掲載された「航空機の落下物対策と部品欠落に関する情報」のページについてもしかり（次図）。
2020年3月末から運用を開始した新飛行経路において確認された落下物※1は０件※2です。2018年3月にとりまとめた「落下物対策総合パッケージ」に基づき、関係者（国・メーカー・航空会社等）が一丸となって対策を実施しています。
- ※1 落下物とは、地上（空港内で発見されたものを除く）で、部品または氷塊が発見されたもの。
- ※2 2024年10月末時点。
部品欠落※3の報告制度により、羽田空港を含む７空港において2023年度に報告された欠落部品の総計は1283個であり、そのほとんどは100g未満、約8割は10g未満でした。
- ※3 部品欠落とは、空港到着後の点検において、航空機の部品がなくなっていることが確認されたものであり、必ずしも空港周辺で発生した部品欠落の件数を意味するものではありません。
落下物については、「そのほとんどは100g未満、約8割は10g未満でした」と、落下物（国交省の定義では落下物ではなく「部品欠落」）の発生状況がことさら矮小化されている。
2023年度に報告された欠落部品の総計1283個のうち8個は「1kg以上」であったことについては（次図）、全く触れられていない。
国交省「部品欠落件数及び欠落部品内容（2023年度）」24年8月1日 P4より
固定化回避：全く触れられていない
2024 年1月2日に羽田空港で発生した航空機衝突事故については、同年6月に中間取りまとめが公表された旨が記載されている（次図）。
世間の注目を集めた悲惨な事故の対応をシッカリしているという姿勢を示した形だ。
でも、「固定化回避」については、全く触れられていない。
固定化回避検討会については、22年8月3日に開催された第5回検討会を最後に2年以上開催されていないことを知られたくないということなのであろうか。
ちなみに、今年7月に着任した菅野昌生 京国際空港環境企画調整室長（前 防衛省沖縄防衛局調達部次長）は、羽田低空飛行見直し議連ヒアリング（7月29日開催）において、「（第6回開催時期は）お正月を迎えるようなことはないなというのはちょっと私は思っております」と答えていたのだが……。
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